Fender '78 JazzBass review動画を作成いたしました。

JazzBassと言えば60年代のモデルが人気で使っている方も多いです。
現行でもその60年代のモデルをベースとした物が多数作られ販売もされています。
JazzBassは1960年に最初のモデルがスタート。それから色々なマイナーチェンジやパーツ変更があり1965年くらいまでのモデルが人気となっています。



詳しい歴史はこのような本を読むと各年の特色や詳細が掲載されていてとても興味深いです。ベースを弾いていてより楽器についての知識を深めたい人は勉強するべき項目だと。
僕も好きでよく読んでいます。




この60年代の勢いに負けているのが70年代のJazzbass。
65年にCBSソニーにフェンダーが買収され、クオリティーが低下したということもあるでしょうが、70年代初頭の物はかなり粗悪な物、元の木がダメであったり塗装がダメで合ったりと、欠陥が多いように思えます。

僕も72年か3年くらいの物を所有したことありますが、ネックが柔らかすぎる、塗装がドロドロに溶けている、熱ですぐにダメになるなど問題が多かったです。
現状市場にも数があまり出回らない印象があるのですが、物としてまともに残っていないのでは?と思ってしまいます。

その中でも77年、78年というのはフェンダーの当たり年と言われていて、良い音がする個体が多いという話が。今回の動画のベースは78年製。俗にいうS8シリアルのベース。70年代ベースの代表的なのは言わずともしれたマーカスミラーの77年、S7シリアルのジャズベース。

マーカスはこの77年のベースを使う前は、サンバーストの60年代のジャズベースを確か2本所有していた(親に買ってもらった、まだ子供だったので)が、盗まれてしまい77年のこのベースが3本目(確か!これも買ってもらった)それからずっと使っているようです。

1980年に、当時N.Yでもう売れっ子だったマーカスは、ロジャーサドウスキーにプリアンプ入れてもらったり、バダスのブリッジを付けてもらったりと彼の代名詞となった個体に変身を遂げました。
当時のN.Yのスタジオ仕事はミキサー卓に直接ベースを入れていたようで、ノイズ対策としてや、自分の手元でトーンをある程度コントロールできるよう。そしてN.Yはベース一本担いでスタジオを歩き回るスタイルだった為、こういう改造をロジャーが色々なベーシストに行なっていたと。
この辺の話は、上記の三栄ムック、フェンダー・ヴィンテージベース・ガイドでマーカスがお話ししています。

この78年のベースも作りは??という感じ。
このようにネックとボディーのジョイント部分は1mm以上の隙間


けして精度が高い作りとは言えません、、


でも、音は本当にしっかりしていて”いわゆる70'sの素晴らしい”サウンドです。
重さは4.9kg。結構しっかりとした重さです。

楽器の響きはこの重さがかなり影響しているのでは?と個人的には思っています。
重くなればなるほどボディー自体の振動は減って、弦の響きが強くなる。更にバダスのような重くしっかりとしたブリッジを乗っければ尚更ボディーの振動より弦の振動サウンドが前に出てくるかなと。

僕がメインに使っている楽器は3.7前後の楽器が多いです。
65年のフェンダージャズベース、プレシジョンベース、現行のカスタムショップのプレシジョンベース、そしてSadowskyのTeppeiモデル。この楽器たちはどれも3.7kg前後の重さです。

逆にいうと自分はこの重さの楽器の響きが好きだというのが、Sadowskyで自分のモデルを作った時に色々な試作機を弾き比べて思い始めました。

このくらいの重量感のボディに伝わる弦の振動。それを拾ったP.Uから出力される音。
良い感じに広がりがある音というか、締まり過ぎず、広がりすぎず、太く芯もある的な。
自分で楽器を作るわけでは無いので、専門の方からすると的外れな思いかもしれませんが、今までたくさんベースを弾いていて、ボディ材の種類よりも重さがかなりサウンドに影響してるのかなと思っています。

そしてネックや指板はトーンにかなりの影響を与えるのは確かです。



この4.9kgのJazzBassは重さがしっかりとあるので、一音一音が固まりとなり、力強く、メイプルの明るいアタッキーなトーンが特徴です。これはパッシブ、アクティブ共に。
アクティブにすると低音も高音も更に出るので派手さは増します。
Sadowskyのプリアンプは優秀なので、基のトーンを損なうことはありません。

この音の固まり感がアンサンブルでもしっかりとした存在感を発揮し、すごく抜けて聞こえます。抜け方も嫌なハイファイ感では無く、芯の部分がしっかりしているので支えることも出来ます。フロントのみで出すとかなり太く、粘りもあって良い音なんですよね。

パッシブで仕様しているベーシストで良い例はAlex Alでしょう。


良い音しています。

故、青木智仁さんが使用していた77年のJazzBassは軽く5kg越えのすごく重い楽器だったようです。


今は60年代の楽器におされて存在はいまいちですが、この楽器にしか出せない音があるので、ベーシストなら是非とも自分のバリエーションに一本あると良いと思います!

最近だと70年代もヴィンテージ楽器として扱われつつありますので高騰する前に良い個体を探してみてください^^

それではまた。