2月8日の週刊エコノミストを読んだら、武蔵大学社会学部・橋本健二教授の「アンダークラス」化する日本の若者たち、という記事が出ていた。聞き慣れない「アンダークラス」という言葉に考えさせられた。


 戦後の成長期は、中学・高校を出ると「金の卵」と言われて就職した時代だった。当時、非正規労働者は例外的な働き手であり、学生のアルバイトや、家計の補助のためにパートで働く主婦がほとんどだった。


 その後、バブル期には専門職は非正規雇用でも賃金が高かったので、あえて就職しない働き方を選ぶ人も多かった。1990年代初め、バブルが崩壊してからは正規雇用が減り、就職できない人が増えてきた。近年では、非正規労働者は、働く人全体の約30%1500万人を超えている。


 今は、職に就きたくても就けない「就職氷河期」と言われる時代である。高校・大学卒の内定率は、約7割しかない。ここで職に就けなかった若者の大半は、男性でもパート主婦と同じような賃金で働く非正規労働者になってしまう。女性の場合も未婚の非正規労働者の割合が増えてきている。


 個人年収が150万円ほどでは、将来に夢を描けない、結婚も諦めざるを得ない、子供も望めない。そんな状況の若者たちが、毎年30万人も出てくる。近い将来、税金・年金・医療などの問題が大きな課題になるだろう。大変な問題だ。


 今の社会システムは、卒業したら就職という流れになっている。一度社会に出てから再び学び直す。自分の人生に合った生き方を選択出来る道もあるだろう。


 欧米では、一度就職して社会に出た後で、大学に入り直し、再び学ぶというスタイルも定着している。25歳以上の大学入学者の割合は、アイスランドが39%、アメリカは21%、韓国が18%OECD各国の平均でも21%と、5人に1人が社会を経験した後で大学に入っている。日本の場合はわずか2%50人に1人だけだ。


 アメリカを一つの例にとれば、コミュニティ・カレッジと云う、公費を主体とした、職業能力を身につけさせる仕組みがある。


 これからの日本は知的レベルの高い人材で世界と勝負していかなければならない。日本にもこういった取り組みが必要だろう。これからの時代は、人が職を得ることがもっと多様になって良いはずだ。


 世の中を変えたくない、変えられない、という社会の閉塞感が蔓延している。しかし、日本の社会システムも根本から変わらなければならない時に来ている。それが日本が成長する道だろう。


一人の政治家として、何とかしたいと思う。