チュークではじめての友だち、14歳のジュニオ。
次の日、センセイと二人で、彼に会いにいった。
探してもみつからなかったので、別の民家を訪れた。
話をさかのぼること前日。
ジュニオが、煙草を持っているか、ときく。
14歳でも煙草を吸うのかな、と疑問に思いつつ、持ってないというと、まあいい、という顔をして、小屋に私を連れていった。
小屋の中では、男たちが、料理をしていた。
料理といっても、ごく原始的なものだ。
大鍋のなかで、黄色がかったもちのようなものが、蒸されている。バナナの葉でふたをしてあり、その上にココナツの皮がのっている。
蒸し上がると、男は地面にべたっと座りこんで、まな板のようなものの上で、もちをつく。もちに見えたのは、タロイモかヤムイモだと、後でわかった。
本当に、人間の生きるいちばん基本的な姿に見えた。
片手でもてるきねみたいな木製の道具で、ねばねばしたペースト状のものをこねあげていく。
ある程度の固さになったら、バナナの葉でつつむ。
ジュニオは、その男たちに、煙草をあげようとしていたのだ。
家長のような男の人が、少し分けてくれた。
食べてみると、栗きんとんのような味で、舌を焼けどしそうなほど、熱かった。とてもおいしかった。
レストランには濃い味のステーキしかなかったので、これを食べたかったと思った。
次の日もう一度その小屋を訪れたのは、煙草をお土産に持っていくためだった。
家にいる人たちにおみやげを渡し、下に降りた。
民家は丘の斜面にある。
子供がたくさん走りまわっている。
道路に降りると、「コーヒーいりませんか」と声をかけられた。
見ると、昨日の家長さんである。
彼はリノさんといった。
リノさんは、25セントでコーヒーを売って、家計の足しにしていた。
私たちは、1ドルで4杯頼んだ。
道路脇の、バラック小屋の中で、一服した。
子供や親戚がどんどん集まってくる。
ちょうど、お昼のために、バナナと菓子パンを持っていたので、みんなにあげた。
そのとき、ちょっと感動してしまったのだが、一人の子供にパンを渡すと、半分にしてとなりの子に渡す。その子がまたそれを半分にして、となりに渡す。そうやって、できる限りみんなに行き渡るようにするのだ。
自然と、お互いに助け合う文化が出来上がっているのだった。
リノさんに、あなたは村長か、ときくと、違うという。
ここにはリーダーに当たる人はいないのかきくと、いないらしい。
「山の上に日本軍が残した大砲があるので、見に行きませんか」
とリノさんは言う。
是非見てみたいので、連れていってもらうことになった。
森の中に入ると、いつの間にか男の子たちの隊列が出来ていた。ジュニオもその中に混じっている。
総勢13人ほどで、いきなりピクニックがはじまった。
いちばん後ろを歩く子が、ウクレレを弾きながら、歌を歌う。
BGMつきの、ぜい沢なピクニックである。
しばらく歩くと、米軍の艦砲射撃でできた穴だらけの森に入った。
(つづく)


