School District(学区)と外部の研究機関が共同で研究チームを発足する、共同研究期間の組織について。

New Research Consortium Targets D.C. Schools


今日、珍しく大掛かりなミーティングがあり、午前中はそれに缶詰状態でしたが、そのミーティングの内容が、

私の働く学区のリサーチオフィスと外部の研究機関や大学の研究チームが一緒になって組織する、Research Consortium(共同リサーチ協議会)の組織内容&目的

というもの。Research Consortiumを日本語に訳しづらいですが、要するに、学区内の教育政策運営や、学校運営、生徒の学力向上に役立つリサーチを、他の外部機関と共同して行う組織を立ち上げる、ということ。

<Research Consortiumとは?>

この話、以前にしたようなしてないような記憶が曖昧なので説明しますが、私の働くような州の都市部の学区は、州法や連邦法で定められた、(テストスコアーといった)データ分析&レポートが主な仕事となるため、地元密着の教育政策に役立つリサーチを行う時間がどうしても限られてしまい、特定のテーマのリサーチを行う時間があまりありません

そのため、今回紹介している上の記事のように、都市部の比較的大きい学区は、大学の研究機関や非営利の研究機関と共同してResearch Consortiumと言われる共同機関を設け、そこで共同研究を行うことによって、地元の教育に役立つリサーチを行う、ということです。

アメリカのK-12改革の結果、様々なデータが報告され、公表されることになったのは良かったのですが、そのデータをより効果的に用いるためにもこのような共同リサーチ機関が発足していて、私の働く学区もそんな組織を作る前段階のミーティングが午前中ありました。

学区の各部門のトップ&教育長、そして私の働くResearch, Planning & Accountabilityオフィスのスタッフ、そして外部の研究機関のスタッフが集結しました。

<リサーチのテーマ>

今回は、その共同研究機関でどんなリサーチを行うべきか?というリサーチトピックが主な議題となり、主なものを列挙すると、

1.Academic Achievement(学力、学業成績)

いわずもがな、生徒の学力は最重要課題。リサーチのトピックとなると、生徒の学業成功(Academic Success)とはどうやって測定すべきか?どんなプログラムが学力向上に役立つのか?ということをリサーチする予定。

2.College and Career Readiness

全米共通学力テストのプロジェクトによって流行りまくったこの、College and Career Readiness(学力的に大学に行く、又は仕事をする準備が整っているか?)というトピック。これ、今回のミーティングで最も関心が高かったテーマがこれ。

学力テストでCollege Readinessを判断する、という全米共通学力テストと違い、生徒の欠席率、どんな授業を取得したか、そして取得した授業での成績などテスト結果以外の個人情報を管理する学区では、どんなデータを使って生徒のCollege Readinessを測定すべきか?どうやってCollege Readinessを向上させるべきか?というのがリサーチトピックになります。

3.English Language Learners

読んで分かる如く、ELLの生徒の学力について。意外にも関心が高かったこのトピック。ビックリすることに、白人が多い州なのに、都心部のこの学区だけ人種別で言うと、ヒスパニック系が7割を超す、私の働く学区では、ELLの生徒が多数存在し、彼らの学力向上は重要なトピックになりました。

4.Health and Wellness

生徒の健康、衛生面の問題。大事と思うけど、リサーチのトピックとしてデータ分析を通して貢献できるか?というと微妙・・・。

5.School Culture & Climate

学校の風紀や学校状況についての研究。私が担当している、Culture & Climate Surveyがこれにあたります。

6.Teacher Effectiveness

先生の生徒への影響力をリサーチで向上させることが目的のこのトピック。流行りのTeacher Evaluation(教員評価)はまさにこのトピックで、2番目に関心が高かったトピックがこれ。いわずもがな、教員評価をどのようなデータ分析で行うべきか?ということが議題になり、会議後、教育長が直接我々リサーチオフィスのメンバーに話を詰めるように要求してきたトピックでした。

7.Data use to improve Policy and Practice

数値上のデータを教育政策や学校の活動にどうやって活かすべきか?という、私個人的にはある意味一番関心あるトピック。

学区で働くと、ここまでかーーーーって思うほど、各学校関係者や学校の先生のデータ解釈の間違え、又はデータ分析結果を無視する傾向があることに気が付きます。折角役立つレポートを提供してるのに、それを全く生かせないもどかしさをいつも感じていますが、まーそれも現実。できる範囲内で取り組むしかありません・・・。

<今後の組織立ち上げまで>

今回、リサーチトピックとなるものを片っ端から列挙していくのが目的だったミーティング。いくつかのトピックはリサーチトピックにならないようなものもあり、そこはきっちりと教育長から指摘され、教育長がリサーチで発見、貢献、又は活用できることはリサーチを行う、という目的とその意思がはっきり表れていることが分かり、さすが教育長と感心した、今回の会議。

正式にいつ立ち上げ、その時のメンバーは誰になるのはまだ組閣状況も決まってませんが、決まればいろいろ興味深いリサーチに関わることができそうで、個人的には楽しみですが、いつ立ち上げられるのか?まー、これも中々決まらないんだろうなーって思ったのが今回のミーティングの感想です。というわけで、また何かあればこのブログで報告していきたいと思います。