新潟市の原発避難中学生いじめ問題についての後藤氏のトンチンカンな解決策 | 検証・報道ステーション

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このブログでは、テレビ朝日のニュース「報道ステーション」について、放送番組の編集について「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を定めた放送法第4条の観点から虚心坦懐に検証します。

12/5 (22:30頃)

 

【 報ステ 】

新潟市の中学校で福島県から避難してきた中学生が担任教師から「菌」付けで呼ばれるなどクラスでいじめを受け不登校になっている問題についての報道

 

(後藤コメンテーター)

「転校生はどうしてもいじめの対象になりやすいんですね。『君はなぜここに転校してきたんですか?』『どういう生活をしていたんですか?』ということを児童みんなの中で議論をするということが逆に学びの場になるんじゃないかと。『原発というのはこういう問題があるんだ』或いは『原発で追われた人はこういう生活をするんだ』ということをみんなが同じ価値観を共有するということでまた次のページが開かれる。それが学校という場ではないのかと私は今回の件で強く思いましたね」

 

【 論評 】

後藤氏はこのような差別的な担任がいる学校という場でそのような授業をやらせて本当にいじめが無くなると思っているのか?逆効果も甚だしいだろう。学びの場ではなく、まずはいじめをなくすことを考えるべきだろう。

 

こうしたいじめの背景には、科学的な根拠もなく「福島は危険だ」「内部被爆して健康に不安がある」と喧伝しているメディアの報道姿勢にある。

 

国連科学委員会は2014年4月に原発事故の影響に関する報告書を発表しており、同報告書では「福島第一原発から大気中へ放出されたヨウ素131とセシウム137の総量は、チェルノブイリ事故における推定放出量のそれぞれおよそ10%、20%と推定される」「甲状腺がん、白血病ならびに乳がん発生率が、自然発生率と識別可能なレベルで今後増加することは予想されない。また、がん以外の健康影響についても、今後検出可能なレベルで増加することは予想されない」と明記している。

 

にも関わらず、こうした情報は極力伏せて、福島の危険性ばかり強調する本番組のような報道が福島差別を助長している。

 

おそらく、いじめに加担した担任教師も観念的な反原発思想の持ち主なのだろう。

 

反原発活動家にとって福島は危険なところでなければならない。彼らにとって反原発は政治闘争であって、福島の安全性を認めることは敗北を意味する。

 

自分に都合の悪い情報は認めない反原発活動家の心理については福島大学で教鞭をとる社会学者の開沼博氏が著書「はじめての福島学」(イースト・プレス)で社会心理学の理論を用いて解説している。

 

観念ではなく事実を重視する報道こそが、こうした卑怯ないじめをなくすには最低限必要だ。

 

(12/7執筆)