第2章 昭和の記録~奇跡その6~
<番外編>

 

第2章 昭和の記録~奇跡その5~はコチラ

 

美紀ちゃんとのこと

 

結果から言うと・・・

高校に入学してすぐの6月くらいに、

別れてしまったんです

 

その原因は——

 

 

やきもち!!

 

 

私の、美紀ちゃんに対する

やきもちが原因でした。

 

 

なんでそんなに? 

と思うかもしれませんが

中学校と高校では環境がガラリ

と変わっていたんです

 

クラスの数も、生徒数も

 中学校の時とははるかに異なっていました

 

校内で美紀ちゃんと 会える時間も

極端に減っていきました

 

同じクラスになっていれば

また違う形になっていたかも しれません

 

でも、現実はなかなかうまくいかないものです

 

 

 

だから、私は

美紀ちゃんが他の男子生徒と

一緒に話したりしているのを 見る度に

胸の奥が 締め付けられるような痛みを

感じていました

 

その痛みは、見る度に 大きくなっていきました

 

そして、その度に私の心は

だんだんと卑屈になっていった・・・

 

 

部活もそうでした

 

私は軽音楽部で

美紀ちゃんはバレーボール部

 

なんと皮肉なことなんでしょう

バレーボールは

私が中学校の時にやっていたスポーツ

 

もう一緒に帰れるのは

週に1回程度にしかありませんでした

 

そしてその少ない時間に

話す内容も微妙になっていきました

 

私の頭の中には

私以外の生徒と楽しそうに話している

美紀ちゃんの姿が、いつも浮かんでいました

 

 

そんなこんなで、ある日・・・

冗談のつもりでつい

ナルハラは口にしてしまいました

 

 

「もう、別れようか」

 

 

その言葉の重さに気づいていませんでした

 

美紀ちゃんは、静かに ナルハラを見つめて

 

「ナルハラがそう言うなら、 仕方ないね」

 

その場で、受け入れられてしまった

 

・・・え?

 

しばらくは、放心状態でした

 

その後、どうやって帰ったのか

今でも全く覚えていません

 

 

冗談のつもりだった言葉が、 現実になった

 

 

 

次の日

 

ナルハラと美紀ちゃんが別れたという話は

あっという間に 学年中を駆け抜けました

 

中学校だけでなく

高校でも美紀ちゃんは男子の羨望の的だった

 

だからこそ

の噂は あっという間に広まった

 

 

落胆して、暗い佇まいのナルハラ・・・

 

そんな時、誰かが寄り添ってくれた

 

それに気づいたのは

別れてから2週間ほど経ってからのことでした

 

その、傍にいてくれる存在が

心に安らぎを与えてくれました

 

寂しさも

だんだんと 和らぎていきました

 

その寄り添ってくれた

同じクラスの千春ちゃんと

いつの間にか 付き合うようになっていました

 

 

 

でも——美紀ちゃんとの別れは

ナルハラの心の中に

今でも深く残っています

 

あの別れを経て、 私の考え方の中に

一つの大切なことが 刻まれました

 

 

それは——

 

 

「信じること」

 

 

たとえ嘘をつかれていたとしても

信じること

 

相手のことを信じること——

 

それは、自分自身を 信じることにもなる

 

美紀ちゃんが別の男子と

楽しそうに話しているのを見て

勝手に疑って勝手に苦しんだ

 

そして・・・勝手に別れてしまった

 

信じていれば——

 

あの時

ナルハラが 美紀ちゃんを信じていれば

その後の人生も、 きっと違ったかもしれない

 

でも、その経験があったからこそ

「信じること」の大切さを

骨の髄まで学んだのでした

 

 

 

そして——

「信じること」は

 

 

「心の置き所ひとつで

 人生の在り方は変わる」

 

 

という、大きな考えの礎になった

 

幼少から高校までの

たくさんの奇跡の体験

 

守られていたこと

 

そして、信じることの大切さ

 

 

その「芯」を持った高校生の ナルハラは

いよいよ大学の門をくぐることに なりました

 

でも、その先には

まだ誰も知らない 「人生を変える出来事」が

静かに待っていたのでした

 

 

第3章へ続く—— 「命に関わる怪我・初の挫折」

第2章 昭和の記録~奇跡その5~

<高校生時代>

 

第2章 昭和の記録~奇跡その4~はコチラ

 


楽しくて充実した中学校生活を終えて

ナルハラは地元の公立高校に入学しました

もちろん美紀ちゃんも一緒でした 

(過去形ですが......笑)

入学時は、中学校時代の先輩が何度も

バレーボール部に勧誘に来てくれました

でも、私はもうバンドに夢中だったんです

迷わず軽音楽部へ入部

高校での楽器は

ギターからドラムに変わっていました

スティックを握りしめて

軽快にリズムを刻む爽快感

 

 新しい世界が無限に広がる感覚・・・

新鮮な気分で、勉強、部活

そして彼女との時間で 満たされた日々

そんな1年生の夏に、高校で最後の?

危機&奇跡が 起こったんです



今回こそは、ダメかも・・



当時の私たちの海と言えば

琴引き浜でした

鳴き砂で有名な、美しい浜辺です

まだ原付免許が取得できる年齢ではなかったので

その時も自転車で琴引き浜に向かいました

友人たち3人で少し雲行きの怪しい中

汗をかきながらペダルを漕いで海を目指しました

しかし「その時」は

台風の影響で遊泳禁止に なっていたんです

浜辺には数人の人影しか見えず

何ヶ所かで赤い旗がはためいていました

危険なのは、心の中ではわかっていました

だから、沖に出ることはせず

波打ち際で遊んでいたんです

浜辺で大きな波にのまれて

波打ち際でゴロゴロと転がされて

3人でゲラゲラ笑っていました

「うわっ、また来た!」 

「きゃははは!」

若さゆえの無邪気さ満開で
波打ち際で遊んでいたはず だったのに・・・

いつの間にか

3人とも沖に流されてるじゃないですか!

「あれ......?」

3人が同時に気づいた時には

浜辺からもう10メートルほど離れていました

「やばい!戻らなきゃ!」

3人で声を掛け合いながら

浜辺に向かって必死で泳ぎました。

友達2人は流れに乗ったのか

私の視界からどんどん離れて いって
砂浜近くまで行ったのが見えました

「よかった・・」

でも、そんなことを考えたのは一瞬で

僕は全然進んでいないじゃないか!!

腕と足を力の限り動かして泳いでも

浜に近づく気配がありませんでした

今で言う「離岸流」だったん でしょう

上から被るような大きな波はが来ること無く

息ができたのが幸いで

溺れることはありませんでした

でも——体力は、確実に奪われていきました



もう無理だ・・・



本当に、そう思いました

小学校の時、天橋立で 溺れた時に似た感覚

あの時も、こうして諦めかけた



浜辺を見ると

友人の2人が 何か叫びながら

手を振ってくれているのが見えました

声は聞こえませんでしたが、

その姿が勇気と力になったのは間違いありません

「まだだ!諦めるな!」

諦めかけた心を再度 奮い立たせて

無我夢中で、手と足を動かし始めました

その時——。

何て言っていいのか、 表現が難しいんですが
見えない力が、 引っ張ってくれた感じ。

グイン!

そんな感覚がありました

体が、急に前に進んだんです

気づいたら・・・・

目の前に 砂浜があるじゃないですか!!

「着いた!?ホントに??」

砂浜近くになると、波も 大きくなって

またゴロゴロと 転がされました

水も砂も、かなり飲み込みましたが

 2人の友人が駆け寄ってきて

 引っ張り上げてくれました



「大丈夫か!?」

「ナルハラ!しっかりしろ!」



浜辺に這い上がって、 砂の上に倒れ込みました

荒い息を整えながら、 空を見上げました

雲の中から覗いた青い空が、眩しかった

久々の——見えない力に 助けられた

という感覚

この時、小学校と中学校の時の 奇跡が

ブワーっと頭の中に 蘇ってきたんです



天井からの落下

天橋立での溺水

道路の真ん中での転倒

そして今回・・・



小学校と中学校の時は、

全然気にもしていませんでした

でも、少し大人になった高校生にとって

今回のことは さすがに感じるものがありました

何か別の力で、命を 奪われようとしているけど

 しっかりと守られている

そんな確信が、心の中に芽生えました



この時はまだ、これから大学に 入って

今後の人生を左右する

大きな怪我をすることになるとは

思ってもいませんでした



高校生活は、充実していました

美紀ちゃんとは1年生の時に別れましたが

すぐに 新しい彼女と付き合うことになりました

バンド活動も続けて

仲間たちとライブを 重ねました

ドラムを叩きながら、

「俺の人生、これからだ!」

本気でそう思っていました

でも・・・・

人生は、予測不可能ですね



別れた美紀ちゃんとは

また約40年後に再開することになりますが

その話はプロフィールのプロローグくらいに

出てくるでしょう



次章 番外編に続く

 

番外編は、美紀ちゃんと別れた原因と

それが今でも私の生き方・考え方に

大きな影響を及ぼした話になります

 

第2章 昭和の記録~奇跡その4~

<初めての彼女>

 

第2章 昭和の記録~奇跡その3~はコチラ

 

 

小学校時代、いくつもの奇跡によって

命を守られてきたナルハラ

 

中学生になった私に起こった奇跡とは・・・

 

これまでのように

命に関わるものではありませんでした

 

それは今でもハッキリと覚えています

 

 

 

まさかの、彼女がっっっ!!

 

 

 

ナルハラは、小学校の時から野球にバスケット

そしてサッカーとスポーツには自信がありました

 

女の子のグループとも遊んだりして

それなりに友達は多かったんです

 

そして、小学校低学年の頃・・・

 

「バレンタインデー」

 

なるものが、この世に現れました

 

もちろん当時は「義理チョコ」

なんて概念はありません

 

本命だけに贈る、真剣勝負の儀式です

 

 

「絶対、誰かからもらえるはず!」

 

 

そう信じて、バレンタインデーの朝は

登校するなり下駄箱を覗き込みました

 

......何もない

 

次は机の中

期待を込めて、そっと蓋を開けてみます

 

......何もない

 

ガックリ・・・

 

小学生ながら、肩を落としました

 

早朝から放課後まで、何度も下駄箱を確認して

蛍の光の音楽が流れるまで待ちました

 

でも結局、小学校を卒業するまで

1度ももらえませんでした

 

中学校になっても、1年生までは同じ

 

バレンタインデーは

ナルハラにとってただ苦い思い出を重ねる日でしか

ありませんでした

 

 

中学校では、1年生からテニス部に入りながら

陸上部にも掛け持ちし

2年生からはバレーボール部に所属しました

 

スポーツ少年ナルハラの面目躍如

というところでしょうか

 

そんな頃です

 

学年は同じでも違うクラスに

意識しだす女子が現れたのは・・・

 

 

中野美紀ちゃん(仮名)

 

 

男女ともに友達は多かったナルハラですが

いわゆる「両想い」で付き合うなんてことは

一切ありませんでした

 

それ以上に・・・美紀ちゃんは

学年どころか学校で1番人気があるくらいの

存在だったんです

 

しかも、すでに1つ上の学年の

こちらも学校で一番人気の

バスケット部の先輩と付き合っていました

 

学校で1番人気者同士のカップル・・・

 

 

ナルハラにとって

美紀ちゃんは雲の上の存在だったんです

 

 

美紀ちゃんは

ナルハラと同じクラスの女子に友達がいて

休み時間に、時々遊びに来たりしていました

 

何度か話したことはあるけれど、それだけ

 

それ以上の関係になれるなんて

夢の夢にも思っていませんでした

 

 

2年の冬

教室にストーブが出された頃のことです

 

丹後は雪が多く、寒さも厳しい土地柄

 

ストーブの周りには

いつも生徒たちが集まっていました

 

休み時間にクラスの女子たちと

ストーブを囲んで話していた時のこと

 

「ねえねえ、ナルハラは好きな子いるの?」

 

そんな質問が飛んできました

 

何も考えず、ナルハラは答えました

 

 

「美紀ちゃん、いいよね」

 

 

軽い気持ちでした

 

本気で付き合えるなんて

これっぽっちも思っていなかったから

 

女子たちは

「えーっ!」

「マジで!?」

とか、キャーキャー騒いでいましたが

ナルハラは特に気にも留めませんでした

 

 

そんな話をしてから、1週間ほど経った頃・・

 

昼の掃除時間が終わって、教室に戻ってくると

何やら教室がざわついていました

 

女子たちが

キャーキャー言いながら集まっています

 

「何事!?」

「どうしたの?」と聞くと・・・

 

 

「ナルハラ、おめでとーーー!!」

 

 

は?

な、な、なにが起こった???

 

「美紀ちゃん

 ナルハラのこと好きなんだって!!」

 

なになになに??

状況がうまく呑み込めなかったけど

自分で顔がニヤけているのが分かりました

 

でも同時に

「女子にからかわれてるんじゃ?」

という疑念も湧いてきます

 

真偽が分からないまま

午後の授業が始まりました

 

集中なんて、できるはずがありません

 

そして・・・

1枚のメモが、前から机の上に回ってきました

 

 

『今日、美紀が一緒に帰ろうって言ってたから
自転車小屋のところで待ってて』

 

 

 

マジ???

 

 

心臓が、バクバクと音を立てました

 

もう、授業が終わる時間が永遠に感じられて

チラチラと時計を見ては

針の進みの遅さにため息をつきました

 

部活もあったので、急いで終わらせて

自転車小屋へ向かいました

 

 

美紀ちゃん......ホントに来るのか!?

 

 

待っている間、何度も深呼吸をしました

 

手に汗を握りしめて

落ち着かない気持ちを抑えようとしました

 

そして・・・

 

美紀ちゃんが、来ました

 

恥ずかしそうに、でも確かに

ナルハラの方へ歩いてきました

 

夕陽が彼女の後ろから差し込んでいて

逆光で眩しくて・・・

その光景は、今でもはっきりと覚えています

 

 

帰り道、何を話したかは覚えていません

ただ、一緒に歩いているという事実だけで

胸がいっぱいでした

 

 

それからは、毎日一緒に帰りました

日曜日はデートで、隣町へ映画を観に行ったり

公園に行ったり、散歩したり・・・

 

 

そして迎えた、人生初のバレンタインデー

 

美紀ちゃんは

手作りのチョコレートをくれました

 

型に取った

とても大きなハート型のチョコレート

 

「ありがとう・・・」

 

天にも昇るくらい嬉しくて嬉しくて・・

 

でも食べられませんでした

 

3ヶ月くらい、大切に部屋に保管していました

 

箱を半紙に包んで

引出しに入れて溶けないように。

 

たまに眺めては、ニヤニヤしていたものです

 

中学3年生からは、バンドも始めました

 

ギターを手に

仲間たちと音楽に没頭する日々

 

美紀ちゃんの当時の推しは

ベイシティローラーズ!!

 

その曲は出来ませんでしたが、

高校に入学するまで

本当に楽しい毎日を過ごしました

 

 

 

雲の上の存在の美紀ちゃんと

地を這うようなナルハラが付き合うなんて・・

 

 

これはもう

奇跡以外の何物でもありません

 

 

あの時、ストーブの前で何気なく言った

「美紀ちゃん、いいよね」という一言

 

それが、友達を通じて美紀ちゃんに伝わって

まさかの展開になったんです

 

 

想いは通じる

 

 

当時、そして今も・・・

この言葉を、ナルハラは信じています

 

口に出さなければ、何も始まらない

 

でも、素直に想いを口にすれば

奇跡が起こることもある

 

これは、ナルハラが中学時代に学んだ

人生の大切な教訓でした

 

 

次章では、高校時代

そして運命を変える「あの事故」へと

話は進んでいきます・・・

 

奇跡その⑤