『リーダーのためのパーソンセンタードケア』第1回読書会レポート②
『リーダーのためのパーソンセンタードケア』第1回読書会のレポートのつづきです。
リーダーのためのパーソンセンタードケア―認知症介護のチームづくり
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『リーダーのためのパーソンセンタードケア』を「はじめに」から読み進めていきました。こうして全体像を把握した上で第1章「パーソンセンタードケアの目標に焦点をあてよう」をゆっくりと読んでいきました。
13ページの次の事例が話題になりました。
“ずっとひとり暮らしをしてきた、ひとりでいるのがとても好きな人には、介護を受け容れることはものすごくつらいでしょう。このために興奮した行動や引きこもりが生じるかもしれません。”
私自身もひとりで過ごすのがとても好きなタイプなので、この事例にはとても共感しますし、将来のことを考えさせられます。
以前にフランス文学者の鹿島茂さんが、「学者はひとりで引きこもって研究をしているのが好きなのだから、将来は学者だけを集めた高齢者施設があったらよいのではないか」という趣旨のご発言をされていたように記憶しています。
(この内容とは関係ありませんが、本棚にあった鹿島さんのこちらの本がおもしろかったのでご紹介しました。)
セーラー服とエッフェル塔 (文春文庫)
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施設にいても、ひとりで新聞の切り抜きをする人もいるそうです。その方の場合は元新聞記者でしたので、いまでも新聞の切り抜きを好んでやっているのです。
新聞の「切り抜き文化」とでもいうものがあり、切り抜きが好きな人も多いので、何を切り抜いたのか互いに発表できるような機会があるとよいのではという意見も出ました。その方は以前に友人とお互いの切り抜きについて話し合った経験があり、とても盛り上がったそうです。
マンガ喫茶のようにプライベートな仕切りがあるデイサービスが出てきてもいいのではという意見もありました。ただ、実際にケアマネとしてそれに近いデイサービスを利用者に勧めてみた方によると、2、3回で行かなくなってしまったそうです。ひとりで過ごすのが好きな方だからと思ってそのサービスを選んだものの、うまくいかなかったとのこと。その経験から、一定期間の拘束や縛りがないと、自由すぎてかえって孤独になってしまうのではという結論に達したそうです。大勢の人とのコミュニケーションが盛んである必要はないけれども、多少お互いの体温を感じるくらいの距離感があったほうがよいのではないかという意見です。
ここから先日の台風にも話題が及びました。交通機関が乱れている中でも出社しようとすることの是非や、背後にある日本文化、また、ドラマ「わたし、定時で帰ります」についても話し合いました。
日本では人の生き方についてもロールモデルが課されてしまうのではないかという話になりました。他国であれば引きこもるか引きこもらないかはその人が決めていいし、引きこもってもそれが自分の選んだ人生として認められるところを、日本だと「引きこもらないようにしましょう」といって自分の望みを無視して無理に引っ張り出されてしまうのです。