CPR(Cardio Pulmonary Resuscitation)とは心肺蘇生法のことです。最近はAEDが普及してきたのでご存知のかたが多いかもしれません。
一方、DNR(Do Not Resuscitate)とは、文字通り「蘇生するな」という意味で、心停止が起こった際に心臓マッサージ(今は胸骨圧迫といいますがわかりやすいのでこう表記します)などのいわゆる延命処置を行わないことをさします。ただ、DNRだからといって何の治療・ケアもしないということではありません。DNRといっても、患者・家族がどこまでの治療・ケアを希望するかによって、その内容は変わってきます。例えば、ある患者さんは心臓マッサージ、人工呼吸器の装着など侵襲を与える治療は一切しないという方針だが、他の患者さんでは心臓マッサージはしないけれど、昇圧は行う(あるいは人工呼吸器を装着する)などです。
以前勤めていた病院は、比較的小康状態あるいは終末期にある患者さんが多く入院されていたので、患者さんの予後や心肺停止となった時の方針について患者・家族のかたと医師とが話し合い、DNRになることが多かったように思います。
今は救急外来で働いているせいか、来院時心肺停止(CPAOA)の状態の患者さんでもCPRをすることが多いです。
今日救急車で運ばれてきた80代後半の患者さんもCPA(心肺停止)の状態で、すぐにCPRを開始しました。心室細動だったので、心臓マッサージを行い、挿管+人工呼吸器の装着をし、末梢静脈からルートキープして昇圧しました。結果的にその患者さんは蘇生し、CCUに入院することになりました。少しだけ患者さんの状態が落ち着いたときに、家族のかたと医師が話をしていました。この患者さんは以前にも今回と同じような状況になったそうです。そのときは、蘇生後少ししてから意識が回復し、普通に退院できたそうです。家族のかたは、本当はそのときに亡くなっていてもおかしくはなかったとおっしゃっていました。でも、一方で意識のない患者さんに「がんばってや、皆が治してくれるからな」と話しかけておられ、また以前は蘇生後に普通の生活を送れるようにまでなったことから、家族の方は患者さんの延命を望んでいるのだろうかとも思いました。
しかし、医師や私たち看護師からみて、患者さんは昇圧しても血圧が上がらない、意識も戻らない、呼吸も人工呼吸器がなければ止まってしまうという極めて重症の状態であり、亡くなられるのも時間の問題ではないかと思います。
救急だからどんな患者さんでも蘇生をしなければならないというのは違う気がします。今回の患者さんであれば、前回の蘇生後の時点において、蘇生したからそれで終わりとするのではなく、次回急変時の蘇生の是非などについて患者・家族の方と医師側が話し合い、取り決めをしておくべきだったと思います。もし、取り決めをしていなくても、搬送されてきた時点で家族のかたにそういう取り決めや話し合いをしていたかということについて情報を得ておく必要があったと思います。医師は目の前の治療しか見えていないことも多いので、そのような情報収集を行うのは看護師の役割だと思います。でも、私は未熟なので、そこまで気をまわすことができませんでした。急変時の家族への関わりというのは今後の課題です。
個人的には、基礎疾患や高齢などにより、急変するリスクが高い患者さんを蘇生することには疑問を持っています。本人が蘇生してほしいと望んでいるのであればもちろん全力で救命しますが、患者さんの意思が確認できない状況で家族が蘇生を望んでいる場合、患者さんに意識がないからといって家族の意向に沿えば、それは患者さんの権利や尊厳の侵害にあたります。もしかしたら患者さんは蘇生してくれるなと思っているかもしれないからです(しかし、実際には家族の意向に沿うことが多いですが…)。また、これは余談ですが、終末期の患者さんとそのご家族が在宅での看取りを希望される場合、医師や看護師は亡くなる直前の患者さんに起こりうる状態(呼吸回数が少なくなったり、あるいは呼吸停止したり、脈が触れなかったりなど)について説明し、慌てて救急車を呼ぶということがないようにしてくださいと伝えるのですが、それでも中には救急車を呼んでしまう家族の方もおられるようです。病院でのCPRは搬送後すぐに開始されるので、そのような患者さんとも知らずCPRをしてしまうことは十分に起こり得ます。
看護師は、患者さんの予後や急変時の対応についての取り決めについて直接関与するわけではありませんが、医師と患者・家族が話し合いの場を持てるようにアプローチしていく役割があると思います。また患者・家族が希望する治療・ケアを受けられるよう、かかりつけの医師・医療機関や受け持ちの看護師たちによる継続した関わりも重要だと思います。
最後に。
こんな記事があったのでリンクをのせておきます。
“DNR”「蘇生させないで下さい」:がんサポート情報センター
一番最後の、医療従事者と一般のかたとの「蘇生」のとらえかたの違いのくだりが興味深かったです。
一方、DNR(Do Not Resuscitate)とは、文字通り「蘇生するな」という意味で、心停止が起こった際に心臓マッサージ(今は胸骨圧迫といいますがわかりやすいのでこう表記します)などのいわゆる延命処置を行わないことをさします。ただ、DNRだからといって何の治療・ケアもしないということではありません。DNRといっても、患者・家族がどこまでの治療・ケアを希望するかによって、その内容は変わってきます。例えば、ある患者さんは心臓マッサージ、人工呼吸器の装着など侵襲を与える治療は一切しないという方針だが、他の患者さんでは心臓マッサージはしないけれど、昇圧は行う(あるいは人工呼吸器を装着する)などです。
以前勤めていた病院は、比較的小康状態あるいは終末期にある患者さんが多く入院されていたので、患者さんの予後や心肺停止となった時の方針について患者・家族のかたと医師とが話し合い、DNRになることが多かったように思います。
今は救急外来で働いているせいか、来院時心肺停止(CPAOA)の状態の患者さんでもCPRをすることが多いです。
今日救急車で運ばれてきた80代後半の患者さんもCPA(心肺停止)の状態で、すぐにCPRを開始しました。心室細動だったので、心臓マッサージを行い、挿管+人工呼吸器の装着をし、末梢静脈からルートキープして昇圧しました。結果的にその患者さんは蘇生し、CCUに入院することになりました。少しだけ患者さんの状態が落ち着いたときに、家族のかたと医師が話をしていました。この患者さんは以前にも今回と同じような状況になったそうです。そのときは、蘇生後少ししてから意識が回復し、普通に退院できたそうです。家族のかたは、本当はそのときに亡くなっていてもおかしくはなかったとおっしゃっていました。でも、一方で意識のない患者さんに「がんばってや、皆が治してくれるからな」と話しかけておられ、また以前は蘇生後に普通の生活を送れるようにまでなったことから、家族の方は患者さんの延命を望んでいるのだろうかとも思いました。
しかし、医師や私たち看護師からみて、患者さんは昇圧しても血圧が上がらない、意識も戻らない、呼吸も人工呼吸器がなければ止まってしまうという極めて重症の状態であり、亡くなられるのも時間の問題ではないかと思います。
救急だからどんな患者さんでも蘇生をしなければならないというのは違う気がします。今回の患者さんであれば、前回の蘇生後の時点において、蘇生したからそれで終わりとするのではなく、次回急変時の蘇生の是非などについて患者・家族の方と医師側が話し合い、取り決めをしておくべきだったと思います。もし、取り決めをしていなくても、搬送されてきた時点で家族のかたにそういう取り決めや話し合いをしていたかということについて情報を得ておく必要があったと思います。医師は目の前の治療しか見えていないことも多いので、そのような情報収集を行うのは看護師の役割だと思います。でも、私は未熟なので、そこまで気をまわすことができませんでした。急変時の家族への関わりというのは今後の課題です。
個人的には、基礎疾患や高齢などにより、急変するリスクが高い患者さんを蘇生することには疑問を持っています。本人が蘇生してほしいと望んでいるのであればもちろん全力で救命しますが、患者さんの意思が確認できない状況で家族が蘇生を望んでいる場合、患者さんに意識がないからといって家族の意向に沿えば、それは患者さんの権利や尊厳の侵害にあたります。もしかしたら患者さんは蘇生してくれるなと思っているかもしれないからです(しかし、実際には家族の意向に沿うことが多いですが…)。また、これは余談ですが、終末期の患者さんとそのご家族が在宅での看取りを希望される場合、医師や看護師は亡くなる直前の患者さんに起こりうる状態(呼吸回数が少なくなったり、あるいは呼吸停止したり、脈が触れなかったりなど)について説明し、慌てて救急車を呼ぶということがないようにしてくださいと伝えるのですが、それでも中には救急車を呼んでしまう家族の方もおられるようです。病院でのCPRは搬送後すぐに開始されるので、そのような患者さんとも知らずCPRをしてしまうことは十分に起こり得ます。
看護師は、患者さんの予後や急変時の対応についての取り決めについて直接関与するわけではありませんが、医師と患者・家族が話し合いの場を持てるようにアプローチしていく役割があると思います。また患者・家族が希望する治療・ケアを受けられるよう、かかりつけの医師・医療機関や受け持ちの看護師たちによる継続した関わりも重要だと思います。
最後に。
こんな記事があったのでリンクをのせておきます。
“DNR”「蘇生させないで下さい」:がんサポート情報センター
一番最後の、医療従事者と一般のかたとの「蘇生」のとらえかたの違いのくだりが興味深かったです。