カンパイ・ソング 11/2 | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



昨日はなかなか寝付けなかった。

いつも通りに飲んでいつもの時間に寝た。

しかし、頭の中がグルグルしてどうにもならない。

理由はわかっている。

決して甘すぎた生姜焼きのせいではない。

翔の告白のせいだ。

翔は智のことを恋愛対象として見ている。

では智は?

そんな翔のことを……翔の言葉を借りるなら、気持ち悪いと思うだろうか?

いや、智はそんな子ではない。

もし翔に気がなかったとしても、弟の性志向を否定するような子ではない。

では、智も翔のことを憎からず思っているとしたら……?

智も翔と似たようなことを言ってなかったか?

智に恋人ができたら家を出ると言った翔と。

……そうだ、家に閉じ込めたいと言っていた。

それくらい心配だと。

あれは……どういう意味だったんだろうか?

智も翔のことを……?

いや、勝手に想像で話を進めてはいけない。

智の気持ちを確かめないと……。

急がなければ。

明日は家族旅行だ。

モヤモヤした気持ちのまま旅行になんて行けるわけがない。

だが待てよ。

はっきりして、さらに行きにくいことになりはしないか?

う~ん、困った。

どのパターンで考えても行きにくいことこの上ない。

まず、智が翔に気がなかったとしたら。

翔と智の関係が気まずくなる。

それを見ながらの旅行は……楽しめないに違いない。

では、智が翔と同じ気持ちだったら?

二人のイチャイチャにさらに磨きがかかって……見ていられないんじゃないか?

では、聞かずにこのまま旅行に行ってしまったら?

……翔の気持ちを考えると、やりきれない。

翔の視線、行動に私が耐えきれなくなるんじゃないか?

男同士、兄弟と言う壁を抱えて、それでも好きだと言った翔。

あのキスは、精一杯、気持ちを押さえる為のキス。

起きている智にはできない行動。

そんなの切ないじゃないか。

やはり、智に気持ちを聞いてみよう。

どんな結果であれ、翔には教えず、私の胸の中に留める。

うん、そうしよう。

それがいい。

智にその気があったとしても、なかったとしても、それより先は二人の問題。

私の出る幕ではない。

「智。」

ビールを飲みながら、智を呼ぶ。

「ん?どした?」

智がスマホから顔を上げる。

「明日の用意はできてるのか?」

智は笑って、私の向いにやってくる。

「できてるよ。父ちゃんは……心配する必要ないか。

 翔ちゃん、ちゃんとやったかな。」

翔は今日もバイトだ。

旅行の前日だから休みたかったらしいが、人が足りないらしい。

「何か忘れたら、旅先で買えばいい。パパが一緒なんだから。」

「んふふ、そうだね。」

智は自分が飲んでいたペットボトルを開ける。

「家族旅行……久しぶりだね。」

智がゴクゴクとお茶を飲む。

「小学生以来か?」

「そうだよ。田舎にも行かなくなったし。」

忙しさにかまけて、祖父の家にも行っていない。

久しぶりにあったら、智と翔が大きくなっていてびっくりするな。

「正月、顔を出しに行くか。」

「いいけど、翔ちゃんバイトかも。お正月は手当が出るらしいって言ってたから。」

「翔は何か欲しいものでもあるのか?バイト多くないか?」

「そだね……。楽しいんじゃない?」

智の瞳が曇る。

「働くのが楽しいんだろ。できるようになると、なんでも楽しくなる。」

「翔ちゃん、なんでもできるから。」

「智だってできるだろ?」

「俺はダメ。飽きちゃうもん。」

智が、んふふっと笑う。

「家でゆっくり料理するのとかはいいけど、バイト先だと流れ作業みたくなるから、

 あんま楽しくない。」

「そうか。」

「だから翔ちゃんすごいなって思う。

 バイト先でもモテモテだね。」

笑いながらお茶を飲むが、目が笑ってない。

「翔のことを羨ましく思ってるのか?」

「羨ましいのは……翔ちゃんじゃない。」

ペットボトルの上に顎を乗せた智の唇が尖る。

「翔じゃなかったら、誰だ?」

智の口がさらに尖る。

「誰だろ。」

私はビールを口に含み、ゴクンと飲み込む。

「好きな子……いるんじゃないのか?」

「……いないって言ったじゃん。」

いるだろ、どうみてもその言い方は。

「その子は学校の子?」

「いないって……。」

「バイト先?」

何も言わず、ペットボトルから顎を外し俯く。

「俺、明日の用意するわ。」

ペットボトルを持って立ち上がる。

「翔?」

驚いた顔をして、智が私を見る。

「どうして?」

私を見ていた智が頭を振る。

「理由なんかないか。父ちゃんは俺の父ちゃんだもんな。

 見てたらわかっちゃうか。」

智が苦しそうに笑う。

「そうだよ、俺が好きなのは翔ちゃん。

 翔ちゃんが一番。一番大好き。でも、内緒ね。

 そんなこと言ったら、翔ちゃんが困っちゃうから。」

智は無理に笑ったまま、私の前を去る。

私はゆっくりビールを飲み、空になったグラスを見つめる。

なんだ。

両想いじゃないか。

男同士、兄弟で両想い……。

え?本当に!?

こんなことあるか!?

あっていいのか!?