日本で発売されているアガバレス、カサ・マエストリ、ドンティンボンの他、100種類近いブランドを作るテキーラ村のDestiladora Valle de Tequila(バジェ・デ・テキーラ蒸留所)。
一般公開していないため今まで訪問する機会がなかったのですが、5月のツアーで初めて訪問させていただきました。
100種類のテキーラをどう作り変えているの?
ブランコの味の違いはどこからくるの?
という観点から、お話をお聞きしてきました。


ほかの蒸留所のように、ブランドによりマンポステラと、アウトクラベを特に使い分けることはせずに、その日によって収穫されるアガベの量が違うので、空いているものを順次使用して、効率的に加熱する作業を行っています。
ここでの一番のポイントは、収穫されたアガベや加熱したアガベ全てをミックスしていて、テキーラのブランドやアガベのサイズ・糖度等によって分けたり加熱方法を変えたりはしていない事
この時に、市販されている粉末状のドイツ製のイーストを加えるのですが、イーストも全てのテキーラで同じものを使っています。
ここもポイント
テキーラは、イーストの種類よって味が決まることもあり、すごく重要な情報です。
その後、蒸留の過程に続きますが、1回目の蒸留所あとヘッドとテールを取り除き、アルコール度数が28%くらいになったものを一度フィルターを通してから2回目の蒸留を行います。
2回目の蒸留で出たヘッドとテールも取り除きますが、こちらはそのまま捨てるのではなく、なんと近くにあるサウザ蒸留所へ持っていって、リサイクルをしているそうです。
テキーラ業界では、環境問題対策やリサイクルへの取り組みが盛んになっているのですが、大手の企業が設備がない蒸留所のものを引き取って一緒にリサイクルしているお話を聞く機会も増えました。
こうした業界内のつながりがあるのは嬉しいですね
こうして1日1万ℓ以上作られるテキーラは、全て0度のフィルターを通して、油分などの雑味を取り除く工程に入ります。
この製法は、私が今まで見学した70箇所以上の蒸留所の中で初めて
その後、大型のステンレスタンクで約10日間冷却して保管されます。
とても珍しく新しい技術ですが、ここまでの工程も、全てのテキーラに行われるので、つまり味の違いはゼロ。
冷却フィルター!はじめて見ました。なんと、完成したブランコテキーラに、それぞれのブランドごとに量・時間を変えて酸素を注入します
ワインをデキャンタージュするように、空気を混ぜることによってまろやかな味わいになるそうで、この最後の工程1つだけで、ブランドごとの味の違いを出しています。
もちろん全く注入しないブランドもありますし、最低2時間、max8時間もブランドによって量・時間を変えて酸素注入します。
この時間や量の差だけで、味が決まるという驚愕の事実。
参加者の皆さんで何度も確認しましたが、本当に違いはここだけ
実際に蒸留所で作られているブランドのラインナップを確認しましたが、ブランコの味、確かに全く違います

カジュアルブランドから高級テキーラまであるのでこれには本当に驚きました。
ちなみに、レポサドやアネホは、ブランコまでの過程が終了した後に、それぞれのブランドごとに使用する樽・期間を決めて熟成されます。
テキーラ産業も日々進化していて、新しい技術がこうして生み出されていくのを見ていると、1年前・2年前の情報と全く違う事が多く、定期的に情報をアップデートしていかないと・・と強く感じます。
日本に入ってくる情報も少ないので、なかなか難しいですがきちんと伝えていくことをこれからも続けていきたいと思います。
驚きの連続だった蒸留所見学のあとは、ウェルカムランチと私達のためにショーを披露していただき、メキシコの伝統的なダンスを見ながらテキーラを楽しませていただきました。
メキシコでのおもてなし、本当にいつも感激します。
