年初にカフェテリアプランで例年通りに受けた人間ドック。
そこで突然、人生の歯車が大きく回り始めました。
「膵臓に5mmの嚢胞らしきものが見つかりました。精密検査をお勧めします」。
その一言で、私の世界は一瞬にして暗転しました。
40代半ばのITエンジニア。
コロナ禍以降、在宅ワークが当たり前になった日常。
毎日パソコンに向かい、締め切りに追われる日々。
健康なんて、どこか他人事だと思っていました。
でも、その日を境に、仕事の合間という名の全ての時間が、「膵嚢胞」「IPMN」「予後」といった言葉をネットで調べ尽くす時間に変わってしまいました。確定診断ではないのに、最悪の事態ばかりを想像してしまう自分がいました。
在宅勤務という環境が、この状況にさらに拍車をかけました。オフィスなら、同僚との会話や移動時間が気を紛らわせてくれたかもしれません。しかし、自宅では一日中、目の前のパソコンが私を誘惑し続けます。
仕事用のモニターには締め切り間近のプロジェクト。もう一つのモニターには次々と開かれる医療サイトの情報の数々。
気づけば、夜遅くまで膵臓の画像や論文を見つめる日々。豊富にある「自由な時間」が、不安を増幅させるだけの時間に変わっていきました。
精密検査の結果を待つ1ヶ月は、まるで永遠のように感じられました。オンライン会議では明るく振る舞い、家族にも心配をかけまいとしながらも、内心は不安で押しつぶされそうでした。「もしかして深刻な病気かも?」「これからどうなるの?」そんな問いが、頭の中をぐるぐると巡り続けていました。
そして迎えた診断日。「分枝型IPMN」という言葉を聞いたとき、恐れていた現実と向き合うことになりました。
でも、同時に奇妙な安堵感も覚えたのです。正体不明の敵の姿が、ようやく見えてきたような気がしたからです。最悪の事態ではないという安心感が、少し心の重荷を軽くしてくれました。
あれから約半年。私は今、IPMNサバイバーとして日々を過ごしています。
定期検査は続きますが、以前のような極度の不安は和らぎました。むしろ、この経験が人生の転機となり、日々の喜びや家族との時間をより大切に感じるようになりました。
在宅ワークは続いていますが、今では「調べる時間」を「生きる時間」に変える方法を学びました。
そんな私の経験が、今まさに不安の渦中にいるあなたの道しるべになれば。
今回の記事では、人間ドックでの「疑い」の発見から確定診断、そして現在に至るまでの道のりで学んだこと、感じたことのすべてを複数回に渡りご紹介します。
同じ立場の皆さん、一緒に歩んでいきましょう。この診断は終わりではなく、新たな始まりとも言えます。
情報は大切ですが、それに振り回されないことも同じくらい大切だと気づきました。
そして、確定診断前の不安な時期こそ、冷静さを保つことが重要だと学びました。今このページを読んでいるあなたに、私の経験が少しでも光を当てられますように。
次回は、私なりに調べた膵嚢胞の基本知識と種類についてわかりやすく解説します。

