【私の古巣、「劇団河童座」の仲間が亡くなった】

 

平野麻美さん。

交通事故による後遺症…52歳だった。

 

家族ぐるみ、公私ともにお付き合いがあった。

 

彼女は、YMSA「横須賀の音楽家を支援する会」代表の宮本史利さんの姉でもある。

(心から、彼女の冥福を祈る)

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【クラシック劇場と、劇団河童座】

 

2017.11.18戸塚男女共同参画フォーラム(380人収容)で行われた、超満員だったステージ、私と久美さんのコラボ「クラシック劇場」のために、そのステージ衣装を縫ってくれたのも、麻美ちゃんである。

 

彼女は今から27年前、私が27歳の時、横須賀の老舗劇団、河童座に入座してすぐの頃、ご主人となるしゅうのすけさんとの結婚宣言を、座員の前でおこなった時からよく知っている。

 

それから、時が経ち、上の娘さんが生まれ、ついで、下の娘さんが生まれた(上の子は大学生だという)経緯をずっとみてきた。

 

麻美ちゃんは、自他ともに、快活で気丈な性格であるということを認識していたから、今回のようなあまりにも早い生涯の終焉には、誰もがおどろいた(本人がいちばんおどろいたと思う)

 

昨夜、麻美ちゃんの通夜に行ってきたばかりなのだが、そこにはかつての劇団仲間が斎場の前にわんさかと溜まっていた。

 

一人に声を掛けたつもりが、みんないたのである(マスクで分からなかった)。

 

ちなみに…私は、劇団に在籍していた頃、決して真面目な座員ではなかった。

 

出たり、入ったりしながら、気が向いた時だけ、ちゃっかりと舞台の重要なポジションに立っているような、協調性と忍耐力に全く欠けた人間だった(これは今でも同様である。もちろん事情はある。いつかこのブログにも書こう)

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【見た目を気にしない河童座のメンバーたち】

 

麻美ちゃんの通夜がきっかけで、集まっていた仲間は、僕が本当によく知る当時のメンバーばかりだったが、いま、大人になった目で、あらためて一人一人みてみると、どこか完璧でないまんま、それぞれが大人になっており、しかしそこのところが、人としての魅力となっている…そんな人間ばかりだ。

 

いや、、失礼を書いたが、同時に、間違いなく、全員が、多彩な人間でもある。何より元気で、それぞれ頭もいい。

 

ただ完璧でないと書いた対象は、何も彼らに限らない。たぶん、偉そうにふんすり替えっているほとんどの大人たちが、みんな、そうなのだ。

 

僕の見る大人の世界とは、形、形、形にばかりこだわるイヤな世界だ。。

 

職業、結婚や子供の有無、年収、年齢、性別、学歴…

 

うんざりだ。

 

これらの条件では、心をかよわす、きっかけには、到底なれない。

私は、提出された履歴書からは、何も理解できない。

 

劇団河童座の彼らとは、三年ぶり、五年ぶり、中には二十年ぶりの人間もいたが、先にあげた、そういったものには、まるで興味がないとでもいうように、この愚生(私)をまるでかんたんに受け入れてくれた。

まるで出来過ぎだった。

 

あまりにも久しぶりだったから、こちらだって構えてもいたのだが、拍子抜けしてしまった。気をよくして、話し込んだ。

 

まるで時の隔たりを感じ得なかった。

 

中には当時、同じ舞台に立ったもの同士、家庭を築き、今では立派なお父さんお母さんをしている者も何組かいる。

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【平野家の人たち】

 

麻美ちゃんといえば、そんなこだわりなく受け入れる河童座の気質が、さらに輪をかけたような人だった。

 

当時の私は、河童座でさえ居づらくなる時が、多々あった。

 

みんなとおなじように出来ないことが、心苦しく、行き場を失っていた。

 

そしてそのことでよく、自分で自分を責めたりしていた。

 

麻美ちゃんの家になんどかお邪魔したのは、そんな時だった。

 

平野夫妻は、あたたかく僕を受け入れてくれた。

 

なんとありがたい人たちだ( ;  ; )と思っていたら、、先客がいた(笑)!

 

同じ劇団の中で、少なくともあと2人は、平野家でごはんを食べたり、話し聞いてもらったりしていたことをあとで知った。

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【頑固って誰の事?】

 

麻美ちゃんは、僕より2つ年下である。

 

夫妻ともに、学校の先生だけあって、人をまったくと言っていいほど、否定しなかったが、子供たちだけにはしっかりと常識を教えていた。

 

私の話しについては、ただ話しをうなづいて聞くか、大いに私の意見に賛同するかのどちらかしかしなかった記憶しかない。

 

大人になるごとに、私は、私が「頑固」だという批評を耳にするようになった。仮にそうだとして、頑固な人間に「あんた頑固だね」と言っても、なんにも解決などしやしないことは、彼らにはわからないようだ。

 

それが彼らの正義感だかなんだか知らないが、人のアイデンティティを力づくで塞ごうものなら、何十年に渡る恨みと化すのだということは自らの体験でよくわかっている。

 

彼らは言うだけ。自己の発言に対して、何の責任も取ろうとはしない。

 

ほんとの頑固とは、何も知らず、正義感ぶっている奴らのほうが、よっぽど頑固なのだと、今の私は結論づけている。

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【舞台人が本当にカッコいい理由】

 

さて、劇団員と聞いて、憧れを抱く人も、見下す人も、両方いるのではなかろうか。

 

だが、たかが人間。私は、人にさほど優劣など、あり得ないという自論があるのである。

 

みんな誰もが、中途半端、みんな誰もが、コンプレックスや心に傷を持っているのが普通である。

 

そんな心の闇を、格好つけて一生懸命になって隠しているか、もしくは、「そのとおりよ!それがどうしたよ!?」と開き直れるかとの、人類にはどちらかの種別しかないのだと僕は思う。

 

格好つけるほどに、実際は醜く、そんな彼らを見れば、自らを誇るために、人を見下すための悪口ばかりだ。

 

本当は好きなのに、好きと言えず、見栄と体裁と、自分が傷つくことばかりを、避けようとしている。

 

劇団員は、、

少なくとも、我らが劇団河童座には、そんな人間はいなかった。

 

みんなおかしくて、どこか変で、すごく気のいい奴らで、僕も本気でわめいたら、本気でやり返された。心に少々傷もついたし、豊かな思い出も刻まれた。

 

性別も、年齢も、職業も何もかも、関係がなかった。

 

みんなが強く、みんなが弱かった。

 

舞台では散々演じるのに、稽古場では、どこを切っても疑いようのない素の人間たちがいた。

 

そんな、座員同士の夫婦を、いいなぁとも思う。

 

うちの奥さんも、プロのピアニスト(宮川久美さん)という表現者だから、我が家も、隠し事は決してせずにここまできた。

 

夫婦ってそんなもんだと思う。大人しく…なんていられない。

 

彼らも僕とおなじように、たぶん散々やり合ってきた同士だから、夫婦間に、わだかまりがないんだと思う。

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【僕が想う、美しい夫婦のかたち】

 

麻美ちゃんと、しゅうのすけさんもきっとそうだ。

 

斎場に展示されていた、しゅうのすけさんから麻美ちゃんへの手紙を読んだ。

 

…正直、僕には、あまり理解できなかった。

 

でも、麻美ちゃんにとっては、この手紙は、最良、最愛の手紙として、あちらの世界へ向けての永遠の宝物となっているはずだ。

 

夫婦にしかわからない言語は、存在する。それが出来てこそ、夫婦だとも思う。

 

 

私は、この夫婦の形を、美しいと思った。僕はふたりを見て満足だった。

 

河童座員の、メンバー同士の夫婦たちも、美しいと思った。

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【理解できないローティーンの恋愛】

 

話しは変わるが、最近、YouTubeで、十代の女の子の恋愛を考察する動画があって、少しみて驚愕した。

 

中学生くらいから、恋に憧れて、電話やメールで告白して、付き合い始めた。

 

ところが、思ってたのと違った。

 

彼女になった途端、彼は私を束縛し始めた。

 

-うざい-

すぐに別れた。

 

その間、デートらしいこともしたことなければ、会って話しすらなかった。

 

すべての彼との時間は、メールなどのバーチャルな世界でのみで、完了した。

 

愛とは、ゆるしである。

 

要は、このお子ちゃまたちは、何ひとつ、許さないのである。

 

さらに、その娘の目に映っているのは、きっと、人間ではない。

 

”アバター”だ。

 

スマホの画面を、右から左にスワイプするように、自分にしっくりいく好みにあったアバターを目移りしながら探しているだけだ、と私は思う。

 

現代、人ではなく、アンドロイドに憧れている子が、現れ始めたのも、そういった思考回路に陥っているのだろう。

 

ある都市伝説では、人間の存在しない未来もあるそう

だ。

 

そこに動いているものは、ロボットだけだったという。

 

アンドロイドに憧れるこの子達には、相手が人間は高尚すぎるのかも、知れん。

 

.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。
 

【命の賛歌】

 

まずは、生き物を飼って、最後までしっかりと、責任を持って飼うことを教えてやらなければ、いずれ、愛だの結婚だの語り始めた時には、おそろしい結果になるような気がしてならない。

 

愛とは、永遠である。

 

愛し合うものたちすべてに、光りあれ!

 

 

寺千代(横須賀の声優・朗読家、4オクターブ、7色の声)