急激な少子高齢化の流れのなか、全国各地で学校統合が進んでいる。地元・秋田の話で申し訳ないが、明治26年に創立された歴史のある大曲農業高校が校舎改築の時期を迎えていることを、ある県議会議員からお聞きし、そのことについて今日は書きたいと思う。


 改築の話を伺った時、どういう学校を作るんですかと質問したら、これからも農業は大事だから今まで通りの農業高校とのこと、そう伺って残念に感じた。


 これからの農業には、機械化・IT化はもちろんのことであり、工業学科とのコラボレーション(協同)は新しい切り口(イノベーション)につながる。同じく市内にある大曲工業高校も、現在、校舎改築の時期を迎えている。ここは思い切って工業高校と統合し、新しい農業に対応した革新的な学校を作ってはいかがか。他に並ぶもののない秋田県内ダントツの学校になり得ると思う。


 学校統合の話になると、OB等の母校を存続させたいという意見が強い。しかし、学校というものは、今いる在校生と将来の子どものためにあるのであり、今までの卒業生のノスタルジーのために存在するものではないと私は考える。母校を存続させるというこだわりから脱却して、将来を考えた議論が出てきてほしい。


 秋田県の公立高校入学者数は、ここ20年間で14,000人から8,000人と、6,000人も減っている。このような現状と将来に対して議論も抵抗もなく、淡々と物事を進めていくようなことが、この頃の県政には散見される。このことに限らず、(時代の先を読んで)問題提起をしない執行部、問題意識の低い県議会。表向きは平穏無事に見えるが、それで物事が良くなっていくのか。これで良いのかと不安を覚える。


 「事なかれ」で知らず知らずのうちに取り返しのつかない事態になっていくことほど怖ろしいことはない。執行部と県議会が新たなものを生み出すべく侃侃諤諤の議論をすることで、物事が広く県民に周知され、皆が身近な問題としてとらえることが可能になり、より良いものが生まれてくる。いずれにしても、改革にはエネルギーが必要だ。


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『山のあなたの空遠く 統合学校こんにちは』お粗末