先月ニューヨークで開催されたアメリカの教育関連の最大の学術学会(カンファレンス)・American Educational Research Associationについて。

 

American Educational Research Association

 

久々の更新。大学の春セメスターが遂に終了し、その分猛烈な勢いで更新予定(あくまで予定です・・)。というわけで、先月ニューヨークで行われたカンファレンスに参加してきました。カンファレンス自体は何回か参加したことありますが、教育関連のカンファレンスは意外にも初めて。しかも、アメリカ最大のAmerican Educational Research Associationのカンファレンスで、大勢の人がニューヨークのマンハッタンに集合。会場内のホテルは教育関係者でごった返してました(噂によると参加者1万8千人だったらしい)。

 

このブログでカンファレンスについてお伝えしたことがなかったので、アメリカのカンファレンスってこんな感じです、と雰囲気を掴み取ってもらえると幸いです。

 

<カンファレンスとは?>

 

4月13日から17日の5日間行われたこのカンファレンス。去年の時点でカンファレンスペーパーと呼ばれる研究論文のアウトラインを提出し、受理された論文(噂によると約2−3割が受理されるらしいので、結構受理される確率低いです)が各セッションで発表されたり、Poster Sessionと呼ばれるポスターを通して研究内容を発表するセッションがあったりなど、様々なテーマのセッションがあります。

 

参加者も大学の教授や博士課程の生徒だけでなく、外部研究機関で働く研究者もいたりなど様々。とりわけ、このカンファレンスは教育最大だけあって、テーマも多岐にわたっているのが特徴です。逆に言うと、特定のテーマに絞ったカンファレンスでないため、共通するテーマのセッションで行われたプレゼンテーションのはずが結構異なる研究テーマだったりと、規模の大きなカンファレンスならではの問題もあります。

 

私の大学では、一年目の博士課程の生徒は、一年に一回(カンファレンスで研究論文の発表をしなくても)カンファレンスに行く金銭的サポートを受けることができるので(年に二回行く場合、二回目のカンファレンスでは研究論文を発表することになっていない限り、お金は出ませんが)、それを利用して参加したため、食費、飛行機代を含む交通費が支給されました(ホテル代もでるのですが、ニューヨーク在住の友人がいたおかげで、宿泊費はうきました)。

 

こうして参加者は5日間の内、自分の好きなテーマのセッションに参加し、自分の興味ある分野の研究について理解を深めたりしつつ、夜はReceptionというなの食事会があり、ダタの場合は誰でも参加、Invite Onlyなら招待を受けている人だけのものなどあります。私の通う大学は昨年Receptionがあったそうですが今年はなし!!で、結局期間中友人と食事しただけでした・・・。

 

ちなみに、数多くのセッションが同時開催されたため、複数のホテルで行われたこのカンファレンス。セッションによっては早歩きで徒歩10分もかかる程場所が離れていたため、結果的に観光客の多く訪れるTime Squareを5往復もする羽目になり、Time Square周辺の地理に異様に詳しくなりました・・・。

 

ちなみに、下の写真がTime Squareの写真。観光客でごった返してました・・・。

<カンファレンスの目的>

カンファレンスに行く目的は様々。受理された研究論文は様々な人から批評を受けるため、受け取った批評が今後論文を手直しする参考になる、ということから、セッションに参加することによって、自分の興味ある分野の最先端の研究テーマを知ることができる、などといったことがあげられます。

 

私の場合、Accountability政策、とりわけ教員評価に関する研究を見てみたかったので、そこに関するセッションに多く参加しました。既に自分がやったことがあるアプローチで研究した論文発表を見てはホッとしたり、自分がやろうと思っていたアプローチで行っている研究を見て、あっ、先越された!!と思ったり・・・(笑)。まー、そんな感じでカンファレンスを楽しみました。

 

後、個人的に、カナダで准教授をしているトルコ人の友人がいて、こういったカンファレンスで再会できる、というものカンファレンスのメリットの一つ。メールやチャットのやり取りしかしていなかったので、再会し、友人の専門分野について徹底的に質問して、理解を深めることができたことに、参加した甲斐があったと思います。

 

<セッションで行われること>

 

セッションでは(セッションにもよりますが)4名から7名くらいのプレゼンテーターと呼ばれる人が自分の研究論文の発表をパワーポイントを通して行い(通常10分くらい)、後10分で質疑応答。司会進行の人が進める中、全てのプレゼンが終われば、全体の質疑応答などがあり、だいたい一時間半から2時間くらいのセッションです。

 

興味深いセッションから、はあ!?っていうような研究意義の分からない発表まで色々でしたが、中には分析方法に問題ありの発表もあり、見た発表の一つは明らかに誤ったアプローチをしていて、質疑応答でそこを指摘され、結構ご立腹だったプレゼンテーターもいたりなどしました。

 

興味深かったのは、教員評価(Teacher Evaluation)のセッション。教員評価についての研究発表だけかな・・・と思いきや、ニューヨーク内の教授のプレゼン内容は、その教員評価で用いられる学力テスト、学習内容についてでした。NYの学習内容といえば、Common State Standardと呼ばれる全米共通学習内容(私が以前関わっていた仕事内容)。この教授、このCommon Core Standardの大反対者らしく、プレゼンは怒涛の非難一色。結論も、「我々はこれに反対する活動を行うべき!」と、カンファレンスの研究発表とは思えないような話で、正直聞いてて不愉快になるくらいの内容・・・というか、この人ロビーストでなく教授ですよね?と問い掛けたくなる感じで、まー大規模のカンファレンス、色々ありました・・・。

 

<総評>

 

結構色々あったカンファレンスですが、博士課程の大学院生としては、大変意義ある経験でした。研究発表の仕方、どんな研究が今流行っているのか?、質疑応答はどんな感じ?などなど自分の目で確認してみて良かったなーという感じです。

 

後は、今度は発表するために必要な研究論文の作成・・・となりますが、この夏休み、今ずーと取り組んでいる論文をとっとと終わらせないと・・・という感じで頑張らないとということで、また近い内に更新します。