いつか秒針のあう頃 ④ | TRIP 嵐 妄想小説

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嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



「それではよろしくお願いします。」

潤と翔君が握手する。

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

元気よくそう言い、深く頭を下げる潤。

「いやぁ、本当に素敵なデザインでしたから。」

翔君がチラッと俺を見る。

ドキッとして、視線を逸らさずにはいられない。

「大人向けなのに、あえて子供の頃を思い出させるテイスト……。

 お酒を飲みながら、ウチの商品を食べて子供のように夢を見る。

 あんまりにも僕のイメージにピッタリでびっくりしました。」

またドキッとする。

バ、バレたか?

翔君が昔、言ってたこと、思い出して描いたの……。

『子供にとってはさ、このお菓子、夢みたいじゃない?

 甘いチョコレートとちょっとしょっぱいポテトチップスのコラボ。

 大好きなものが大好きなものと一緒になってよりおいしくなるなんて。』

そう言った時の翔君が、本当に子供みたいに可愛くて。

いやいや、翔君だけじゃなく、あれを食べたら誰だってそんな気になるもんだろ?

プレゼンで勝てたのも、他が大人向けを全面に押し出して、

おしゃれセレブテイストで来たから目立っただけで。

「じゃ、詳しい打ち合わせは明日。

 部長が言ってたように色味を少し変えた方がよさそうですし、社内でまとめておきます。」

「よろしくお願いします。」

また潤が頭を下げたから、俺も一緒に頭を下げた。

「あ、打ち合わせには……大野さんも?」

潤が俺を見ずに答える。

「もちろん連れてきます。」

えっ?

「その方が話が早いですから。」

うそだろっ!

「じゃ……大野さん、よろしくお願いします。」

翔君が、営業スマイルでニコッと笑う。

「は、はぁ。」

生返事に、潤の肘が俺の脇腹を小突く。

「あ、明日、松本と一緒に伺わせていただきま……す。」

翔君の綺麗な指を見ながら言い、最後に顔を見上げると、翔君が笑いながらうなずき、

潤が満面の笑みで大きくうなずく。

翔君は軽く会釈して戻って行く。

マジか。

明日もあの笑顔に……会うのか。



「やっぱり俺はいいだろ。」

「ダメ。もう行くって言っちゃたんだから!」

潤が受付に俺を引きずって行く。

「や、でもほら、いつもみたいにお前がヒアリングしてくれれば……。」

「つべこべ言わず行くよ。社運がかかってるんだから!」

社運て……。

確かに部長も喜んで社長に電話してたけども……。

もうウチに決まったわけだし、わざわざ俺が行かなくても……。

「それとも何?何か行けないわけでもある?」

「そ、そういうわけじゃ……。」

行けないってか、行かない方がいいだろ、普通!

別れた相手なんか、会いたいか?

翔君だって迷惑なはず!

だから聞いたんだろ?

俺がこないことを確認するために、大野さんも?って。

なのにお前が連れて行くなんて言うから!

一瞬……。

ほんと一瞬。

翔君も俺に会えることを喜んでくれてる?……なんて錯覚したけど、それは俺の希望。

まだ未練のある俺が、そう思いたいだけ!

「ほら、行くよ。」

受付を済ませた潤が、俺にIDカードを押し付ける。

仕方ない……。

気が重いのに、喜ぶ俺もいて……複雑。



「じゃ、もう少し暖かめの色にして、商品の写真はこちらを使わせて頂きます。」

潤がBと書かれた写真を指さす。

「ええ、お願いします。」

手帳に細々書き込んで、ホチキス止めの冊子を閉じた潤が、真っ直ぐ翔君を見る。

俺は、隣に座っているだけで、ほぼ何もしない内に打ち合わせが終わる。

聞かれたことにうなずいただけ。

潤も翔君も慣れたもんで、できないようなデザイン変えを要求したりしないからね。

だから、来る必要ないって言ったじゃないか。

「直しが上がりましたらご連絡いたします。

 他にご要望があれば、なんでも言ってください。」

「なんでも……?」

「はい、なんでも!なんなら、女の子も用意しますよ~。

 結構友達多いんで。」

潤が冗談めかして笑う。

良い人いたら紹介してくれって言ってた翔君に、半分本気の半分冗談。

「女の子はいいかな~。

 でも、もしよければ……。」

よければ?

女の子以外で?

俺と潤は翔君のその先の言葉を待つ。

「今日、飲みに行きませんか?

 親睦を深める意味で。」

うん、いいんじゃないの?

潤と翔君……話が合いそうな気がするし。

「いいですね~。でも今日はちょっと遅くなりそうなんで……明日はどうですか?」

「明日は僕が……。」

翔君がすまなそうに後頭部を撫でる。

あぁ、このクセ……。

困った時に襟足を撫でるクセ、まだしてるんだ。

当たり前か。

クセなんだから!

「来週とかはどうです?」

「来週は……水曜日なら。」

「あ~、水曜日は……。」

二人とも忙しそうだかんな。

「じゃ、遅れてもいいなら、今日にしましょう。

 思い立ったが吉日って言いますからね。

 先に飲んでてください。」

潤が俺と翔君を交互に見る。

え、どういう意味!?

「わかりました。じゃ、大野さん、7時に……山小屋……わかりますか?」

知ってるに決まってるだろ。

初めて翔君に会った居酒屋!

てか、え?

俺も一緒?翔君と潤、二人で飲むんじゃないの!?

潤がうんうんと首を振る。

「大野さんよろしくお願いしますよ。

 俺も後から行きますから。」

え……ちょっと待て!

「じゃ、夜。」

翔君がニコッと笑って立ち上がる。

俺と潤も立ち上がると、翔君が商談ルームのドアを開ける。

潤が小声で囁く。

「わかってると思いますけど、接待みたいなもんですからね。

 粗相のないようにね。

 俺も急いでいきますから。」

嘘だろ!?

ほんとに!?

翔君と二人で……あの店で!?