生徒の学校出席状況と学業、教育政策、とりわけAccountability政策への応用について書かれたレポートについて。

 

Chronic Absenteeism Could be Low-Hanging Fruit for ESSA Indicator

 

Lessons for Broadening School Accountability under the Every Student Succeeds Act

 

最近Student Growth(学力の伸び)ネタが続いたので、少しお休みし、全く違うネタ・Accountability政策とそれに関連したChronic Absenteeism(慢性的な欠席)について。

 

<Accountabilityシステム:ESSA>

 

今日の話、オバマ政権で可決&実行される新たなAccountability政策・Every Student Succeeds Act(ESSA)によって、各州政府が州法改正、州のAccountability政策の改正を行っている最中で、これと関連してChronic Abseteeism(慢性的な欠席)が重要になってきている・・・という話で、まず最初にESSAの概略をお伝えします(というか、これを先に説明しないと後の話ができないのです)。

 

では、このESSAとはどんな法律か?(何度かこのブログでお伝えしてますが、おさらいです)というと、

 

"Under ESSA, states will be required to begin collecting data during the 2017-18 school year in order to identify the lowest performing schools the following school year. "

(2017−18年度から、パフォーマンスの低い学校を特定する目的でデータ収集を義務付ける)

 

以前のAccountability政策であったNo Child Left Behind Act(NCLB)が学業成績を含む、学校現場の現状をあぶり出すことに一定の成果を上げたことから発展し、各州政府はパフォーマンスの低い学校を特定しないといけない、と一歩進んだ内容になりました。さらに、

 

"ESSA requires state accountability systems to annually measure five indicators that assess progress toward the state’s long-term educational goals"

州で定めた長期的目標をどれだけ達成したかを査定する5つの指標を、Accountabilityシステムにおいて、毎年測定する

 

とESSAで5つの指標(又は観点)を通して州が定めた目標をどれだけ達成したか分析しないといけなくなりました。NCLB法で規定された学力テストでProficiencyレベルにどれだけ達したか?のテストスコアー重視の観点から、(テストスコアーだけで以外にも)5つの指標というもう少し幅広い観点から学校現場のパフォーマンスを評価しようとしています。

 

<5つの指標とは?>

 

では、この5つの指標はどのようなものか?というと、ESSAではそれも規定されていて、

 

(指標1〜3:学業成績に関するもの)

 

指標の一つは(NCLB法を継承した)学力テストで測定した学力(例:Proficiencyレベルに達したかどうか?など)、学業成績

 

二つ目の指標も、中学・高校レベルに関係する(指標1の)テストスコアー以外の学業を測定するまた別の指標(例:学力の伸び(←Proficiencyレベルに達する・しないに関係なく、学力の伸び自体で学業の出来具合は評価できます)、卒業率など)。

 

三つ目の指標は、高校卒業・大学進学に関連する学業成績を示す指標アメリカで数年前から注目されているCollege-readinessがまさにこれ)。

 

(指標4:英語学習者(English Language Learners: ELL)

 

このブログでもお伝えしたことがありますが、NCLB法にはなかった新しい指標で、ELL生徒の学力向上。ELL専用の学力テストそれ自体は必修でしたが、どれだけELLの生徒の英語力が伸びたか?がAccountabilityシステムに含まれることになりました。

 

(指標5:School Quality ・Student Success)

 

今日のブログの話がこれで、5番目の指標、Student Quality又はStudent Success

 

従来(つまりNCLB法)にはなかった、学力以外の指標を設けることがESSAでは規定されていて、具体的には

 

”The fifth indicator may include measures of student or educator engagement, student access to and completion of advanced coursework or postsecondary readiness, school climate and safety, or any other indicator under a broad banner of school quality and student success. "

 

上記の英語、大変訳しづらいので、敢えて日本語訳付けませんでしたが、要するに

 

生徒の学力以外で、学校の質、又は生徒の学業達成を示す(学力以外の)測定可能(Measurable)な指標

 

これをAccountabilityシステムに加えることが義務化されました。School Safety(学校の安全性)でも構わないし、Completion of advanced coursework(Advanced Classと呼ばれる学業成績の高い生徒用の授業終了)を指標にしても良いし、そういったことを指標にして設けなさい、というのが今回のESSAの法律内容です。

 

こういった指標を設けることで、(既に述べた)パフォーマンスの低い学校を特定しなさい!!、ということがこのESSAの主な流れになります。

 

<Chronic Absenteeismとは?>

 

今日紹介したリンク先のレポート、実はこの5番目の指標にChronic Absenteeism(慢性的な欠席率←日本語に大変しずらいですが、無理やりした訳語なので、すっきりしない日本語です、すみません・・・)を用いてはどうか?、そんな内容で、そのリサーチレポートを取り上げた理由はまさにそれです。

 

ではまず始めに、このChronic Absenteeismとは何か?というと、

 

1学年(つまり一年)で欠席日数15日以上、又は1年の学校日数の10%以上を欠席

 

というのがChronic Absenteeismと見なされる感じです・・・感じというのは、アメリカの場合、各州によって、1年の学校日数が一定しておらず(州によって結構ばらつきがあります、実は)、さらにこの10%というのも州や学区によってばらつきがあります。

 

今回紹介したリサーチ・レポートはニューヨークCity(つまりニューヨークのマンハッタン、そしてその近郊エリア)のデータを使って、Chronic Absenteeismの割合と学力結果の関係性を分析したもので、それを通して、新たなAccountability政策であるESSAの規定される指標の一つとしてChronic Absenteeismが使えるかどうか?という検証を行っています。

 

というわけで、この話、前置きだけで結構長くなったので、今日はこの辺りで。続きは次回書きます。