[Bi] レイバーデイの思い出

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Labor day weekend memory
9月の第1月曜日はアメリカのレイバーデイ。
Labor は work や job といった観念的な仕事ではなく、
頭や体を使い、実際労働することを指します。
グーグル辞書からの例文ですと
mental [physical] labor 精神[肉体]労働
cheap labor 低賃金労働
seasonal labor 季節労働
manual labor 手仕事
lost labor [=labor in vain] むだ骨, 骨折り損
with much labor ひどく骨折って
five hours of labor 5時間の労働
もちろん、分娩, 出産, 陣痛をあらわす言葉でもあり、
be in labor お産をする
labor pains 陣痛
といった使い方をします。
名画『風とともに去りぬ』の黒人奴隷たちが
1日の労働の終わりを告げる鐘にあわせて
Quittin' time ~! と口々に叫んでたのを思い出します。
さて、このレイバーデイ。日本の勤労感謝の日でしょうか。
アメリカではその日にち的に夏の終わりを意味する
夏の最後の週末です。
仕事の終わりだ~!というよりは、
この次の日から学校や仕事が本格的に始まって、
Back to school Sale とか銘打って繰り広げてきた商戦の最終日。
日本ではないくらいの文具、衣類、本のセールが開催されます。
スーツを新調する人が多いのもこの時期。
さてワシの周りのNYカーの場合は、
みなそれぞれのビーチハウス、カントリーハウスで過ごす週末です。
街でのイベントやパレードはテレビで十分。
もう涼しくなった海辺を、ちょっと感傷的に歩いたり、
夏の間置いといた荷物を少し街の家に持って帰る週末でもあります。
ワシの場合は、いつものハンプトンではなく、
ゲイの方々とストレートのファミリーが混じる
ファイアアイランドのパインズ地区へ招待されるのが5年ほど続きました。
いつもは家庭的なゲイと子どもや年寄りが遊ぶのんびりしたこの地区も
さすがに夏の終わりのパーティー三昧。
季節的に雨になる確率の高い週末ですが、5回のうち1度だけでした。

さてゲイのパーティと言えば、やはり女装。
みなさんハンパじゃなく時間と金を費やしています。
普段は弁護士とか医者とかやってる人が、
スゴイ念のいったコスチュームと化粧とかつら。
でかいのに輪をかけるハイヒール。
化け物や女性そのものと言った人までいろいろ。
渡し木の続くボードウォークを、コツコツ闊歩しています。
ワシもプロ並みのメイクアップを施され、
かつらを被り、ハウステーマのドレスを着させられました。
180cmを越える大女の出来上がりです。
前に書いたフェイを思い出させる、
仮装パーティでの酒、踊り。
不思議なもんでドレスを着れば、
それなりにゲイらしい振る舞いが出るもんです。
酔っ払ってドレスをめくりあげて露出するなんてこともアリアリ。
28cmのパンプスが板の割れ目に突き刺さり転ぶ。
その前から足の指が悲鳴をあげてたからどっかに放り投げる。
ツケまつげが髭になり、ほっぺたには無数のキスマーク。
あれほどの醜態を心置きなくさらせる場所には、いたことないくらい。
労働の意味を改めて認識するはずの週末に
こんなことしてもいいのかと、極右団体には叱られそうですが、
どこかブラジルのサンバカーニバルを思い出させる、ふだんの鬱憤晴らし。
全財産を使う人も珍しくないほどのカーニバルに掛ける思いが、
このパーティ主催者たちにも感じるほどです。
戦い済んで日が暮れて、
翌日街へと帰るフェリーには、またいつもどおりの都会の顔。
夏を背にして、生産の秋へと戻ってゆく労働者の群れが、
冷たくなった潮風を受けて、デッキに無言で座っています。
