全米共通学力テストを採用する州政府が減り続け、代わりにSATやACTのテストを採用していく州政府が増えている、というニュースについて。
 
 
 
久々の全米共通学力基準・テストの話し。今回は、全米共通学力テストとして作られたSmarter Balanced、そして(私が以前スタッフとして働いていた)PARCCを使用する州政府が減り、元々あったテスト会社であるETSが作った、全米の大学進学の際に提出する必要があるテストであるSAT、又はそのライバル会社・ACTが作ったACTのテストを採用する州政府が増えている、という話しです。
 
<減りゆく全米共通学力テスト>
 
約7年前、アメリカ50州&ワシントンDCの内、45州&DC地区が(Smarter BalancedかPARCCを)採用する予定、として始まった全米共通学力テスト。しかし7年経った今、27州政府が不採用を決定し、他のテスト会社のテストを採用するに至っています。
 
とりわけ、高校生レベル(9年生から12年生)での全米共通学力テスト(つまりPARCCかSmarter Balanced)の不採用が増えていて、全米共通学力テストを高校レベルで使用する州政府はたったの7州、逆にSATやACTを採用する州政府は2年前ほんのいくつかの州政府だったのが、今は12州政府まで増加してます。オバマ政権で可決したEvery Student Succeeds Actで高校レベルの学力測定に大学入学で必要なテストをする方向性を示したせいもあり、この傾向(ACTかSATを高校レベルの学力テストで採用すること)はより一層強まると予想されています。
 
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参考程度ですが、現在のアメリカ連邦法で規定されたAccountability法では、小学3年から8年生(アメリカは一般的に6年生から8年生までが中学)までは全学年学力テストが必修で、高校4年間(9年生−12年生)は、全学年必修ではなく、高校時に最低一回の学力測定をする規定になっています。
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<PARCC&SmarterBalancedの最新情報>
 
では、具体的に見ていくと、
 
1.20州&DCが全米共通学力テスト(PARCCかSmarterbalanced)を使用。昨年度(2015-16)と同じ数で、2年前に比べて、9州の減少。
 
2.27州政府が州独自のテストを(テスト会社と契約して)開発、又はテスト会社が独自開発したテストを使用
 
3.3州政府が、州独自のテストと全米共通学力テストを混ぜた混合型のテスト。ルイジアナ州&マサチューセッツ州がPARCCと州独自のテストの混合型で、Smarter Balancedとの混合はミシガン州。
 
4.高校レベルの全米共通学力テストの使用状況は小学3−8年生よりも少なく、たったの7州・・・
 
<変わりゆく高校レベルの学力テスト>
 
高校レベルのテストですが、これは使用する内情が小中レベルとは少々異なるので、少し細かく見ていくと、
 
1.25州政府が、州内の高校生に、大学進学で必要なテスト・SATかACTのテストを受けることが必修。この州法を取り決めた州政府は去年より4州増加。
 
2.連邦政府のAccountability法によって全州政府が必修である、高校レベルの学力結果報告に、SATかACTのテストを用いる州政府が12州で、昨年と同じ数。
 
3.昨年度は、いくつかの州政府が、ACTかSATのテストと州独自のテストの2つを用いて、生徒の大学進学に必要な学力(英語で言うCollege Readiness)と生徒の(大学進学とは関係ない、高校の各学年で規定された基準値と照らし合わせた)学業状況の2つの測定を行っていたが、今年(2017−18年度)はそのような2つのテストを用いるのはミシシッピー州政府のみ
 
で、最後に卒業条件にテストを用いる政策においては、
 
1.12州政府において、テストで一定の基準値をクリアーしない限り、卒業できない規定を設けていて、これは昨年より2州政府減少。
 
2.上記の12州政府の内、生徒自ら自分にあった学力テストを選択できる州政府もあれば、既に決まっている学力テストを受けるしかない場合など、州政府によって様々
 
3.基本学力テストを受けることになっているか、多少の柔軟性があり、研究プロジェクト、仕事経験等、他の課題で(テストで一定の基準値に達する代わりに)代用も可能の取り決めもあり、学力が特に低い生徒にも卒業できるような取り決めとなっている。
 
<総論>
 
全米共通学力基準・テストの話しはできる限りアップデートしていっていますが、第一印象としては、
 
もはや全米共通学力テストの”全米(Nation-wide、又はNational Common)”って言えるのか?
 
という感じになってきています。私がPARCCに働いていた当時(2011−12年)は最大で23州政府が採用すると決めていた状況で、会議一つ開催するにも、23州政府分の参加する州の役人全ての書類・ホテルの手配・・・等、それはそれは大変でしたが、今や7州政府&DC地区のみ・・・。
 
かなり減った状況で、なくなりはしないのかな?という状況で、見ていてハラハラ・ドキドキのような状況です。というわけで、今後も全米共通基準・学力テスト状況はアップデートしていきたいと思います。