今日は、わたしが

震える園長先生の後ろ姿を通して


背景を観ようともせずに憧れることは

無責任なのではないか


と感じたエピソードをお話します。




今から6年前、

次男坊が幼稚園の年中さんの時期に


わたしは幼稚園の執行役員(副会長)を

引き受けることになりました。




たまたま持ち回りの時期が重なって

副会長は幼稚園父母連絡協議会(父母連)

という団体の中でも本部役員に入り


そこでも副会長を兼任することが

決まりになっていました。




父母連の本部役員の最大の仕事は

毎年開催する「幼稚園大会」を取り仕切ること。



「幼稚園大会」は、市長や議員の方が

市内の文化会館の大ホールに集い

永年勤続者表彰などを行う大切な催しです。




この前年も、わたしは幼稚園で

通常のPTA役員を勤めていたため


幼稚園大会にいち参加者として

観客席からの出席をしていました。




始まった幼稚園大会では

冒頭の開会宣言の後に


まずは父母連の代表を務める

とある幼稚園の園長先生が

祝辞を述べられました。



原稿は用意せず、つねに頭を上げて

目線を観客席の方に向けながら

お話しされる園長先生の姿に


「うわぁ、堂々とされていてすごいなぁ。

(わたしなんかとは別次元を

生きているんだろうなぁ!)」


と感動したことを今でも覚えています。




その、翌年。



父母連の顔合わせ会議に参加すると

そこにいたのは、あの時の園長先生!


聞くと、二期連続で代表を務めることに

なったのだそう。



園長先生は、現役のママさんに

寄り添う言葉をたくさんかけてくれて

とても優しい方でした。



そうして迎えた、幼稚園大会当日!



まさか自分がそうなるとは

夢にも思いませんでしたが


昨年観客席から眺めていた舞台の上に

今度はわたし自身が市長や議員さんと並んで

座ることになり、


さらには、副会長の役割として

冒頭の開会宣言まですることになりました。


(この開会宣言自体は

すでに用意してもらっている原稿を

読みながら行うものなので

簡単にできる役です)



と、開会宣言は置いといて。



この日は終始園長先生と

行動を共にしていたのですが


いつもは優しい園長先生が


「あれ?なんだか怒ってる…?」


どうにも朝からずっと不機嫌そうなのです。




そのまま舞台の上に並び、

わたしの開会宣言も無事に終わり


次は昨年同様、園長先生が

祝辞を述べる番になった時。




園長先生の話す言葉が


かすかに震えていることに

気づきました。




昨年、観客席から眺めている時には

まったく気づきませんでした。



むしろ


堂々と話していてすごいなぁ!

別次元の人なんだなぁ!

と思い込んで眺めていたのに。



こんなに、声が震えているなんて、、!!




そればかりでなく、同じ舞台上で

すぐにも腕を掴めそうな距離から眺める

園長先生の後ろ姿からは



堂々としている、というよりも

極度の緊張の中をなんとか踏ん張って

立っていらっしゃるという


懸命なご様子がヒシヒシと

伝わってきたのでした。




そうか。



今日一日準備をしている間

園長先生は不機嫌だったのではなく



ずっとずーーーっと



緊張されていたんだ。




昨年やったからといって、

やはり市長と同じ舞台に立ち

300人超の人を前にして

市長よりも先に祝辞を述べるという大役は


園長先生にとっては

大変なことなのだなぁと。




なんだか急に、昨年観客席から


「すごいなぁ!やっぱ

わたしなんかとは次元が違ぇわ!」


と思っていた自分のことが

無責任に感じて

恥ずかしくなる思いでした。




でもきっと、この年も昨年同様

向こう側(観客席)から見ていたら


やっぱり「堂々としているなぁ!」と

見えているんだろうな、とも。





たとえば憧れのあの人の

表の姿だけを見ていると


「すごいなぁ!立派だなぁ!

わたしなんかには到底無理だろうなぁ。


だって怖いし。自信ないし。

そもそもあの人ほどの能力もないし…」


簡単に打ちのめされてしまいます。




でも、そんなあの人の

後ろ姿を


わたしは本当に

観ているのだろうか?




平気そうに見えるあの人も、

もしかしたらその後ろ姿は


失敗したらどうしようと

つねに怯えているのかもしれない。



今は怯えていなくとも、

怯えずにできるようになるまで


何度も何度も試行錯誤をして

チャレンジを積み重ねてきた


そんな分厚い後ろ姿

あるのかもしれない。




背景まで観ようとせずに憧れたり

自分には無理!と決めつけることは


じつは、

おこがましいことなのかもしれない。




以来わたしは


憧れるなら、その背景まで

ちゃんと観てから憧れろ!


と自分に言い聞かせるように

なりました。





あの時の、

緊張で震えていた園長先生には


その尊い後ろ姿を見せていただき

本当にありがとうございますと


今でも深くお辞儀をしたくなる

気持ちでいっぱいです。




そんな、6年前のエピソードでした。





それでは、また!


ゼロポイントアプローチインストラクター

YASUKO


 

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