8/26、参議院本会議において子ども手当再つなぎ法案 が賛成多数で可決・成立しました。みんなの党は、24年度以降の本格制度の検討において、大幅な見直しをすべきであるとの条件付きで、この23年度中の再つなぎには賛成いたしました。


 今回の子ども手当の見直しについては、民主・自民・公明の3党間の密室協議によって合意がなされました。その過程で、民主党が修正案を出す、自民党と公明党がだめ出しをする、再度民主党が修正案を出す・・・が何度か繰り返されましたが、検討の内容や最終的な合意に至るまでのやりとりは、国民の目には極めてわかりにくいものでした。


 2009年の衆議院選挙で1つの争点となった子ども手当は、政権交代の引き金となりました。野党に転落した自民党・公明党にしてみれば、選挙で敗北したこと、落選した同僚議員達の怨念もあり、おいそれと民主党の提示してくる見直し案には乗れなかったのでしょう。しかし3党間での政争のかけひきに、この子ども手当が使われたことは極めて残念でなりません。


        -------


 私は、今年3月31日の参議院本会議において、22年度の子ども手当(中学生まで一律月1万3千円を支給)を6か月延長するつなぎ法案に、党の賛否方針に反して賛成票を投じました。そのことで、党からは6か月の役職停止処分を受けました。しかしこれは、子育てを『社会全体で』サポートするという、私のかねてからの政治信念に基づく行動であり、その信念はいささかなりとも揺らいではおりません。


 民主党による当初の子ども手当(中学生まで一律月2万6千円)の制度設計は、確かに問題がありました。バラマキとのそしりをうけるのも当然です。しかし、国民の3割超が年間所得300万円未満、6割弱が500万円未満である現在、親の所得格差によって子育て格差・教育格差がさらに拡がってしまう状況は、根本から変えていかなければなりません。


 児童手当や子ども手当は、国民生活に密着した現金給付制度であり、その折々の政治情勢等によって、軽々にその『存否』を問うものにしてはなりません。その意味で、子育て支援のあり方を国会の場で真剣に議論し、よりよい制度に『改善』していくためにも、あえてつなぎ法案に賛成票を投じたのです。


 2000年4月に導入され、今国会で改正法が成立した介護保険制度は、1997年の法律制定当時、国会でも大きく揉めました。制度導入時点ではいくつか課題も残っており、自治体でも混乱が起きました。しかしながら、導入に先立ち2年あまりの準備期間を置いたこと、その後3年ごとに小さな見直し・5年ごとに大きな見直しをそれぞれ行うよう法制化したこと等により、関係各者の意見を広く聴取しながら制度を改善し、ここまで熟成してきました。


 今回の再つなぎ法案により、子ども手当の当面の方向性は定まりましたが、次年度以降の本格制度をどのようにしていくべきか、検討する余地は多々あります。現金給付と現物給付の組み合わせ、自治体の創意工夫を促すための税財源委譲、最低所得保障、幼保一元化など 。よりよい制度に『改善』していくとともに、安心して子育てできる社会を実現できるよう、今後とも皆様のご指導・ご意見を賜りたいと思います。



参議院議員 寺田典城 オフィシャルブログ Powered by Ameba-所得金額階級別に見た世帯数の相対度数分布