先月1回書いた、アメリカの就職活動(面接する側)の2回目。

前回のブログ でお伝えした通り、今回は面接で使用した質問を取り上げて、具体的にどのようにして志願者のスキル、知識、経験、そしてポジションのマッチングを判断していったのかをお伝えします。

私の働く都市部学区のリサーチオフィスのポジション、Data SpecialistとAssessment Specialistの2つが募集され、つい最近Assessment Specialistに新しい人が仕事を開始し、やっとオフィスの空きがなくなりましたが、この2つのポジションを埋めるまでが大変でした・・・・・・。というわけで、どんな質問をしていったのかお伝えしたいと思います。

<面接の質問(1):一般的な質問>

我々のオフィスで最初に質問したのは、テーマがBackgroundと言われる、まずは志願者の一般的な経験、スキル、興味を聞く質問。自分のこれまでの職務経験、スキル、興味を述べる際に以下の点に必ず触れて下さい、ということで列挙された経験が以下。

-膨大なデータを取り扱った経験
-数人の仲間と一緒にリサーチプロジェクトを行い、レポートを行った経験
-データ収集&分析のソフトウェアーを扱った経験
-リサーチプロジェクトを実際に立ち上げた経験
-外部の組織をコラボして何かプロジェクト(又は仕事)を行った経験
-リサーチレポートを実際にデザインし、作成した経験
-提携、契約を結んだ外部の組織との連携をコーディネートした経験
-リサーチ結果をデータ分析の経験のない人にレポートし、正確に把握するお手伝いをした経験


最初の10-15分で答えるのが上記の質問。アメリカでかなり沢山の面接を受けた経験から述べると、最初の質問で上記のことがらにふれながら、自分の経験、スキル、ポジションへの興味を述べるのは、かなりタフです!!・・・が、ある意味志願者の能力がアウトラインながらはっきり分かるので、審査する側としては良い質問です。

で、これらの質問(といっても、まだ最初の質問ですが)で、志願者の半数以上のポジションに適していない人には、ハアハア状態で、正直に言うと、我々オフィスの連中は、志願者がポジションの最適な人物か、大方把握できます。

<面接の質問2:具体的なシナリオ>

最初のタフな質問の後、我々オフィスでは、具体的な状況でどう対処、行動しますか?というスタイルの質問を6つ行いました。その内のいくつかを紹介すると、

(シナリオ1:テスト&アンケート調査)

質問:アンケート調査、又は学力テストが学区内の各学校で適切に行われているかを確認し、適切な処置を施すのは我々オフィスの仕事の一つ。その仕事には、事前に学力テストを行うスケジュール作成&管理、各学校への連絡&通知などなどが含まれます。

1.その仕事のプロセスとして、学力テストやアンケート調査が各学校で適切に行われたかを、どのようにして確認、判断していきますか?

2.各学校が適切に行うために必要なキーをなるプロセスは何ですか?

3.各学校がテスト&アンケート実施上のルールを確実に順守させるためにどんなステップを踏むべきと思いますか?


というのが質問。読んで分かるように、実際に経験した人なら普通に答えられますが、全く行ったことのない人にはチンプンカンプンで、即興で答えるのはかなり難しい質問です。これは、Assessment Specialistのポジションで使われた質問ですが、確かこれ、8人くらいに面接し、まともに答えられたのは、結局このポジションをゲットした人だけでした。

メールや電話で各学校とマメにやりとりする・・・・なーんてのは当たり前の答えで、こんなのは学生でも言えるわけで、我々のオフィスは、これら全てのプロセスを毎年行っているので、答えは正直分かっています。

志願者がどれだけポジションで求められる仕事に近い経験を行ったのか見たいわけで、変に誤魔化して答えると、我々は直ぐに見破って、逆に印象が悪くなります。

(シナリオ2:生徒の学力の変化)


質問:生徒の読解力を毎年最低1回は学力テストで測定することが州法によって定められており、学力テスト結果によっては、生徒に学力向上プランなる計画表が必要になります。

1.学力向上プラン(Student Improvement Plan)において、必要な項目(Elements)は何ですか?

2.そのプランをどのようにして各担当先生に伝達していきますか?

3.そのプランが確実に実行されたかをどのようにして確認・判断しますか?


最初の質問と少々似てますが、今回は学力再建プランについて。リサーチオフィスでテストスコアーの分析は当然で、その結果を踏まえて、どのようにして学力向上プランを作成し、各学校と連携して学力の低い生徒のサポートを行っていくか?というのが、この質問の趣旨(これもAssessment Specialistのポジションの質問)。

点数が上がった、下がった・・・だけをレポートするのは誰でもできることで、この結果を踏まえて学力向上の提言等ができるか?ということで、これまた経験がない人には酷以外の何物でもない質問です。

(シナリオ3:チームワーク)

質問:職場の上司からELL(English Language Learner)の小学低学年の読み書きの能力(Literacy skill)をリサーチするプロジェクトをオフィスの他のメンバーと行うように指示されました。そのタスクを他のメンバーとどのようにして遂行していきますか?

これ、間違っても、ELLの読み書きの能力を測る知識・経験を聞いている質問ではありません。ELLの読み書きの能力・・・というのは見せかけで、この質問を通して聞いているのは、志願者のチームワークスキル(Teamwork Skill)です。

オフィスで働くと、当たり前ですが(日本とはまた違った形で)協調性が必要で、一人個人で行う仕事は仕事、複数のメンバーで行うのも仕事であり、グループワークが不得意な人や経験のない人は意外にもピントのズレた答えをします。

(シナリオ4:不備のあるデータ処理)

質問:学校別でデータ分析をし、各学校に分析結果をレポートするのは仕事に一つですが、その際、学区内の半分の学校のデータにミスがあることが判明しました。

1.ミスのあったデータ結果に対してどのように対処しますか?

2.今後、同じようなミスをしないために、どのようなプロセスを取りますか?


これ、Data Specialist、Assessment Specialistどちらのポジションでも聞かれた質問で、私の面接でも聞かれました。データ分析上、ミスがでるのは当たり前で、ミスがあった時、どう対処しますか?というある意味、実務経験を聞いている質問です。

この質問、全ての志願者がある程度答えることはできるのですが、2番目の「今後、同じミスをしないためにどうしますか?」で志願者の経験してるかどうかの差がでます。

データを扱った経験が乏しい人は、ここで意外にもうまく答えることができず、Data Specialistポジションの志願者でうまく答えられたの、今働く同僚だけでした。

(シナリオ5:生徒の個人情報)

質問:校長先生からの要望で、外部組織と提携して行っている放課後学習プログラム(After-school program)のコーディネーターにプログラムに参加している生徒の個人情報(ID、テストスコアー、欠席率など)を送ることになった。

1.そのリクエストに答える際に、どのようなプロセスをふみますか?

2.そのリクエストに答える際に、最も注意すべきことは何ですか?


この質問もどちらのポジションでも聞かれた質問で、言わずもがな生徒の個人情報の取り扱いについて聞いています。外部組織と連携する際、学区内で使用するIDをデータ提供するのは法律違反のため、IDは含んではいけません。

外部からのデータリクエストは本当によく来るのでは、然るべき手順を踏まないととんでもないことになり、これまた実際に経験した人には普通の質問、そうでない人には酷な質問です。データ分析をほとんどしたことのない人ほど、的はずれな回答があり、これである程度志願者の適性度が分かるので、まー選ぶ側としては便利な質問ですが・・・。

というわけで、これ以外にもいくつか質問がありますが、上記のような質問に全て適切な回答ができれば、二次面接にいくことができます。こうして質問を振り返って見ると、私の上司、良い質問作ってたなあ・・・と感心しますが、志願者にとってはたまったもんではなかっただろうなあ・・・・・。

次回、2次面接の状況などお伝えしたいと思います。