目が合っては逸らされ、逸らされては見られがしばらく続き……。
俺の夢も続き……。
もうこの歳になって、毎日やることなんかなくなってたから(若い頃だって毎日はない!)、
廃人になるんじゃないか?と思い始めた頃。
それくらいよくヌケるんだよなぁ。
毎朝パンツ洗ってる俺にはわかる!
起き抜けの気分は爽快なんだけど!
俺、その内、兄さんじゃないとヌケなくなるんじゃないか?
それ、相当まずくない?
最近じゃ、飲みながら夢を思い出すだけで……下半身がもぞもぞ疼くしまつ。
これはそろそろなんとかしたい。
仕事には影響でないよう頑張ってるけど……。
松潤に言われちゃったくらいだからなぁ。
ファンが不仲説とか言い出す前に、なんとかしないと!
でも、本人目の前にすると、どうしても夢のことを思い出しちゃって。
顔を見るだけでしんどい。
なんであんな夢を見始めたのか。
深層心理で前々から兄さんのことをそんな風に見てた?
え?俺、実はそっち系?
ここは……。
チラッと隣を見ると、薄茶の瞳がスマホをじっと見つめてる。
忙しなく動く指。
前の席に視線を移すと、腰をずらして背もたれに凭れ、漫画雑誌を読むつぶらな瞳。
この二人に話を聞く!
絶対何か知ってる!
何か勘付いてるはず!
幸い今は、松潤と兄さんはいない。
今がチャンス!
「相葉君、ニノ。」
二人は顔を上げず、返事だけする。
「ん~?」
「はい?」
「ちょっと話があんだけど。」
「なになに?」
相葉君が雑誌から視線を上げる。
「兄さん……大野さんのことなんだけど。」
「リーダー?」
相葉君がチラッとニノを見る。
ニノの表情は変わらない。
「なんか、知ってるでしょ?」
「なんかって、何?」
ニノが初めて顔を上げる。
「このところ、様子がおかしくない?」
聞き返す俺に、ニノはまたゲームに視線を戻す。
「そう?全然気づかなかった。」
嘘突け!
俺と兄さんを交互に見て、意味深に笑ってたじゃないか!
「兄さんに何かあった?」
さらに体を寄せて聞くと、ニノがスマホをパタッとテーブルに置く。
「何かあったのは、翔さんの方じゃないの?」
ギクッ。
「お、俺は別に……。」
「あ~、怪しい顔してる!」
相葉君が俺を指さして楽し気に笑う。
「何があったの?」
「ここはズバッと言っちゃおう!」
二人が俺を挟むように身を乗り出す。
え?言う?
なんて?
毎晩、兄さんの夢見てヌイてますって?
言、言えるわけないじゃないの!
俺の顔をじっと見ていた相葉君が、ひらめいたって顔して指を立てる。
「じゃ、じゃあさ、俺らが当てるから!」
それに乗っかるようにニノが続ける。
「当たったら、ちゃんと当たったって言ってよ?」
俺に確認を取る間もなく、相葉君が答え始める。
「まずは、プライベートか仕事関係か……。仕事関係!」
二人の視線が俺の答えを求めてる。
え、まぁ、このくらいなら?
「半分当たってて半分ハズレ。」
相手は兄さんだけど、全体的にはプライベートの話……だよな?
「あ~、半分かぁ。」
ニノと相葉君がアイコンタクトを交わす。
「半分仕事ねぇ……。じゃ、次ね。」
そう言ったのはニノ。
「仕事関係で……気になる……人がいる?」
ギクギクッ!
気になるって言うのとはちょっと違うけど……。
いや、気になってるんだけど……。
そういう意味じゃないよな?
そういうってどういう?
あ~、こういうの考える時、指示語は余計に混乱させるんだよっ!
「ねぇ、どうなの?」
相葉君が答えを急かす。
仕方ない。
ここは正直に……。
「気になる人……いるにはいるんだけど……。」
言った途端に、相葉君とニノがイエ~イとハイタッチをし出す。
「やっぱね?そうだと思ってたんだよ!」
「面白くなってきた!」
面白がるな!
俺にとっては結構な問題なんだから!
「じゃ、次俺ね!」
ニノが指を顎に当て、ん~と考えて……。
「気になる人がいるってのは、プライベートの方の半分ってことだから……。」
さすがの推理力!
それくらい、誰にでもわかる?
顎に当てた指を弾くように俺に向ける。
「ズバリ!その相手はメンバーの中にいる!」
ギクギクギクッ!
なんでわかった!?
てか、これ、完全に恋愛相談みたくなってない!?
気になるって、そういうのとはちょっと違うから!
あれ?Hする相手って恋愛相手?ただヤル相手?
俺の顔を見た相葉君とニノがまたハイタッチを繰り出す。
「イエ~イ!ビンゴ!」
笑う二人が、キラキラ光る瞳で俺を見る。
間違いなく二人共楽しんでるだろ!
てか、兄さんの話を聞こうと思ったのに、なんで俺の話してるんだ!?
「その相手ってのは……。」
相葉君が言い掛けると、楽屋のドアがガチャッと開いた。
やっぱり3話は無理だった(^_^;)
5話くらいで!(笑)