アメリカ・連邦政府が規定した新たなAccountability政策・Every Student Succeeds Act(ESSA)により、各州政府が州法に合わせた州独自のAccountabilityプランの作成&提出(第1回目)が行われた、という話。

 

Every Student Succeeds Act: Six Questions to Ask About State Plans

 

A Look at How Some States Want to Handle School Ratings in ESSA Plans

 

Which School Quality Factors Are States Including in Their ESSA Plans?

 

最近、ESSAとChronic Absenteeism(慢性的な欠席:欠席日数が学校日数全体の10%かそれ以上のこと)についてブログを書きましたが、実はAccountability政策について、4月3日に一つ、大きな流れがありました。それは、

 

アメリカの各州政府が、連邦政府より2017−18年度より実施されるAccountability政策・ESSAに沿った州独自のAccountability政策・プランを提出する

 

というもの。その第一次締め切りが4月3日で、アメリカ50州の内9州(コネチカット、デラウェアー、イリノイ、マサチューセッツ、ネバダ、ニュージャージー、ニューメキシコ、テネシー、バーモント)とワシントンDCがAccountabilityプランを提出しました。

 

第二回締め切りが9月18日にあり、この締切にその他多数の州政府が州独自のAccountability政策・プランを提出すると思われますが、今日のブログでは上記の提出した州政府が具体的にどのようなAccountabilityプランを提出したのか?について紹介していきたいと思います。

 

<School Rating&5th Indicators>

 

最近書いたChronic Absenteeismに関するブログでお伝えした通り、今回連邦政府から規定されたAccountability政策・ESSAでは、各州政府が5つの指標(Indicators)を設け、その指標を通してパフォーマンスの低い学校を特定し、その特定する判断を下す学校評価基準を設けることが定められています(詳細は過去のブログ参照を)。

 

そのため、一体どんな学校評価システムにしたのか?5つ目の指標に何を用いたのか?について、各州政府それぞれ見てみると、

 

(コネチカット州)

合計12の指標を採用したコネチカット州。各指標の占める割合は下記のグラフを参照してもらうとして、12の指標を使い、各学校を0−100点換算で評価していくAccountabilityシステムに落ち着きました。

興味深いのは、5つ目の指標としてPhysical Fitness(おそらく体育の身体能力を用いた指標)やAccess to Art Education(美術:アートの授業へのアクセス)があり、勉学以外の指標も取り入れている所。

 

(デラウェアー州)

この州の特徴は、ESSAで規定された5つ目の指標であるSchool Quality(学力テスト等で測定されない項目)が学校評価全体の20%を占め、それが2つの項目(Chronic Absenteeismの割合と、College & Career Preparedness:大学進学・就職への準備がどれだけで来ているか?についての指標)で構成されていること。

 

(ワシントンDC)

 

DCは学校評価を5段階(0-19.9, 20-39.9, 40-59.9, 6--79.9, 80-100)に分ける評価システム(名前はSchool Transparancy and Reporting)にしている所。

 

5つ目の指標である、Chronic Absenteeism、Standardized Observation(リンク先の記事から理解する限り、第三者の参観によるアンケート調査結果のようなもの・・)などで判断し、上記の0−100点換算の評価結果を行う、とのこと。

 

(イリノイ州)

 

イリノイ州は(5段階評価のDCと異なり)4段階評価を採用(Exemplary, Commendable, Underperforming, Lowest-performing schools)。一番良いExemplaryは67%の基準値を下回る(Underperforming)のグループが全くいない、州内上位10%の学校で、逆に一番下のLowest-performingは州内下位5%で高校レベルで卒業率67%以下の学校。

 

主な5つ目の指標は、Chronic Absenteeism、アンケート調査、9年生での卒業進路状況など。

 

(メイン州)

 

メイン州は今回のESSAのAccountability新システム以前から、独自のAccountabilityシステム(4段階の評価制度)を採用していたため、それを継続して採用し、(Chronic Absenteeismの割合とは別の)一定の出席率を満たしている生徒の割合を指標として用いています。

 

(マサチューセッツ州)

 

マサチューセッツも1−100点換算の指標を用いていて、評価基準は6段階(1-5, 6-10, 11-24, 25-49, 50-89, 90-100とリンク先にはありますが、まだ確定ではないそうです)。

 

主な5つ目の指標は、Chronic Absenteeismの割合、9年生での授業成果、高校レベルでの授業終了状況など。

 

(ネバダ州)

 

ネバダ州も1−100点換算、5段階評価のAccountabilityシステムを採用。ネバダ州は長く5段階システムを採用していたため、これを継続して採用するに至っています。

 

主な5つ目の指標として、出席率を基づいたStudent Engagement(訳しづらい英語なんですが、出席率等を下にどれだけ学校にコミットしているかを示す指標)、学力テストに基づいたCollge and Career Readiness(大学進学・就職する学力的な準備ができているか?という指標)、学力差(小中学校にのみ行う指標で、人種間の学力差、男女の学力差など少ないほうが良い)などなど。

 

(ニュージャージー州)

 

ニュージャージー州は、評価システムが単純な100点換算ではなく、結構ややこしく規定されていて、以下がリンク先にあった一例です。

5つ目の指標(Chronic Absenteeismのみ)が学校評価の10%を占めるシステムになっています。

 

(ニューメキシコ州)

 

A-Fの評価システムで過去5年間学校評価を行ってきたミシシッピー州は、今回のESSAのAccountabilityシステムでの引き続きこのA-Fシステムを用いる予定で、5つ目の指標は、出席率、(学力テストで測れない部分を測る)アンケート調査、学力差をどれだけ縮めたか(小中学年のみの指標)で構成。

 

(テネシー州)

 

州法でも規定されているA-Fの評価システムを取り入れることにしてテネシー州。5つ目の指標として、Chronic Abnseteeismはもちろん、停学率、そして大学進学に必要な学力を有しているかを測るテスト内の基準値に達しているかどうかを含む、卒業率を含んでいます。

 

(バーモント州)

 

4段階評価となるシステム(Bulls-eye, On-target, Near Target, Off-target・・・という少々変わった4段階評価)を設定するバーモント州。5つ目の指標は、(Chronic Absenteeismは入っておらず)College and Career Readiness(大学進学・就職に必要な学力を有しているかの能力)、Physical Fitness(日本語しずらいですが、身体能力に関する測定だと推測されます)、理科系学力などなど、と今回紹介した州の中では一番独特の指標を取り入れています。

 

<総評>

 

今日はとりあえず、ぱーと締め切りに提出した各州政府のAccountability政策のアウトラインについてお伝えしました。4月3日に提出されて以降、細かな詳細が明らかにされ、それに伴う記事も多数出てきているので、次回以降より細かくAccountability政策を見ていきたいと思います。