【私の憧れの言葉「永遠の少年」】


わたしは、私が実際に少年だった頃から、「永遠の少年」という言葉に憧れていた。


この言葉は、青春映画をたくさん作った、当時の故大林宣彦監督がよく使っていた言葉だが、私なりに、「少年の気持ちを理解出来る大人」「頼りになる先輩」「信頼出来る大人」というニュアンスでもって、捉えていたのである。

 

おなじように、私が憧れた「永遠の少年」の名前を挙げるとすれば、漫画家の故松本零士先生である。


先ほど、「信頼できる大人」と書いたが、この巨匠たちは、私が当時、未だ見ぬこの世の有り様を、一方は「映画」、一緒は「アニメ」という虚構の形をもって、知らしめてくれた恩人であると、大人になった今でも、変わらず感謝しているお二方である。

この御二方の名前の頭に、“故”の文字を被せなければならないことは、大変心苦しいことではある。

それは、私という人間が、大人になるための、共に雛形でいらした方たちだからである。


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【心は少年、姿勢は大人の巨匠お二人】


ところで、実際のお二人の晩年のお姿はといえば、私が知る限りでは、…少年どころか、実に立派な大人でいらした。


それは、「自身の年齢や立場を甘んじて受けていらした、、」ということに他ならない。


それは、最近ネットでよく聞くような、「劣化」などという、書くのもおぞましいような、年長者の見た目だけを自身の若さと比較して、勝ち誇ったような、狭量・浅薄な発言の持ち主の想いとは、似ても似つかない覚悟であった。


時代がいかに変わろうとも、目上や、先輩は、どこまでいっても、上の立場である。
ありがたいものである。


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【“永遠の少年“になれなかった人たち】


だが、

それを踏まえながら、私はあえて、未だ熟し切れない、肩書きや、名誉や、かつての体験に溺れて、目下への礼節を当然のように折り曲げる老人のことを、改めて、「老害」であると言いたい。

年齢が増えていくたびに、人は自分を理解してくれる友を欲するが、競争社会によって社会進出を果たした世代は、どうしても、目下の人間に、マウントを取ってしまうのである(現代の言葉になぞらえるのであれば、コミュ障である)。


その結果、若者の話しは「そんなことくらい」と、ないがしろにし、ろくに聞かず、自らの過去の自慢話でご満悦となり、それを遠慮がちに聞いてくれる若者がいると、至極、ご機嫌となるのである。


この時の彼は、自分がまだ若者のような気持ちにさえ、なってしまっているはずだ。

 

半分以上は、「義理や遠慮で、話しを若者のほうが聞いてくれているのだ」というふうに、想像すらしようとしない。


本来ならば、自分が、現代社会のなかにおいては、いかに珍しい存在か、くらいに、思うくらいで、丁度いいはずである(これが若者に寄り添うということである)


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【“大人“になれなかった大人たち】

だが、出来ないのである。

彼らのマウントは、人徳ではなく、暴威であるからだ(わがままなのだ)。

ここで老害たる人物の特徴を、書いておきたい。

①自分が、いまだ“若い”と信じて疑わないこと。
 

②場の空気を読めず、演説をおこない独壇場と化し、和を”乱して”しまうこと。
 

③かつての常識が、今や非常識となり、至って“珍しい”存在であることに気がつかないこと。


あわせて、若乱珍(わからんちん)と称す。(私が命名した)


要は子供なのである。。

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【子供たちが、まともな人格形成をするために…】

 

もし、こういった年長者がわからんちんなことを始めたら、私たち世代は、責任をもってその暴威を収めなければならないはずである。


ただ、同時に、私たち世代は、彼らに多大なる恩恵を授かっているがゆえに、面と向かって、物言いがしにくいのも確かである。


ただ、次世代の子供たちをみるに、私はいまだ、彼らの本当の力が、出し切れず、正体の知れぬ、生きることの罪悪感に苛まれているような気がしてならないのである。
彼らを真に解放出来るのは、現代を生きている私たちしかいない。


私は、私がずっと求めていた、「永遠の少年」の姿が、自らの欲得を果たすためだけの「生涯現役」を貫こうとする身勝手な老人たちのそれが標語(スローガン)なのであれば、私は彼らのような”子供”でいようとはおもわない。

 

しっかりと、大人であることの自覚を果たし、次世代を愛し、真実を伝えていくことへの責任を果たさなければならないと思う。


寺千代(横須賀の声優・朗読家、4オクターブ、七色の声)