先週は、「心とからだ磨きの朗読教室」武蔵小杉教室で、4クラス合同の朗読発表会を開催しました。
日頃は同じ教材を皆さんで読むのですが、発表会はご自分の読みたいものを朗読します。
作品選びでは、皆さんの個性が現れます。
皆さんが伝えたいことがわかります。
そして、お一人に与えられた時間は、聴き手に作品をより良く伝えるために使っていただきます。
普段人前でお話しすることがない方も、目の前のお客様に「伝える」ということを意識していただきます。
お客様に「聴いていただく」「楽しい時間を共有する」という気持ちで読んでいただきます。
他人の朗読を聴くこともレッスン。
今回の朗読発表会で印象に残った朗読は、
菊池寛作「形」
これは二人の方が読みました。
同じ作品でも読み手が異なると、伝わり方も違ってくるということがよくわかりました。
内館牧子さんの作品は、異なるエッセイをお二人が読みました。
お一人は、内容についてよくお調べになっていて、作品とよく向き合っていらっしゃるのが印象的でした。
もうひと方は、内館さんの個性を表現し、笑いへとつなげていらっしゃいました。
宮沢賢治の「農民芸術概論要綱」を読んだ方は、宮沢賢治が大好きという方。
「内容がちょっと難しいので、耳で聴いてもわかるように発表するといい」とアドバイスをしたところ、内容について説明したあと「言葉はわかりづらいかもしれませんが音楽を楽しむように聴いてください」と言って読み始めたら、それはまさに言葉が奏でる音楽となって聞こえました。
内容を伝えるのではなく、宮沢賢治の持つ言葉の音楽を伝える朗読に仕上げました。
高橋りりすさんの「絹ごし」を読んだ方もいらっしゃいます。
この作品は朗読のために書かれたもので、書籍として一般に販売されていません。
日本朗読文化協会の「朗読の日」でこの作品を知り、自ら問い合わせ、高橋りりすさんの朗読会に赴き、作者に直接お会いして台本を手に入れたそうです。
その熱意に脱帽です。
「絹ごし」は読み手の個性と重なり、笑いの渦に包まれました。
今回のために、私の自宅で個人レッスンした方もいらっしゃいます。
その方はご熱心で私以外の朗読教室にも通っていらっしゃるとのこと。
その方が選んだのは田村雅智作「綿雲堂」です。
店主の不思議な感じと雲の幻想的なイメージを描いていくための「音色」を集中的にレッスンしました。
そしてそれはその方の個性と相まって、見事に幻想的な世界を映し出していました。
歌の歌詞と吉野弘作「祝婚歌」を読んだ方がいらっしゃいました。
その方には、「詩だからと詩っぽく読まないで(リズムで読んだり、きれいに読むことを意識せず)、自分の心に落とし込んで、自分の言葉で語るように読んでみてください」とアドバイスしました。
それを見事に実践してくださり、「祝婚歌」も歌詞もすっと心に染み渡ってきました。
詩は詩っぽく読まないほうが、心に響く。
谷川俊太郎さんもそうおっしゃっているのを聞いたことがあります。
谷川さんがご自身の詩を朗読されたのを聞いた時、淡々と普通に読んでいる言葉が、深く心に入ってきた…そんなお話しも私からさせていただきました。
詩には色々な読み方があり、先日私がステージで読ませていただいたオフコースの「生まれ来る子供たちのために」は、音楽に乗せて、壮大な景色をイメージさせることを意識し、舞台朗読をしました。
詩を読むのは簡単そうで、実は奥が深く難しい分野だと思っています。
そして私が思わず涙が出そうになるほど感動したのが、角田光代さんの「口紅のとき」です。
「65歳」を88歳の方が読み「79歳」を91歳の方がお読みになりました。
人生の経験が朗読に表れると日頃お伝えしていますが、まさに作品の年齢を超えているお二人が読んだものは、声質といい、作品内容の読み取り方にもそのご経験が現れていました。
特に、「79歳」を私たち60代が読むとしたら、想像して作りこんで読んでしまうし、その年齢の気持ちを声色で表すことは難しい。
それが、見事に自然体な読み方で耳に入ってきたのです。
「読み手」と作品のなかの「私」が見事に一体化していました。
まだまだ素敵な朗読発表があったのですが、長くなってしまったのでここまでにします。
武蔵小杉教室の皆様、お疲れさまでした!
この年末年始も、たくさんの良い作品に出会えますように!
名作の音読は「音読チャンネル」をお聴きください。
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