私が大変お世話になったJさん(女性)は現在95歳。
私が幼いころから面倒を見てもらっていた。
若い時から、全てのことに於いて好奇心が旺盛。
新しい建物ができた、話題の映画が上映される、美味しいお店がある・・・
いつもアンテナをはって、最新スポットに行っては、見聞きした感想を母に話していた。
政治や経済の話も、芸能人の話も何でもできる。
話をしながら、いつも手も動かして、てきぱきと我が家の家事を手伝ってくれていた。
私がJさんを尊敬するところは、話がいつも前向きなことである。
先日も電話で話をした。
電話の話し方は、とても95歳とは思えない記憶力と喋る速さと、明るい声のトーン。
「いつも朝起きると、今日も起きられたことに感謝して、おてんとさんに手を合わせるの。」
「私はね、あなたのお父さんとお母さんに、たくさんのいい思い出をもらったことに感謝しているの。もうあまりどこにも行けないけれど、たくさんのいい思い出を思い出すことで、幸せな時間を過ごすことができるのよ。」
「あなたのお父さんとお母さんのことを思い出しては、あなたのうちの方を見てありがとうって手を合わせるの。」
「あなたの実家は、あなたが今も大事にしてくれてよかったわ。あの家は、私がいつもピカピカに磨いていたんだから!あの家には思い出がいっぱい詰まっているのよ!」
「デイホームなんかおもしろくないって思っちゃうと嫌になっちゃうから、それなりに楽しみを見つけるようにしているの。みんなができないことをやってあげたりね。まだまだ人のためになにかできるって、ありがたいことよ。そりゃ、みんな寝始めちゃうし、会話ができない人が多いからつまらないけれど、世話してくれる人とは話ができるからね。
お風呂を入れてもらえることだってありがたいじゃないの。」
「あなたもね、いろんなことがあって大変だけど、がんばってね!」
最後はいつも、私が励まされて電話を切る。
そして、Jさんがとても元気なことに、私も嬉しくなり、「ありがとう」と手を合わせて感謝したくなる。
Jさんからの言葉は心をとても元気にしてくれる。
パワースポットならぬ、パワーウーマンだ。
最近、Jさんのような生き方を「老年的超越」と言うことを知った。
感謝の気持ちと、幸せを感じながら過ごす生き方。
「老年的超越」・・・なんだか言葉は難しいけれど、
日常に幸せを感じながら生きることの喜び。
日野原重明さんを彷彿とさせる素敵な生き方。
老年的超越も自分の心がけ次第。
老い支度は50代から。
前向きにポジティブに…生きていきたい。