前回の投稿では自作JJY受信機についてご紹介しましたが、受信機とは言っても電波時計モジュールにLEDとブザーを付けただけのもの。
「やっぱりラジオで受信したい！(正確には受信機のスピーカーから聴きたい！)」ということで長波帯から短波帯へのアップコンバータの製作にトライ。
「長波 受信 コンバータ」などで検索すると、SA612Aという「ダブルバランスドミキサー」を使ったコンバータの自作記事をアップされている方が何人かいたので、見よう見まねでまずはブレッドボードで実験しました。
左がダブルバランスドミキサーSA612A（SOP8パッケージ）
SA612Aは水晶振動子や水晶発振器の両方を接続して使うことが出来るので、手持ちの振動子（HC-49/Uタイプ）や発振器（14ピンタイプのクロック用）で実験しました。
14ピンタイプのクロック用発振器で実験している様子
HC-49/Uタイプの振動子で実験している様子
振動子、発振器は、6.000MHzや8.000MHzなどの周波数のものを使用しました。
どちらも40kHzに合わせるとかすかに「ピーピー…」とFT-818NDのスピーカーから音が聴こえたので、早速ホームセンターで購入した電設用のボックスに組み込み。
ボックスに組み込んだ様子。電源は９Vの電池を使用し、3端子レギュレータで5Vに変換しています。
まずは14ピンタイプの発振器で組んでみました。おお！コンバーターっぽい。SA612Aの配線の酷さは大目に見て下さい（笑）
セッティングした様子。パイロットランプ用のLEDがちょっと明るすぎですが…。
FT-818NDからはめでたく「ピーピー…」と音が聴こえました。
「数十年ぶりに受信機のスピーカーから聴くJJYの音」に感動！これぞBCL！（笑）
とは言うものの、スピーカーから出る音はノイズが多く、Sメータも全く振れず…。
FT-818NDのディスプレイ部。音は聴こえるものの、メータは振れず。
接続しているアンテナは受信専用の303WA-2。中波もそこそこ受信できているので、何か他に原因があるのでは…？
そうこう悩んでいたところで、「かにのログブック」なるブログを発見。
管理者の方は技術系のお仕事をやっておられるようですが、年齢も私と近いのか、内容に親近感が湧きました。情報量も多く、回路図や写真をふんだんに使っていてとても親切…。
製作にあたり、かなり参考にさせて頂きました。一方的で恐縮ですが、この場をお借りして御礼申し上げますm(__)m。
結局、トロイダルコアを使ったインピーダンス変換で受信状態が良くなることを確認。
使う部品（SA612A）の仕様書をよく読め！ということですね…。
トロイダルコアを使ったインピーダンス変換。巻き数の計算方法・意味もやっと理解(;^_^A
LPFの周波数も変えてテスト。
当初の回路にトロイダルコアを組み込み。発振器はやめて、HC-49/Uタイプの振動子に変更。
SA612Aも変換基板に乗せ換え。ケーブルもシールドタイプに変更。14ピンソケットはそのまま放置（笑）
Sメータは２～4ぐらいまで振れるようになりました。大きな変化です。
（これはCWモードで受信したときの写真です）
この後も色々と実験を続け、現在ブレッドボードで試しているのが下記。KiCADで図面を描いてみました。
この回路図ではトロイダルコアをSA612Aの入力側ではなく出力側に付けています。
出力側のインピーダンスが1.5kΩ、受信機側のインピーダンスが50Ωとなると「ハイ出しロー受け」となるので、出力側に付けても良いのではないか？と思いました。
ブレッドボードで試してやってみても出力側にトロイダルコアを付けた方が受信状態が良いような気もします。
もしかしたら入出力両方に付けても良いのかな…？
この辺は経験も無いので、色々とやってみようと思います。
※使用したトロイダルコアはFT-50#75です。
巻き数は、f=40kHzのとき、L=X/2πf、N=1000×√(L/AL値)などの式からN=46、N=8を算出しました。合ってるかな…。
JJYは40kHzのおおたかどや（福島県）と60kHzのはがね山（福岡県/佐賀県）の２波ですが、我が家（東京都内）では60kHzはノイズに埋もれてかすかに聴こえるだけ。
「かにのログブック」さんは同調回路などを追加したりして、神奈川県で40kHzも60kHzもかなり強力に聴こえるとご報告されています。
私もそこを目指して引き続き研究してみようと思っています。
トロイダルコアをモジュール化したり、ブレッドボードにBNC端子を固定して実験しやすくしたり…相変わらずアホなことを続けています。
巻くのがとても大変で面倒なトロイダルコア。でもその分結果も出るので面白い部品です。
（なぜかボカシを入れてメルヘン調に…（笑））
～以上～