『認知症ケアの倫理』第26回読書会レポート③
2023年11月9日(木)に開催した『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』の第26回読書会のレポートをお届けいたします。
「ホームヘルパーをして26年目になる。人それぞれに違う思いがあるので、それを受け止めながらやっていると本当にいろいろある。私はこう思っていたけれど、この人は違うという事は日々ある。自分の考えを押しつけてはいけない。たとえば、トイレに行く時でも今まで移乗していた方向よりも反対の方向が楽なのではと思ってやってみたりするが、その人にとっては逆が良いという場合もある」
「こちらのやり方のほうが理にかなっていると思っても、理にかなっていたり、正しかったりする事がその人にとっての快適さというわけではない。場合によっては非効率なやり方のほうが好まれることもある」
「きっかけはいくつもある。この読書会に参加するきっかけは、邦人人口がイギリスで増えて、認知症の人も増え、英語で生活していたのが日本語しか話さなくなってしまったため、日本語で世話をできるケアホームをつくろうと思ったことだった。
自分は日本で生まれ育ったが、8歳の時に父親がうつ病になった。当時、うつという言葉がなく、きちがいと言われ、自分も差別された。どうすれば父が治るだろうと考え、クリスチャンの幼稚園だったので祈っていたが治らず、うつ病からパーキンソン、アルツハイマー型認知症となり、86歳で亡くなった。今から考えると、うつ病になった原因は上司のパワハラだった。接待でお酒が飲めないのに飲まされて、手が硬直したりしていた。地域から差別されたこともあったので、こういう分野にはずっと興味があった。151ページの『やることのすべてに必ず喜びがあるように』というところにとても共感する。
イギリスは多民族国家なので、どうやったら互いにケンカせずに認め合ってやっていけるかを考えている。キーワードはcognitive empathy(認知的共感)とリスペクトで、自分を咎めないで自分を受け容れる事や、相手のそのままの状態を受け容れる事が大切だ。特別なニーズのある子供への戦略もある。人間関係の構築には時間がかかるが、オープンクエスチョンを使って相手の答えを引き出す事や、ネガティブではなくポジティブな部分にフォーカスしていく事が大事だ。作った笑顔でもいいので、演技者として理想の接し方を自分でやっていく。サポートしあえる関係をどうすれば構築できるか考えている。1対1ならできるけれども、1対30のような、1対1にフォーカスできない状況だと難しい」
【ブリコラージュ連載中】
【認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア講座~】
開催日:2023年11月29日(水)14:00~15:30
会場:オンライン
参加費:2,200円(税込)
主催:全国コミュニティライフサポートセンター
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