体重を減らすための歩き方、日常にウォーキングを取り入れるヒント、モチベーションを保つコツ

ウォーキングは、日常に取り入れやすいエクササイズのひとつ。しかし、実際に体重を減らすことはできるのだろうか? 

「もし一日に一万歩歩いたとしても、それ以外の生活を何も変えなければ、体重は減少しないかもしれません。減量には、活動量や食事量、また何を食べているかなど、さまざまな要因が関わってきます」と語るのは、米ジョージ・メイソン大学の栄養・食品学部長、ジョンズ・ホプキンス大学の非常勤教授であるローレンス・チェスキン医師。減量に関する共著『Weight Loss for Life: The Proven Plan for Success』もあるダイエットのエキスパートだ。

またもう一人のエキスパートによれば、ウォーキングで体重を減らすには、歩数以外にもポイントがあるという。米国運動評議会(ACE)のシニアディレクターで、認定パーソナルトレーナーのアンソニー・J・ウォール氏は次のように述べる。

「歩数を数えるのは、自分で運動量を確認できるという面で有益です。でも、もし歩数だけにフォーカスしていたら、期待しているダイエット効果は得られないかもしれません」

効果を出すのに必要なのは、運動の頻度、強度、そして継続時間です。歩数を重視することは健康全般に役立ちますが、美術館をゆったり歩いているような歩き方では、効果は得られないでしょう」

ここからは、二人のアドバイスをもとに、効果的なウォーキング方法を詳しく紹介していこう。

健康効果をもたらす「歩数」は?
ウォーキングが健康に大きな影響を及ぼすことは、多くの研究により証明されている。代表的なのは、血圧、コレステロール値、心肺機能の改善、腹囲の減少、骨密度の維持など。「一日に一万歩」というフレーズはよく耳にするが、この数字は、1965年に日本で「万歩計」として売り出された商品のマーケティングに端を発するもので、具体的な根拠は乏しいようだ。

この「一日一万歩」という数字に苦戦している人にとって朗報なのは、もっと少ない歩数でも健康効果が期待できそうだということ。高齢女性を対象にした近年の研究では、一日に4400歩歩いた女性は、2700歩しか歩かなかった女性と比べて、その後の死亡率が低かったという。

また、38歳から50歳の人を対象にした別の研究では、一日7000歩が死亡率の低下に関連しているという報告もある。「もし健康状態の改善、そして長生きすることに目を向けるならば、だいたい一日7000歩を目安にするといいでしょう」とチェスキン医師は提言する。

体重を減らす歩き方とは?
とはいえ、減量を目的にする場合は、年齢、性別、普段の活動量などが関係するため、誰にでも当てはまる数字を導き出すのは難しい。ある研究では、18ヵ月で10%以上の体重減少に成功した人々は、一日に約一万歩歩いていたと報告されている。また、30分間の中強度の運動は、男性では7900歩、女性では8300歩に相当するという研究結果もある。

ウォール氏によれば、体重を減らすために重要なのは強度、そして継続することだという。

「キッチンからベッドルームに移動するような歩き方ではなく、心拍数を上げるペースで歩く必要があります」

中強度の運動であれば、一週間に計150分間が目標となる。中強度の運動とは、息切れはしないけれど、話をするのが少し難しい程度。

「強度をチェックするには、自分でできるトークテストが最も簡単で、特別な道具は必要ありません。話すことはできるけれど、一文すべてを続けて話すのは難しいくらいのペースをキープしましょう」

減量のために変化を起こすなら、全体像に目を向けることも大切だという。チェスキン医師曰く、「まずは数日間、自分の習慣をチェックしてみましょう。変えることができる小さなことを探すのです。例えば『食生活を改善する』といった曖昧なことではなく、自分に対して『ケーキの代わりにフルーツを食べる』と宣言する。運動を増やすのと同時に、こうした具体的で、検証可能なステップを取り入れることが減量の大きな助けになります」

日常にウォーキングを取り入れるTIPS
「まずは一度にひとつの、小さな改善から始めましょう。一貫していることが長期的にメリットをもたらします」とウォール氏。一日に30分間でも、それより短い時間に区切られたものでも、スケジュールに合うならば、ウォーキングを日常生活に組み込むのがベストだ。

さらに歩数をプラスするには:
・階段を使う トイレに行くのに遠回りをする
・食料品の買い出しは、複数回に分ける
・電話中に、行ったり来たり歩く
・子どものスポーツ大会では、ラインの外側を動きながら応援する

運動量や心拍数などを計測できる、スマートウォッチやフィットネストラッカーを使うのもおすすめだ。そうすることで目標とする歩数に必要なウォーキング時間を設定できる。まずは数日間、普段の生活でどれだけ歩いているかをチェック。もし平均が5000歩だったら、次に10分間で何歩歩いているかを計算する(10分で1000歩だったら、20分歩けば2000歩の計算になる)。そして自分の普段の平均歩数に、目標歩数に足りない分をウォーキングでプラスすればいい。

長期的にモチベーションを維持するには?
ウォーキングを始めたものの、成果が出ていないと感じたら、継続するのは難しいかもしれない。「それでも諦めずに続けること、そして成果が出る前に、習慣づけることが鍵」だとウォール氏はアドバイスする。モチベーションを保つためには、ウォーキングで得られるメリットを自分に問いかけるのも有効だという。

「全般的な健康への効果、または実践しやすくハードじゃないなど、メリットに目を向けましょう。それから体重を減らすことに集中すればいいのです。結果は表れますが、そこに至るには実際に続けて、時間と努力にコミットする必要があります」

小さな成功を重ねるたびに、目標達成への自信が生まれる。そして数値にとらわれるよりも、アクティブに動いているときに自分がどう感じるかに意識が向かっていく。こうしたメンタル面でのポジティブな変化も、エクササイズがもたらす醍醐味のひとつといえるだろう。