アメリカで起こった教員によるストライキのその後の影響について。
The Teachers are Winning. What Does It Mean for Profession?
Teacher Activists Take Fight to the Polls
No, Teachers Strikes Do Not Help Students
Will a "School Choice for All' Program Survive the Ballot Box in Arizona?
前回に引き続き、アメリカで余波続く、教員によるストライキについて、もう少しお伝えしたいと思います。
<ストライキの根本的問題>
前回のブログで、アメリカ、アリゾナ州、ウェストバージニア州、オクラホマ州でのストライキの目的が賃上げであることはお伝えしました。今回はさらにそこから突っ込んだ話ですが、この種の話、詰まる所は、
School Funding(学校予算)
この配分に関する問題です。一番目のリンク先の記事でも指摘していますが、
whether the shorter-term salary hikes they've won in the states will help shake down solutions to long-term, structural budget issues
(ストライキを行った州の教員が勝ち取った短期的な昇給が、予算編成という長期的かつ構造上の問題を解決するきっかけとなりうるか?)
ここです。前回のブログで指摘した通り、教員を含む公務員の給料は税収でカバーされます。税収を増やすには(景気が良いのはもちろん、基本的に)増税による政策しかありません。一般市民も教員による賃上げ要求によるストライキをサポートしてはいるものの、かといって増税には断固反対・・・というから困ったものです。
増税は反対、でもストライキする教員の給料は上げるべき!!これがある意味、最も厄介な政治問題です。さらに、年金、医療負担が増えているものの、この種の議論はなく、本来なら、医療費、年金、教員を含む公務員の給料等は実はセットが考えないといけないですが、教員のストライキではその種の話は一切なく、ただただ賃上げ要求の議論一辺倒です。
このため、議会で議論する政治家とストライキを行った教員との議論で乖離があるのは当然で、議会の人たちは教育予算のみを考えて予算編成を行うわけはないので、この種の議論、結構まだまだ揉めそうです(教育予算、School Financeに関するネタはこのブログで今後随時お伝えする予定です)。
<ストライキ後の動き(1)>
ストライキがストップしたとはいえ、教員がまだまだ安心できない状況であるのもまた事実。前回お伝えした(アメリカで一番注目された)アリゾナ州全土でのストライキでは、10億ドル(約1000億円)を公立学校へ支出すること、教員の給料20%アップ、そして(教員の給料が上がらない要因とされている)減税の一時停止を要求していました。
他方、それに答えるアリゾナ議会、そして州知事は2020年までにそれを実施すると約束したものの、前提として経済がこのまま上昇する・・・という名目の元で税収を計算して出した案なので、教員の多くも懐疑的な状況です。
アリゾナ州の場合、このストライキによって2つの政策に関して住民投票で採決を取るような動きが生じてて、
(1)Voucher Program
多分日本人には全く馴染みのないVoucherプログラム。正直これだけでブログ一回書けるだけの内容なんですが、簡単に言うと、一定の条件を満たした家庭(貧しい家庭の生徒や、学力がひどく低いSpecial Education StudentsやStudents with disabilitiesと呼ばれる生徒を持つ家庭)に対して教育上の財政的援助をするというもの。
一般的なものは、お金がかかる私立学校へいく学費を補填してくれるような感じ。実は、この制度、アリゾナ州は2011年から始めた、Voucherプログラムを行っている州として有名なんですが、アリゾナ州はこのVoucherプログラムを受けられる資格・条件を広げようという人たちとそれを反対する人たちで論争が行われていました。
約110万人いるアリゾナ州在住の小中高校生の内、今は約3万人くらいまでしかVoucher制度を受けられないという数の制限があるのですが、この制限を広げようとしている動きがあり、他方、余計税金がかかるだろう!!と批判する人たち・・・のやり取りです。今回のストライキによってこのプログラムの是非が問われています。
(2)所得税
前回のブログでお伝えしたと思いますが、アリゾナ州は所得税を下げたことによって景気回復させた州です・・・が、これは逆に言うと、税収が一時的に少なることを意味し、この機会に所得税を上げろ!という意見が起こりました。リンク先に記事によると、約15万人の署名を既に集めたとのこと。
で、この2つが住民投票にかけられて採決を問うことになりそうが・・・というのが教員のストライキによって生じたはっきりした動きです。
他方、アリゾナ州とはまた違う動きを見せたのが、オクラホマ州。ストライキ後、州の年金プラン(言わずもがな教員にとって退職後の年金プランは極めて重要)をなし崩しにし、約6000ドルの昇給を勝ち取った教員ですが、それらのお金を補填するため、オクラホマ州議会側は増税を行おうとして、これまた住民投票による採決になりそうです。
ここまでならアリゾナ州とあまり変わらないですが、ここから(教員をサポートする政治家、議員を助ける)選挙活動にまで手を伸ばしているのが少し異なります。アメリカの教員組合の選挙協力、サポートは凄まじく、オクラホマ州教員組合はその対策を始めた、ということまでに至っています。
そしてそれはコロラド州もまた然り。コロラド州教員組合は、州知事&議会に対して物申すが如く、選挙活動へのサポートを行う意思表示をしており、(アリゾナ州と同様)税収を増やすための増税を行うキャンペーンを行い始めています。
<ストライキは生徒にとって良いことか?>
最後にストライキの生徒への影響について。言わずもがな良いわけありません。
ストライキを行うとその期間当然ながら子供は自宅待機です・・・が、大半の家庭が共働きであるアメリカでは、子供を家でお留守番させる・・・ことが実は違法になります。州によって法律が異なるので一概には言えませんが、私が昔住んでいた州では、12歳以下の子供を自宅で留守番させるのを禁止していました。そのため、12歳(小学6年生)の子でも、Babysitterと呼ばれる一時的に面倒を見て貰う人に見てもらわないといけません。
州規模でストライキを行った州では、そのため保護者が(かなり小さければ)そのまま職場に連れて行って、仕事しながら子供もおとなしく遊んでいる・・・これは結構ある風景です。もちろん、会社側もストライキを行っていることを理解しているため、これも許可する・・・こんなシステムですが、全ての会社が許可するか?となると、貧困層の人たちほど職場環境は良くないので、これが可能か?といえば微妙です。
さらに、ストライキの期間は授業がないので、勉強が疎かになるというば、疎かになります。そのため、ストライキは教員にとっては必要ですが、保護者には結構たまったものではないのもまた事実です。
<総評>
今日のネタ、書き始めると意外にあまり書くことなかったので、思ったより短いブログになりましたが(笑)、教員の給料等に関するデータ分析結果を今後またお伝えしながら、この問題より深く考察したいと思い