生徒のテストスコアーを加えた先生の評価制度(Value-Added Measure)の三回目(今回で最後です)。
Evaluating Teachers: The Importance Role of Value Added
http://www.brookings.edu/reports/2010/1117_evaluating_teachers.aspx
前回、前々回にわたってお伝えしたこの評価システム。三回目である今回のテーマは、
テストスコアーを加えた新システムが、過去の評価制度と比べてどうなのか?
ということ。
紹介しているレポートでは、過去の評価制度について言及しており、さらに(実際のデータを使って)テストスコアーを用いた制度と比較分析しているので、今日はそれをお伝えして、総論を述べたいと思います。
<過去の評価制度の指標>
これまでアメリカにおける先生の評価では、テストスコアーを使わず、どんな指標を用いていたのか?と言えば、
-Scores on licensing tests
(教員試験でのスコアー)
-Routes into teaching
(教員になるまでの過去の経験・・・ルーツと英語では表現しています)
-Nature of certification
(教員免許の種類・・・アメリカは教員免許でも様々なのです)
-Teaching experience
(指導経験数・・・一番一般的な指標です)
-Quality of undergraduate institution
(卒業大学・・・つまり、どの大学で教員用の勉強をしたのか?)
-relevance of undergraduate coursework
(大学で、教員に関係する授業をどれだけ勉強したか?)
などなどです。アメリカの場合、(州によって違いますが)上記にあげたいくつかを組み合わせ、それを数値化しながら、良い先生かどうか(言い換えれば、解雇にすべき先生かどうかの優先順位)を客観的に決めることになっています。
<代表的な評価制度>
とはいえ、最も分かりやすい、代表的な評価方法と言えば、
1.Principal Rating
(校長先生による評価)
一般的に、
Identifies a few teachers as unsatisfactory but categorized the vast majority of teachers as satisfactory
(わずか数人の先生が不満足の判断を下され、大方の先生は満足いくレベルと判断される)
というわけで、これでは、お金のない不景気の中、十分な数の教員を解雇出来ず、理屈上では解雇できない・・・といっても、財政難で一定数の解雇が不可避の状況では、あまり意味がありません。
2.Teacher Experience
(教員経験数)
経験年数に応じて(昇進、給料、解雇などの)評価する・・・という極めてオーソドックスなシステムで、1の校長先生の評価と比べた特徴として、
Teaceher experience has been found in a number of studies to have a statistically significant positive association with student achievement
(教員経験年数が生徒の学業成績と統計学上、肯定的な関係性があることは、数多くの研究によって明らかになっている)
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肯定的な関係・・・と訳しましたが、これは教員の経験数が多ければ多い程、学業成績も上がっている・・・つまり、片方が上れば、もう片方も上がる・・・という意味で、Positive(肯定的)という意味です
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<実際のデータによる分析>
上記の情報を考慮した上で、では実際のデータを使ったデータ分析を、今回紹介しているレポートが説明していて、公表して物議を醸したNew York Cityの小学4年生&5年生のデータを使った分析結果が下記です。
上記のグラフは
the positions of teachers with the lowest value-added scores were eliminated vs. the positions of teachers with the least experience
(テストスコアーを用いた新システムによる評価&解雇方法と、教員経験数に応じた解雇方法)
-X軸の-06.から0.6は、テストスコアーを用いたValue-Added Measureによる評価方法で下された数値(先生の評価スコアー)で、0が平均になるように作られています。
-Y軸は先生の数で、平均値の0付近が一番先生の数が多いようになっています。
-小学4年生&5年生のテストスコアーを用いて、全担当教員をグラフで表したのが黒線
-Senioritu System(年功序列制度)により、指導年数が少ないという理由で解雇された先生だけの、生徒のテストスコアーを含む新制度による結果を表したのが赤線
-テストスコアーを含む新評価制度で解雇の対象になった先生は、青い太線
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要は、指導年数により解雇になった人が赤線で、テストスコアーによる新制度によって解雇された人が青線です
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<比較分析して分かること>
上記に示したグラフを理解した上で、このデータ分析が示したことは、ズバリ!!
Many more effective teachers would be retained were layoffs based on value-added than were they based on seniority
(もしテストスコアーを用いた制度で評価された場合、指導年数による評価制度において解雇された人の多くは解雇されないで済むことになる)
ということ。つまり、
指導年数が少ない→生徒の学業成績にもメリットが少ない・・・という過去に信じられてきた理論が崩されたことになり、
指導年数が低いことで解雇すると、生徒の学業成績に良い影響を及ぼしている先生まで解雇することになり、指導年数による解雇方法は、生徒の学力向上にはディメリット!!
ということです。
<総論>
三回に分けたこのレポート。私がいろいろ見た限りでは、(テストスコアーを使った評価制度に関して書かれた)一番まともで、ポイントをついた内容だと思います。
テストスコアーだけを用いて先生の解雇、昇進といった評価に用いるのは少々やりすぎとはいえ、過去の年功序列制度に用いる評価方法でも、不十分なこともまた明らか。
大学入学において、エッセイ、推薦書、過去のボランティア活動、大学で何をしたいかを述べるエッセイ、そして(SAT、ACT、GREといった)テストスコアーを全て考慮して、大学側が入学かどうかを決めるように、
先生の評価にも、テストスコアー、校長先生の評価、指導年数など様々な指標を用いるべきでは?ということが必要な気がします。
