6月3日サントリーホールで開催された
沖縄復帰50周年記念 琉球交響楽団特別公演
に行ってきました。
実は、私にとってサントリーホール大ホールでオーケストラの演奏を聴くのは初めてなのです!!
先ずホールに一足踏み入れた途端に、鳥肌が立つほど感動しました。
壮大なパイプオルガン、客席の並び、シートの豪華さと全体のオークの造り。
すべてが新鮮で、東京にいながらなぜこのホールには来たことがなかったのか、自分でも不思議です。
それは、クラシックというものが敷居が高く感じていただけのことなのかもしれません。
お行儀よく聴かなくてはとか、
ドレスコードがあるのではとか、
クラシックの知識がないとまったくわからないのでは・・・
という漠然とした畏れは、自分の思い込みのせいに過ぎなかったことが今回初めて行ってよくわかりました。
実際、ドレスコードについては、なかったように思えます。
普通に仕事帰りにいらしている感じの方や、
カジュアルの服装でいらしている方も多く、かえってその方が「慣れているな」と思えました。
今回の演奏は、
大友直人さんの指揮
琉球交響楽団
辻井伸行さんのピアノ
ブラームス:大学祝典序曲
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
萩森英明:沖縄交響歳時記
クラシックには疎い私。
オーケストラの生演奏は、ミュージカルで聴くくらい。
正直、「大学祝典序曲」と言われても、よくわかっていません。
そんな私でしたが、演奏が始まるとまずその音の響きに感動しました。
サントリーホールの造りと、私の座席がよかったこともありますが、包み込むような優しい音。
普段スピーカーを通して聴くことが多い中、それぞれ異なる楽器の音が、変な共鳴をせず心地よく耳に入ってきます。
序曲では、私は指揮者の大友さんの動きや表情にすっかり興味が引き付けられました。
そして、ピアノ協奏曲では辻井伸行さんのピアノが入ります。
ピアノの移動の仕方さえ、初めて見る私にとっては興味津々です。
舞台の段差が平らになり、ピアノが中央に移動され、ライトを浴びたスタンウェイのグランドピアノが、輝きを持って奏者を待っている様子はそれだけでも興味深いです。
そして、拍手の中登場した辻井伸行さん。
辻井さんの力強く、そして流れるような手の動き。
全身で拍子をとりながら、オーケストラとの演奏。
指揮者が見えていないからこそなのかもしれませんが、
その前のオーケストラの演奏とは全体的に少し違う空気を感じました。
辻井伸行さんのアンコールでは、辻井さん作曲の「沖縄の風」をピアノソロで演奏してくださいました。
その曲が、それまでの力強い演奏から一変して、柔らかい音色です。
私は何の知識もなく初めて聴いた曲でしたが、イントロの部分から沖縄の海を感じました。
イメージで言えば、青い海に風が当たってさざ波が立ち、そこに太陽の光がキラキラと輝いている・・・
そこに嵐が吹き荒れるような、メロディー。
嵐が過ぎ去ったら、また穏やかな風が吹いてくる。
でもそれは、沖縄の歴史をメロディーにしているようにも思えました。
穏やかな時代から戦争の時代、そして今があるというような。
ここに書いていることは、あくまでも私の個人的感想です。
辻井さんがどのような思いで作られたかは、存じ上げません。
でも、一度聴いたら口ずさむことができるような、とても親しみやすく、素敵なメロディーでした。
休憩をはさんで、萩森英明さん作曲の「沖縄交響歳時記」。
歳時記ということで、春夏秋冬を表しています。
オーケストラの編成が細部にも色々な音が入り、沖縄のイメージを浮かべやすく楽しめました。
なによりも、最後の演奏で私の興味が引き付けられたのは、打楽器でした。
これをゆりえに言ったら
「ずいぶんマニアックだね」
と言われましたが、かわるがわる持ち換える打楽器。
ものすごく小さいリンのような楽器でも、オーケストラでの存在感がしっかりとしている音色。
リズムを少しでも間違ったら、全体を台無しにしてしまいます。
奏者はかなりの緊張感でしょうね。
シンバル(正式には違う名前の楽器かもしれません)の叩き方も、手を垂直にして、大きな円盤をずれることなく重ねるのですが、その時風圧が見えてくるようです。
それも私の知っているようなシンバルの割れるような音ではなく、オーケストラの中に染みわたる感じ。
同じシンバルでも、斜めにこすり合わせるような音の出し方をするときもあったり。
打楽器は3人の女性だったのですが、私は打楽器が面白くて釘付けで見ていました。
そのうちに、オーケストラの楽器そのものが、ひとりひとりの人間に思えてきて、それぞれの音色があり、それぞれに良さがあり、同じ楽器でも優しくなったり、力強くなったり…。
人間もそれぞれの個性を出し合って、ハーモニー(調べ)をつくりだすことができたら素敵ですね。
だから協調ということばができたのかしらね。