6月にサポトラネホ地区(ロスアルトス地方の入口)にオープンしたばかりの新しい蒸留所「TIERRA COBRIZA」を訪問しました。
この蒸留所は、革新的な技術とクラフト精神の融合がとても新しくて珍しい場所です。
まず、その名前「TIERRA COBRIZA」は、「銅色の大地」という意味。地域の豊かな土壌と蒸留に使われる銅製器具への敬意を表しています。
蒸留所のNOM1651で、アルテサナル(伝統的)とインダストリアル(産業的)な製法の両方を取り入れています。
ディフューザーと効率的な生産
インダストリアルゾーンの特徴の一つが、最先端技術を駆使したディフューザーの導入。
アガベの搾汁を99%まで引き出すことができるこの装置は、わずか3名のスタッフで24時間運営され、アガベ搾汁からハイドラライザータンクでの調合作業まで一貫してコントロール室から管理されています。
さらに、搾り取った後のバガス(アガベ繊維)は、アボカド畑やアガベ畑の肥料として再利用。
羊のフンやミミズと混ぜてエコフレンドリーな肥料を作り、持続可能性にも配慮しています。
革新的な技術と徹底した品質管理
蒸留所内では、巨大な発酵槽をコンピュータで徹底管理。温度や酵母の種類、発酵状態をリアルタイムでチェックしています。
ディフューザーを使ったラインでは、連続式蒸留器を使用。安全面でもディアジオ社と同じセキュリティシステムを採用し、万全の危機管理体制を整えています。
また、セルロースフィルターやカーボンフィルターを試作段階で導入していたり、アガベ燃料を使用したエコボイラーでエネルギー効率を向上。
さらに、地下水と山の水をフィルタリングして使用するなど、自然資源にも配慮した生産体制を構築しています。
他に類を見ないラボ施設
この蒸留所のラボ設備も非常に先進的。テキーラ規制委員会(CRT)と同等レベルの検査設備を備え、自社でほとんどの検査を完了できるため、他ブランドの依頼も1000件以上受けているそうです。
写真は撮れなかったけど、知っているブランドでいっぱいでした。
クラフトゾーンの魅力
伝統的なアルテサナルゾーンでは、火山岩を使ったマンポステリア、アウトクラベ、タオナ、シュレッダー、木製の発酵槽、銅製蒸留器など、クラフト製法を支える設備がフル完備。
樽もさまざまな種類を取り揃え、オーダーメイドの対応が可能です。
「フロール・アルテーニャ」テイスティングと蒸留所の特徴
訪問中には、この蒸留所のオリジナルブランドである「フロール・アルテーニャ」をテイスティングしました。
「フロール・アルテーニャ」はラグジュアリーブランドとして位置付けられており、ボトルデザインにも細部までこだわりが感じられます。
このブランドだけ特別に、蒸留所内にある樽の貯蔵庫でボトリングされています。
また、特別に提供されたフレンチオークで熟成された試作品のレポサドも試飲。
上品で奥深い風味が広がり、この蒸留所ならではの洗練された一杯を堪能することができ、とても印象的でした。
若きリーダーの挑戦と魅力
この蒸留所を率いる責任者は、わずか32歳という若さでありながら、すでに多岐にわたる事業を手がけるメキシコでも注目の経営者Daisakuさん(メキシコ人と日本人のハーフ)です。
彼の最大の魅力は、革新を恐れない挑戦の姿勢にあります。
「まずはやってみて、もし問題があればそのときに改善すれという考え方が、チャレンジ精神あふれる彼らしく、実際に蒸留所のすみずみまでその姿勢が行き届いてました。
また、テキーラ業界だけでなく、さまざまな分野で培った広いネットワークと知識を活かし、新しい技術やエコな生産方法もどんどん取り入れながら、伝統も大切にしているところが本当に魅力的。さらに、見学からテイスティングまで直接案内してくれるホスピタリティには感動しました。
この蒸留所から未来のテキーラ業界を変えるようなすごいプロダクトがどんどん生まれてきそうな予感!「フロール・アルテーニャ」が日本で飲める日が来ますように。
未来を変える蒸留所
革新的な技術とクラフトの良さを融合させたこの蒸留所は、テキーラ業界に新しい風を吹き込む可能性を秘めています。
「TIERRA COBRIZA」での体験を通じ、伝統とテクノロジーが共存する未来のテキーラ作りを感じることができました。
今後のさらなる発展が楽しみです!