阪神間モダニズムをめぐって(11)~ヨドコウ迎賓館~ | Ternod Official blog

Ternod Official blog

哲学思想研究、文人画。 反緊縮行動(Anti-Austerity Action)〔生ー政治(Bio-politique)に抵抗する自律労働者(Autonomia Operaia)〕。 ブラック・ミュージックをこよなく愛す。レコード/CD店、古本屋、美術館などで出没することが多いです。

 

長らく休んでいた「阪神間モダニズムをめぐって」シリーズですが、その第11弾です。

今回は、兵庫県芦屋市にあるヨドコウ迎賓館を訪れました。

ヨドコウ迎賓館は神戸・灘の酒造家・山邑家の別邸として1924年、フランク・ロイド・ライト設計、その弟子の日本人建築家らによって竣工され、1974年に国の重要文化財に指定され、1989年から一般公開されています。

 

 

阪急電車の芦屋川駅を降りて北へ数分歩き、山を登るかと思ったところにヨドコウ迎賓館が見えます。

 

 

ヨドコウ迎賓館とは、淀川製鋼所迎賓館のことですね。

所有者がのちに淀川製鋼所に移り、迎賓館や独身寮に使われたことからヨドコウ迎賓館と呼ばれるようになったようです。

 

 

入口の車寄せ。

 

 

受付で入場料を払い、狭い階段を登ると洋室の応接間があります。

暖炉は燃やした薪が置いてあります。

 

 

天井は小窓が並んでいます。

明かり採り兼風通しのためでしょう。

ヴェトナム・ホーチミンのサイゴン大教会でも、レンガを積み上げた壁に規則的に隙間が空いていて、風通しのためのようです。温帯や熱帯での建築でしょう。

 

 

応接間の上の階は、和室です。

 

 

和室の鴨居のところに、青銅の幾何学模様が施してあります。

 

 

和室の窓にも、青銅の幾何学模様があります。

 

 

和室のある階は、縁側のような側廊があります。

青銅の幾何学模様の部分によって、木漏れ日のような日差しが部屋に入ってくるそうです。

和室はフランク・ロイド・ライトの構想にはなく、依頼者の要望によって実現したそうですが、こうした和室へのこだわりを見て、昔読んだ谷崎潤一郎のエッセイ『陰翳礼讃』を思い出しました。

同エッセイの中で谷崎は、とくにアメリカに代表される近代西洋建築では徹底的に影の部分が排除され明るい室内が求められるのに対して、日本家屋では影の部分が重要な役割を持っている。そのため貴族の鮮やかな衣装や、僧侶の金色の袈裟などが映えてくるのではないかと述べていた。とくに能楽は、その影が重要になっているとも述べていた。

同じ家の中で、徹底的に真っ白い明るさが際立つ洋室と、影が生かされた和室の対比を見て、その見方を思い出したところです。

 

 

さらに上の階へ。

食堂があります。

洋室は明るめの室内ですね。

 

 

食堂の天井にも明かり採りの小窓があいています。

 

 

屋上です。

 

 

阪神間の海側一帯が見えます。

 

 

こちらは山側、

六甲山系もいい眺めです。

 

 

応接室の片隅にて。

ちょっとした隙間の小窓にも配慮が行き届いて、いい感じです。

 

 

入口車寄せにある、休憩所のような場所です。

阪神間の風景を眺めながら涼むことができて、こだわりを感じます。

 

「阪神間モダニズムをめぐって」の(1)~(10)はこちら。