マンガ1巻感想「コタローは一人暮らし」


 主人公のさとうコタローは、4歳なのにアパートで一人暮らしを始めた。

 かなり無理のある設定なのだが、少しずつその理由が解ってくると、逆に一人暮らししていることに納得してしまう。

 同じアパートに住む、売れないマンガ家の狩野進、幸薄いキャバ嬢の秋友美月、離婚後子供に会えないヤクザ?田丸勇。

 彼等大人たちの中に、子どものような純粋な主人公が現れて、大人たちの心を解きほぐすというパターンはありがちだが、コタローは本当に子どもなのが新しい。

 この手のギャグマンガが辛いのは、ギャグマンガだと思って、大笑いしていると、突然心臓をえぐられるようなセリフがぶちこまれて、無防備な涙腺が崩壊すること。

 作者もそれを意識して、必ずページをめくった先に、やや大きめのコマで攻めてくるので逃げられない。

 ありがたいのは、コタローが悲しいセリフを言うとき、狩野は必ずセリフが「・・・」。

 誰にも邪魔されず、自分がコタローに感じた気持ちは、自分だけのものとなる。

 2巻以降も狩野同様、コタローから目が離せない。


 ☆☆☆
「絶対に2巻を買って読む」

 著者:津村マミ

 出版:小学館

 発行:2016年1月2日第1刷

 題名:コタローは一人暮らし