Sunshine (106) | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



少し話して、ショウ君がすぐにスマホを開く。

それを見ていたお姉さんも、それ以上は話しかけず、自分のスマホに視線を向ける。

ポケットの中のスマホが震える。

人込みに隠れてスマホを開くと、想像通りショウ君から。

『結構電車混んでるから気を付けて。サトシ、満員電車乗り慣れてないから心配。

 酔っ払いの近く、綺麗なお姉さんの近くには行かないように!

 あ、デレデレ鼻の下伸ばしたおっさんの近くも!』

おいらいったいどこに乗ればいいの?

周りを見まわすと、おっさんとお姉さんばっかり。

微かにお酒の匂いもする。

立ち飲みとかで、一杯ひっかけて帰るとこなんだろうな~。

中にはお兄さんもいるけど……。

お兄さんがチラチラおいらを見てる。

なんだろ?

顔になんかついてる?

打ち合わせ中、何も食べてないから大丈夫だと思うけど……。

頬を指先で撫で、何もついてないのを確認して、返信する。

『わかった。気を付ける。

 でも、この時間の電車でショウ君の言う通りにしたら家に帰れないよ~(笑)』

すぐに返信が来る。

ショウ君、打つの早い!

『無理して乗らなくていいから。なんなら今から迎えに行こうか?

 まだ戻れるよ?』

え、それはまずいっ!

あ、でも覗き見が長くなるからいいのか?

でも、待ち合わせしたら覗き見にならない?

家に帰るのが遅くなるし!

『いいよ、いいよ。大丈夫。家で待ってて。』

『何かあったらすぐに連絡するんだよ。

 すぐ行くから。』

すぐって……。

クスクス笑ってスマホをしまう。

すぐになんか来れっこないのに、ショウ君は。

でも、本当に来そうだから怖い。

ショウ君、スーパーマンかウルトラマン?

そう言えば、昔から突然現れたりしてたもんね。

いるわけないのに、いたり。

本当にそうなのかも……?

極秘任務だから誰にも言っちゃいけないの。

もちろん、おいらにも!

さっきだって、泣いてた子供がすぐに笑顔になった!

スーパーマンにはあれくらいお手の物?

乗換駅になって、ショウ君が立ち上がる。

人込みに紛れて隠れるようにおいらも降りる。

大丈夫。

ショウ君はこっちを見なかった。

まっすぐ階段を下りるショウ君。

この先の乗り換えもわかってるから、柱の影で少し待つ。

階段だと何かの拍子に振り向いたらバレちゃうもんね。

ショウ君の背中が階段を下り切り、右に曲がる。

よし、おいらも。

柱から出ようとすると、制服を着た男の子が、おいらの前で立ち止まる。

もぞもぞしながら、リュックを抱き締めてる。

高校生かな?なんか可愛い。

でも、ショウ君が行っちゃう!

「あ、あの……。」

男の子をそのままにもできなくて、チラチラ階段の方を気にしながら様子を窺う。

「これ……。」

手にしていたのはおいらがイラストを描いた本。

この間、映画になったあの本。

あの時は、雑誌の取材とかで、おいらの写真も少し出したから、

高校生でも知ってる子は知ってる?

「す、好きです!」

え……。

思わずふにゃりと笑っちゃう。

いろいろ端折りすぎじゃない?

おいらのイラストが好きってことでしょ?

「ありがと。」

おいらの顔を見て、ホッとした男の子が、本と一緒にサインペンを差し出す。

おいら、サインなんてできないけど……。

でも、その気持ちが嬉しかったから、最後のページ、奥付けの上に名前を書く。

できるだけ丁寧に。

こういうのは、気持ちだよね。

「あ、ありがとうございます!」

おいらのサインを見て、男の子が嬉しそうに本を抱き締める。

うふふ、こういう気持ちわかる!

嬉しいんだよね。

好きな絵を描いてる人に会えたりすると。

おいらにも覚えがある。

大学時代、好きな絵を描く人がいて、おいらの大学の卒業生で。

先生に頼んで、学生時代に描いた絵とか見せてもらってて。

すごいなぁ。

おいらと同じ年でこんな絵が描けるんだ!

どうやったらこんな風に見えるようになるんだろ。

どうしたらこんなに感動できる絵が描けるんだろ。

そう思ってたら、学校の何周年かのイベントで来てくれて。

その時もらったサインは、大事にしまってある。

今でも一線で活躍するその人に、いつか一人前になって会えるかな。

最近で言うと、安彦先生に会えた時!

あれも感動したもんね。

小さい頃からずっと好きだったから。

「絵を描いてるの?」

おいらが聞くと、男の子がうなずく。

「勉強してるわけじゃないんですけど、好きで……。」

そういう気持ちが大切。

好きこそ物の上手なれ。

「おいらも好きだから描いてる。

 同じだね。」

男の子の顔がポッと赤くなる。

んふふ、可愛い。

「好きの気持ちはとっても強いんだよ。

 ずっと持ち続けていければ、それはきっと形になる。」

そう、好きの気持ちは強い。

何に対しても、誰に対しても!

「はい!……ありがとうございます。

 なんか……目の前が開けた気がします!」

そんな大そうなことを言ったわけじゃないんだけど……。

男の子が大きくお辞儀して、走り出そうとして足を止める。

「大野さん……写真で見るより綺麗です。」

綺麗って!

びっくりしていると、男の子がさらに続ける。

「こんなに年下の僕から言われるの、嫌かもしれないけど……。

 すっごく可愛いです。年上の包容力もあるのに、笑った顔が……。」

男の子が恥ずかしそうに頭を掻く。

「さらにファンになりました!」

乗り換え階段に向かって走って行く制服の背中を見て、なんか懐かしさを感じる。

いろんなものが新鮮なんだろうな。

だから、周りの友達とは違う、年上のおいらを見て、そんな風に感じちゃったんだろうね。

高校時代ってそうだよね。

何もかもが新鮮で、心も純粋に反応しちゃう!

そうだ、忘れちゃいけない、ショウ君!

少し時間取っちゃったけど、ショウ君、まだ電車乗ってないよね?