9月6日より、議員有志で台湾を訪問した。台北は日本よりも涼しく、過ごしやすかった。日本は節電の夏だったけれど、部屋に入ったら、クーラーの温度が22℃に設定されており、到着するなり、あまりの寒さに驚いた。


 日本と台湾の間には、100年ほど前の1895年(明治28年)に日清戦争後の下関条約により、日本が台湾を統治したという歴史的経緯がある。にもかかわらず、日台関係は良好であり、親日的で嬉しく思う。

 そんな中、世界的に有名な政治家で親日家でもいらっしゃる、台湾の民主化を進められた李登輝元総統とお会いできたことは、名誉なことであり、嬉しかった。

会話の中で、李元総統は「今の日本人民は疲れている。世界に誇る日本精神は多(良)とする日本精神がなくなることが心配だ。」と憂いておられた。


ご自身は、台湾で初めての選挙で選ばれた元首でいらっしゃるが、「権力は私のところに来たが、権力は私のものではない。(国民のものだ。)」 「嫌な仕事は自分でする。(しかし、日本の政治家は嫌な仕事は避けて通る。)」 「カリスマの真似はするな。お金は貯めるな。それがトップ(政治家)の心得だ。」 とも仰っておられた。


 御歳88歳でいらっしゃるが、午後の4時から夜9時まで、食事を挟みながら5時間もの間、途切れなくお話しくださった話題は、日本の武士道(公私の区別)、日本文化、世界の歴史、民主化の話、現在の台湾について等々、多岐に渡った。

 実を言うと、お会いしたのは2度目である。2007年の7月、秋田の国際教養大学の中嶋嶺雄学長ご夫妻と私の妻とで、ご招待を受けて訪問した。中嶋学長は学問的見地から、李元総統を20年以上も支えてきた方である。李元総統は、その御縁で秋田にもご訪問されて、国際教養大学にてご講演され、角館や奥の細道の象潟などをご覧になり、夏瀬温泉にお泊りされたというご縁があり、旧交を温めることができ、大変に嬉しかった。

 90歳近くになられても、あのエネルギーには、ただただ恐れ入るばかりだ。それに比べて私ときたら、寒暖の変化に弱く、クーラーにやられて鼻をぐずぐずいわせていた。なんたる弱さか・・・。

---------------------

『山の彼方の空遠く・・・李登輝さん、いつまでもお元気で』