第2章 昭和の記録~奇跡その2~<天橋立の守り人>

 

第2章 昭和の記録~奇跡その1~はコチラ

 

 

記憶にある2回目の奇跡は

第1章で語った落下事故を回避した奇跡と

ほぼ同じ時期に起こりました

 

 

あの時も、何か見えない力が働いた?としか

思えませんでしたが、この2回目も同じでした

 

いや、もしかしたら、

こちらの方がもっと危なかったかも・・・

 

 

「コレはダメかも知れない・・」

 

 

子供心に、あきらめの境地に立たされた出来事

 

それは、父に連れられて家族で行った海水浴で

溺れてしまったことでした

 

 

我が家には車がなかったんです。

だから、海水浴は電車かバスで行くのが常でした

 

中でも父がよく連れて行ってくれたのが

天橋立です

自宅目の前の駅から、電車で約30分で着きます

 

出発の朝は

母が早起きして作ってくれたおにぎりが並びます

 

梅干しと昆布、たまに鮭

おかずの卵焼きや奈良漬けも好きでした。

 

浮き輪や水中眼鏡といった

必須アイテムをバッグに詰め込んで

兄弟3人のワクワク感は最高潮!!

 

電車に揺られること約30分

近づくにつれて車窓から見えてくる

空の青さと海の碧さに胸が高鳴ります

 

天橋立の駅を降りて、回転橋を渡ると

松の木が立ち並ぶ美しい砂浜が広がっていました

 

父がゴザを敷きいて、浮き輪に空気を入れます

 

兄たちは「早く入ろうぜ!」とはしゃぎまくり・・

準備体操を済ませて

 

イザ、海へ!

 

兄たちは既に泳げたましたが

小学校低学年のナルハラはまだ泳げませんでした

 

だから、腹巻のように体に浮き輪を通して

ザブンと海に飛び込みます

 

遠浅の海

 

少しずつ沖の方へ進んでいき

「ここは、足が付くかな?」

そう思って、万歳をするように両手を上げた・・

 

その瞬間、浮き輪が体からスルリと抜けた

 

ブクブクブク・・・

 

足が、足が付かない

 

予想以上に深かったんです

 

何も掴むものがない水中で

ナルハラは必死にもがいた

 

目の前に見えるのは、大小無数の泡ばかり・・

 

海面から届くかすかな光が揺らめき

音が遠のいていく・・

 

 

「い、い、息が....できない....」

「もう、ダメかも......」

 

 

諦めかけたその瞬間

腕に、軽い痛みを覚えました

何かに掴まれ、ぐいっと引っ張られる感覚

 

「何だ?」

 

気がつくと、

視界いっぱいに青い空が広がっている・・・

 

そして飲み込んだ海水のしょっぱい味と

海水浴客の喧騒さが耳に入ってきて

生きている感覚を思い出させてくれました

 

我に返ると、その青い空をバックに

笑顔の知らないおじさんがいました

 

ナルハラは

そのおじさんにしっかりと抱えられていたんです

 

泳いでいる時、周りには誰もいなかったはずだ

少なくとも、ナルハラの記憶ではそうでした

 

でも、このおじさんは見ていてくれたんでしょう

 

抱えられている時、改めて周囲を見渡しても

すぐ近くに他の人の姿はなかった・・・

 

まるで、このおじさんだけが、私が溺れることを

知っていてそこにいたかのように・・

 

「たまたまでしょ」と言われれば

そうかもしれません

 

でも、ナルハラはこれも奇跡だったと

今でも信じています

 

あの時、もし誰もいなければ.・・・

そう考えるだけで、今でも背筋が凍ります

 

 

次の奇跡は、小学校高学年になった頃の話

その時、ナルハラは

再び「何か」に守られることになる!?

 

奇跡その3に続く