猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。第3水曜は「和食」の作法や文化について、マナーなどの教養を身に付ける「フィニッシングスクール インフィニ」(福岡市)の副校長で、和食検定実務1級認定者の三浦由加里さん(44)にお助けいただきます。

 今年も残すところあとわずか。博多の台所と呼ばれる柳橋連合市場(福岡市中央区)には正月に向けての食材が並んでいます。

 日本には四季折々の年中行事があります。中でも正月は、暦が変わるとともに年神様を迎えて前年の豊作を感謝し、新しい年の豊かな実りをお願いする大切な行事です。

 正月といえばお節がつきものですね。もともとは季節の変わり目の節日(せちにち)に神様に供えた「御節供(おせちく)」を指していましたが、最も大切な正月に食べる行事食のみを指すようになりました。

 正月三が日は「晴れの日」として一切の家事労働を休むため、お節料理はその間の保存食として作られます。そのため、傷みの原因となる汁が出ないこと、形が崩れないこと、冷めても味の落ちないことが好ましいとされています。

 材料には縁起の良い海の幸、山の幸が使われます。数の子は卵が多いことから子孫繁栄。エビは腰が曲がっている形から長寿の祈りを込めて。昆布は「喜ぶ」、干し柿は「嘉来(かき)」など、おめでたい語呂合わせの食べ物もあります。一つ一つの意味をかみしめながらいただきたいものですね。料理を重箱に詰めるときは、四隅を空けずに詰め込まないと福の神様が逃げるそうですよ。

 元旦に飲むとそは、一年の邪気を払い長寿を願っていただきます。とそ器は床の間の脇に正面が見えるように置き、3段重ねの盃(さかずき)は左側、銚子は右側にセットします。飲む順番は先に年少者、そして年長者へ移ります。若さを年長者が飲み取るという説もあります。正式には三つの盃で1杯ずつ飲みますが、上の小さな盃だけを使っても良いとされています。

 正月は雑煮も楽しみですね。雑煮は平安時代初期に食べられるようになりました。一つとして同じ雑煮はないほど地方や家庭によって違います。東日本は角餅ですまし汁仕立て、西日本は丸餅でみそ仕立てという傾向があります。ここ福岡の「博多雑煮」は具だくさんで有名です。あご(トビウオ)でだしを取り、ブリ、鶏肉、かつお菜、大根、シイタケ、里芋などのほか丸餅を焼かずに入れます。

 雑煮の餅を食べるときに箸が折れると縁起が悪いとされ、博多では太めの「栗はい箸」を使う習慣もあります。栗の枝を削った箸だけに「繰り回し」(金銭などのやりくり)が良くなるという意味もあります。

 年中行事にいただく食べ物は、私たちの祖先が何代もかけて受け継いだ生活の知恵が満ちています。共働きが多い中、お節を全部手作りするのは難しいかもしれませんが、家族でお節を囲み、「わが家の雑煮」の作り方を伝えていきたいものですね。