数字を伝えないGDP速報報道 | 検証・報道ステーション

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このブログでは、テレビ朝日のニュース「報道ステーション」について、放送番組の編集について「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を定めた放送法第4条の観点から虚心坦懐に検証します。

11/14 (22:27頃)

 

【 報ステ 】

本日発表された2016年7-9月期のGDP速報についての報道

 

(小川アナ)

「今日、7月から9月の実質GDP、国内総生産が発表されまして3期連続のプラス成長ということになりましたが、成長しているはずなのに各地で再び値下げの波が広がっているんです

 

値下げの波 列島各地に・・・”節約”でデフレの足音?」の見出し

・1分10円飲み放題の居酒屋

・6個で99円の餃子店

・先週ドーナツの値下げを発表したミスタードーナツ

・値上げ路線で減益となったユニクロが低価格路線に舵を切った

・若者が洋服や靴に使う消費が10年前の3分の1になった

・ネット上での個人売買を仲介するビジネス

 

【 論評 】

本日発表されたGDP速報のニュースなのに、成長率は何%だったのか?市場予想を上回ったのか?下回ったのか?株価の反応はどうだったのか?について何も言及がなかった。

 

7-9の実質GDPは市場予想を上回る前期比0.5%増(年率2.2%増)だった。外需主導の回復で消費や設備投資は微増にとどまり、回復の足取りは重いが、なぜ数字を伝えないのか?

 

市場予想を上回ったことが不都合だったのだろうか?

 

一方、デフレの波だと言って値下げのニュースばかり取り上げるが、値上げの動きについて取り上げないのは不正確だ。

 

11月に入ってからUSJは8年連続で値上げする方針を明らかにしたし、CoCo壱番屋は人件費の増加を理由に21円の値上げを発表した。

 

需要が好調な業種や、パート・アルバイト市場の需給のひっ迫を受けて労働集約的な飲食店では値上げする店も出てきている。

 

現在はインフレでもデフレでもない状態だ。

 

なのに、あたかもデフレが広がっているかのようなニュースばかりを取り上げる。GDP成長率が低い伸びに留まることを前提にした取材を無駄にしたくなかったのだろうかと疑いたくなる。

 

これでは、消費を先送りすることが得策になるので、個人消費が伸びないのも無理はない。

 

数字は無視して、番組が伝えたい事実だけを取り上げる。これは立派な偏向報道だ。

 

(11/15執筆)