テ・アゲロ  the movie ⑨ scene4 | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



二宮は小鳥のさえずりで目を覚ました。

安ホテルの防音設備はないに等しい。

スマホを開くと、9時を少し回ったところだ。

辺りを見回し、足が片方痺れていることに気付く。

そっと足を動かし、痺れが取れるのを待つ。

ここは……。

昨日のことを思い出そうとすると、とたんに靄がかかる。

また、あったんだ……死体。

思い出せるのはそれと、大野と会ってからのことだけだ。

ベッドに目を向けると、大野はまだ寝息を立てている。

トーマがいなくても眠れることに、どこか驚いている自分がいる。

トーマの温もりが全てを忘れさせてくれるわけじゃなかった。

そのことに、寂しさとわずかな安堵を感じている。

トーマがいなくても生きていける。

例え、このまま、何が起こっているのかわからなくても。

生きていけないような気がするのは自分の弱さだ。

けれど、このまま去るわけにはいかない。

きちんとトーマと別れて、トーマに自分を忘れさせないと。

足を伸ばしてみる。

痺れは8割がた取れて来た。

ウ~ンと伸びをするように体を大きく動かす。

ベッドで寝ていた大野の目がパチッと開く。

「あ、起こしちゃった?」

大野が、大きな口を開け、欠伸をする。

「ふぁいひょーぶ……。」

欠伸をしながら返事する大野の目尻から涙が零れる。

「まだ眠そう。いいよ、寝てて。帰るから。」

「なんだ、帰る家があんのか。てっきり行くとこないのかと思ってた!」

大野が目尻を拭いながら笑う。

「……恋人が、待ってる。」

小さな声でそう言う二宮に、大野の笑顔がさらに大きくなる。

「なら、大丈夫だな。恋人に心配かけるなよ。」

二宮はうなずき、立ち上がると毛布を畳む。

「相手は、どんなやつ?」

「どんな……。こういう時、なんて言ったらいいの?」

「知るかそんなの!」

大野が大声で笑う。

「イケメンだとか優しいだとか、あんだろ、なんか。」

毛布を小さく畳みながら、二宮は斜め上に視線を向ける。

「イケメン……だね。モテるよ、すっごく。」

周りにたくさんいるトーマのファン、取り巻き。

その中から、なぜか自分を選んでくれた。

それが嬉しくて、ちょっとした優越感もあって……。

「モテるのか。それじゃ大変だな。」

「そうでもないよ。大事に……してくれるから。」

大事にしてくれてる。

取り巻きたちとは一線を画してくれる。

自分だけ特別にしてくれているのは、二宮にもわかっていた。

だからこそ、ちゃんと別れないと……。

こんなに好きだけど……好きだから……。

「優しいし、私だけを見てくれる……。」

大野が、ハッと天を仰ぐ。

「ごちそうさん!」

そんな大野を見て二宮も笑う。

「あはは、あんたも結構いい男だよ。」

「持ち上げても、昨日の飯だけでなんにも出ねぇぞ?」

大野は両手を広げてアピールする。

「なんだ、もっと何か出るかと思った!」

畳み終えた毛布を椅子に乗せ、二宮がドアに向かう。

「昨日はありがとう。今度どこかで会えたら、私が朝メシご馳走するよ。」

今度などないことは、お互いわかっている。

「おお、そうしてくれ。じゃあな。」

「じゃ。」

二宮はゆっくりドアを出て行く。

大野はその後ろ姿を見送りながら、顎の無精ひげを撫でる。

「ちっ、伸びて来たな。色男が台無しだ。」

尻を掻きながら立ち上がる。

カーテンの隙間からわずかに太陽の明りが差し込んでいる。

その明りを踏むように大野は洗面所へ向かう。









 

 

 

 

短いけど、sceneごとに割り振りたいので、ここで。

次も短めかも~。