3回掛けた。
でも、呼び出し音が松潤の声に変わることはなかった。
飲んでる?
寝てる?
仕事してる!?
にしてもだよ?
これだけ掛けたら、何かあったのかと思って出てもよくねぇか?
メンバーからの電話は出ちゃうって言ってなかったか?
俺も一応メンバーなんだけど!
LINEもスタンプ爆押し!
チラッと顔だしスタンプから、激怒スタンプまで!
でも、うんともすんとも言わない。
既読すら着かない。
マジでなんかあった!?
仕事……だよな。
そうそう、仕事!
仕事で忙しくて出られないの!
いや、でもこの時間まで……?
あ、ありえるよ。
朝まで打ち合わせしてることなんかざらなんだから!
仕事なら仕方ない!
仕事と私、どっちが大事!?
なんて、めんどくさい女みたいなこと、言えない!
チラッとスマホを見る。
全く鳴る様子のないスマホ。
飲まされてグデングデンになってるのか?
一人で帰れないくらい。
で、イケメンに囲まれて……。
胸元のシャツとか肌蹴てて……。
可愛い松潤の寝顔見てたらムラムラと……。
寄ってたかって服を脱がせ……。
ダメダメ!
松潤の寝顔、破壊力抜群なんだぞ!
簡単にその気になるんだから!
見せるな!見せるなよ!
あ~、どうしよう。
マネージャーに電話するのは気が引けるしなぁ……。
翔君に電話しようかな。
翔君ならみんなのスケジュール把握してるし……。
仕事なら……仕方ない。
電話くらい出て欲しいけど……仕方ないって諦められる。
でも、そうじゃなかったら……。
やっぱり心配だ!
翔君に電話してみよ……。
スマホを開いてタップしようとして、光る画面に落としそうになる。
「うわわっ!」
かろうじて落とさなかったスマホを見ると……ニノ?
すぐにスマホを耳に当てる。
「もしもし。」
聞こえてくるのはちょっと疲れたニノの声。
「どしたの?」
「あんたのせいだからね。」
「何が?」
「相葉さん、ウチ来て絡んで大変なんだから!」
あ~、相葉ちゃん、家じゃなくニノんち行ったんだ。
「リ~ダ~っ。」
へべれけな相葉ちゃんの声が遠くから聞こえる。
「ちょっ、どこ触ってんの!邪魔っ!」
相当酔ってんな。
うち出る時は酔いも覚めてる風だったのに。
あれからだいぶ飲んだ?
「意地張っちゃダメだよ~~っ。」
鼻にかかった相葉ちゃんの声。
「あっち行けっ!」
スマホの向こうがガチャガチャして、ニノの溜め息が聞こえる。
「とにかく、俺にも言えってうるさくて。」
「言え?何を?」
「ちゃんと仲直りさせろって。」
ははは。
「こんなの、ほっとくのが一番なのに。」
ははははは。
ニノらし。
「ほんとにもう、二人とも意地っぱりで頑固だから。」
「そ、そんなことないよ。」
「本気で思ってる?」
「いえ……その通りです。」
最初に意地張っちゃったからな……。
それがそもそもの始まり。
日曜以外ムリ……なんて言わなきゃよかった。
「別れるなら別れるで……それもあり。」
えっ?
「そしたら私が慰めてあげてもいいですよ。」
「なぐ…さめるって……?」
「私なら……慰めてあげられると思いません?」
ニノの声が……ちょっと低くなったのは……気のせい?
潤サイド