第5回読書会レポート | 寺田真理子オフィシャルブログ

第5回読書会レポート

昨夜は『リーダーのためのパーソンセンタードケア』第5回読書会でした。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。以下にレポートをお届けいたします。

 

 

 

今回は38ページの「集団の規範」から読んでいきました。

 

39ページの「アッシュの同調実験」は訳注にも書いてありますが、たとえばAとBのうち絶対にAが正解だとわかっていたとしても、周りの人が全員Bだと主張するとAだと言えなくなって自分もBを正解としてしまう傾向を証明したものです。

 

40ページの「認知的不協和」については、イソップの「すっぱい葡萄」が有名な例として挙げられます。狐が葡萄を食べようとしたけれども手が届かなくて食べることができず、「どうせあの葡萄はすっぱいんだ」と負け惜しみを言う話です。Aが手に入らないからAには価値がないとするものです。

 

同様に、「甘いレモン」という例もあります。すっぱいに決まっているレモンを「甘くておいしい」と言い張る、つまりAしか手に入らないからAには価値があると思い込もうとするものです。

 

関連して『自分の小さな「箱」から脱出する方法』からの事例を紹介しました。

 

 

夫婦が寝ているときに、赤ちゃんが夜泣きを始めます。夫はそれに気づくのですが、そのときに「起きて赤ちゃんをあやさなきゃ」という気持ちに従って行動する選択肢があります。その一方でわかっていながら自分の感情にそむく選択肢もあります。自分の感情に背くことは自分への裏切りで、自分を正当化するための言い訳が心の中で始まります。たとえば「こんなに働いて帰ってきたのに夜も眠らせてもらえないなんて、自分は被害者だ」というように。また、妻に対しても「どうして起きて赤ちゃんをあやしてあげないんだ」と責める気持ちが生まれてきます。これらは自分の感情に従って、起きて赤ちゃんをあやしていれば生じることのない気持ちでした。

 

実は、私も先日似たようなことを経験しました。電車の中でベビーカーに乗った赤ちゃんがいて、かけてあったブランケットがずり落ちそうになっていました。かけ直そうかという気持ちがあったのですが、その一方で、手を出すことでお母さんが「自分は行き届かない母親だ」と責められているような気持ちにならないか、また、他人に触られるのを嫌がるのではないかなどの遠慮もあって様子を見ていました。周りでこちらを見ている人もいたので、「この人には私が気のきかない人間に見えるのだろうな」という思いもよぎりました。そうしているうちに、「このお母さんもどうして気づかないのか」「もっとそばに立っている人がいるのに、どうしてこの人は気づかないのか」と周りを責める気持ちが自分の中に生じるのを感じました。余計なことを考えずにかけ直していれば生じなかった感情かと思います。

 

他にも類似の状況にこの事例が当てはめられるという話や、そういう感情が自分にはわからないなどいろいろと話が展開していきました。

 

また、新しい職員がいい風を吹かせようとしているところを昔からいる上の人がつぶしてしまう例も実際に多く参加者の方たちは目にしてきていたので、それについても話が及びました。

 

今回は40ページの事例の前まで読み進めました。次回は40ページの下にある事例から読んでいきます。

 

※第4回までのレポートはこちらからご覧いただけます。