フレゴン蒸留所訪問レポート! タオナ × ディフューザーの伝統と革新が交差する蒸留所 | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

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フレゴン蒸留所ツアーレポート|Tequila FREGÓN(アランダス)
── タオナ × ディフューザー × OEM × アガベ総合工場。ロス・アルトスの“次世代代表格”へ 

今回訪れたのは、ハリスコ州ロス・アルトス地方・アランダスにあるFREGÓN(フレゴン)蒸留所。

3月のFOODEXで出会い、日本に来るたびに交流してきたルイス(ファミリービジネスとしてテキーラ FREGÓN を手がける日本の担当者)のアテンドで、いよいよ日本で発売開始という嬉しいタイミングで、念願の蒸留所見学に行ってきました。


アガベシロップを原点に持ち、2017年にテキーラ製造を本格始動。
現在は テキーラ/メスカル/ライシージャのOEM生産 に対応し、
さらにアガベシロップ、イヌリンパウダーの工場まで併設する、総合アガベ企業として急成長しています。

今回は、その 3つの工場すべてを見学できるという貴重なツアー。
案内してくれたのは、ルビーさんとマルコスさん。
設備思想からアガベの取り扱い、発酵管理まで、丁寧に説明してくれました。

① ディフューザーライン
広々とした工場内で、効率と衛生管理の徹底ぶりが際立つライン。
アガベジュースの抽出工程としては、収穫したアガベを加熱しないで粉砕し、約4時間でアガベ糖分を抽出し、残った繊維は 肥料・ボイラー燃料に再利用しています。
高圧の熱湯をかけて搾汁することで発酵に適した 24〜34℃ まで温度を調整します。
発酵は、 Propagadoresに10%のジュース+酵母を入れ、酵母を先に活性化。
その後、メインの発酵タンクに戻して発酵をスタートします。


発酵中のアガベジュースを3種に分けて管理:
Fresh
Active
Dead
これらを必要に応じてブレンドし、香味と発酵スピードを安定させる技術が印象的でした。

連続式蒸留
蒸留設備は、これまで見てきた中でも特にユニーク。
一度目の蒸留後、独自のコンデンサーを通して冷却
その後2回目の蒸留へ。使うのは ハートの部分のみで、ヘッドとテールは再利用せずに破棄します。
ディフューザーラインでここまで丁寧に品質を守る蒸留所は珍しく、革新的な技術が目立っていました。


②タオナライン
テキーラ蒸留所では極めて珍しい“2基同時稼働”
フレゴンの象徴的存在とも言えるタオナ。なんと、2連の意思が一緒に搾汁をしています。
私はこの設備を初めてみましたが、蒸留所の独自の技術のようです。

まずは、40トンのマンポステリアに 20トンのみ投入(余裕を持たせ均一に加熱)。24時間蒸し → 24時間休ませ → 8時間かけて窯を開ける。
最初のビナサスは使わない徹底した管理。

 発酵槽も珍しく、外側がステンレスで内側がパインツリーの木製になっています。
木桶は使用しない日には ライムを塗って保護し、使う際に全て高圧洗浄でクリーンに保っています。
※タオナ側は 繊維(バガス)を入れない発酵

下:ステンレス、上:銅製、というハイブリッド構造の単式蒸留器で2回蒸留しています。

樽熟成の工程では、大型蒸留所では珍しく、“ピポン(巨大タンク)を使っていないのも驚きました。
フレゴンの樽熟成は、他の大規模蒸留所と大きく違う点があります。
樽は驚くほど 美しく整列しており、貯蔵庫の景色が圧巻。
丁寧に樽熟成を行う姿勢が伝わり、アランダスの気候の中で落ち着いた熟成が期待できます。


OEMでどちらもラインも自由に選択できるようになっているため、ディフューザー × タオナの“ブレンド製法”が、唯一無二の味わいを生んでいます。

ディフューザー:クリアでフレッシュな味わい
タオナ:深み・甘み・ファイバー感

この2つを、最適な比率でブレンドして仕上げるのがフレゴン流。
結果として、
「飲みやすいのに個性がある」
「アガベ感がしっかりありつつ上品」
というバランスのよいテキーラになるのが特徴。

また、蒸留所の雰囲気も大事だと考えているので、個人的な考えとして「いいテキーラは“いい現場”から生まれる」と思います。

私か、約100ヵ所の蒸留所を訪れて強く感じる3つのポイント:

① 働く人の表情
みんな笑顔で、動きに無理がない。大切にされている環境。

② 蒸留所の香り
発酵も蒸留もアガベも“いい匂い”。これは品質の証明。

③ 清潔さ
床・タンク・発酵槽・周囲の環境まで徹底的にクリーン。

フレゴンは、この3つ全てが突出していました。

そして何より──蒸留所の食事が本当においしい!
フレゴンでは、到着してすぐ朝ごはん、そして見学後にランチを用意してくれるというおもてなし。
しかも、シェフが自ら挨拶に来てくれるという温かさでした。

特に感動したのが、 ソパ・デ・トルティージャ。
これまでメキシコで味わってきた中で、「もしかして一番かも…?」と思うほどの美味しさで、蒸留所の空気の中で食べる料理は、忘れられない思い出になりました。

◎フレゴン蒸留所は有料ツアーも開催中!◎
一般向けの有料ツアーも行っているので、見学したい人は 公式HPから予約が可能です。
Tequila FREGÓN公式HP

最後に──来年のツアーでは、みんなでもう一度訪れたい。


今回の見学で、フレゴンの技術・設備・人・雰囲気・料理のすべて に惚れ込みました。

来年のテキーラツアーでは、ぜひテキーラ好きの方がと共有したく、また日本からのお客様と再訪したい。
そう思える、特別な蒸留所でした。