我が事務所に、まだニキビの取れないハタチの学生が春休みを利用してインターン研修に来ている。この8月から1年間中国に留学するそうだ。


 若いうちの留学というのは、それこそ生涯を支えるエネルギーになるだろう。


 昨今、内にこもり外に出たがらない若い人が多いなか、彼のように外に目を向け、留学する志を持った若い人がいることを頼もしく思った。こうした若い人たちが増えれば、日本の将来のためにも、大いに活躍してくれるであろうと期待している。


 人は、価値を求めて行動する生き物である。彼が、世界の数ある国の中から中国を選んだのは、彼なりの考えによる行動だろう。


 共産党一党独裁の強権体制、世界に例のない人的エネルギーと爆発的な経済成長、農村と都市の極端な格差、人の貧富の差、民族や文化の違い・・・さまざまが入り混じったあの国で、言論についても規制されている中で、若い彼が中国の『現在』を実際に体験してくることは、これからの日本の社会のあり方について考える時にも、良い勉強になると思う。


 翻って今の日本を省みると、政治が無く、政争に明け暮れている。争いを好まない日本人の良識・国民性が、辛うじて国の平穏を保っている。海の向こうの中国は一党独裁ゆえ、争いにはならないだろうが、もしも万が一、争いが起きれば、大変な反乱になると思う。


 日本は、民主的な言論や表現の自由や知る権利など、たくさんの良いところがある、平和を望む国家なのだから、そろそろ新たな国家像を示すところに来ていると思う。


 一年間の留学を終えて、彼が日本に戻ってきた時、彼の眼にこの国はどう映るのだろうか?