映画『親愛なる同志たちへ』 | Ternod Official blog

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哲学思想研究、文人画。 反緊縮行動(Anti-Austerity Action)〔生ー政治(Bio-politique)に抵抗する自律労働者(Autonomia Operaia)〕。 ブラック・ミュージックをこよなく愛す。レコード/CD店、古本屋、美術館などで出没することが多いです。

 

今日、見てきました。

公開からだいぶ時間がたって、もうすぐ上映期間が終わる間際になって、なんとか見てきました。

 

映画の内容は公式サイトにもあるように、1962年6月、フルシチョフ時代のソ連で行われた経済・貨幣改革が思うようにいかず、物資不足と物価上昇から人々の生活が困窮していく。そして給与カットまで行われ、ソ連南西部の産業都市ノボチェルカッスク(ロシア連邦共和国にある都市だが、ウクライナ国領ドネツィク州、ルハンシク両州にもやや近い地域)の機関車工場の労働者による大規模なストライキが発生し、ソ連軍とKGBの暗殺部隊による大規模な住民大虐殺が起きる。そして事件が隠蔽されることになるが、そうした状況での地元の党幹部の女性とその娘、KGBの工作員などをめぐる劇映画です。

 

 

率直な感想としては、ソ連の共産主義が徹底して嘘で塗り固められた虚構にすぎないものだと、あらためて感じました。

あと気になったのは、主人公の地区党職員の父親から、「ホロドモール」を思わせる話が出てきたこと。

ホロドモールとは、スターリン時代にコルホーズなどの農業の集団化が行われたが、実はウクライナでは穀物が徹底的に収奪され、輸出に回されて対外債務の返済に回されていた。農民の餓死者が大量に出てもなお穀物輸出が続けられていたという事件です。

この対外債務とは、スターリンによる第一次五か年計画での工業化による設備投資のために輸入した外国製機材の債務のことで、つまり工業化と、モスクワなど首都の住民の「豊かな社会主義建設」を演出するために、ウクライナが徹底的に犠牲にされたという事件です。

 

そして、1991年のソ連崩壊後、その時点での「ノーメンクラトゥーラ」と呼ばれるソ連共産党幹部や国営企業の役員などのソ連支配層が国営企業を「民営化」して企業経営者に居座って私物化する形でオルガリッヒになり、エリツィン政権や、ペテルブルクならサプチャーク市長ら「急進改革派」と呼ばれた政治家とオルガリッヒとの利権政治がつくられていく。

 

この辺は、「プーチンの道~その権力の秘密に迫る~」という番組が鋭い指摘をしています。

 

そして、いまプーチンのもと、またあの時代に回帰しつつあるという。

 

プーチン政権による「ウクライナのアゾフ大隊はネオナチの巣窟」とか「ウクライナで生物兵器が製造されている」などのプロパガンダですが、ソ連スターリニズムの頃からさんざん繰り返されてきたプロパガンダです。