「そっか。無事おうちに帰ったんだね。」
「うん。」
マー君が、長い足を投げ出して手を後ろに付く。
庭の真ん中では虎次郎が昼寝してる。
マー君、今日はお休みなんだって。
お休みにわざわざノアの心配して来てくれた。
しかも、おいらの話を信じてくれるマー君。
いつも優しいマー君は、虎次郎にもわかるのかな?
虎次郎も、マー君がいても変わらない。
んふふ。
マー君は動物にも愛されてる!
昔から……。
「そう言えばさ、小学生の頃、二人でカッパに会ったよね。」
おいらが言うと、マー君がまあるい目をまん丸にしておいらを見る。
「会った会った!誰も信じてくれなかったけど。」
「カッパって動物なのかなぁ?」
「妖怪なんじゃないの?」
「妖怪って動物?」
おいらは二人の間に置いたマグカップを取り上げ、一口飲む。
「どうだろ?でも、思ったより人間ぽかったよね?」
「人間ぽかった~。」
「見た目もさ、あんまり妖怪っぽくなくて。」
「うんうん。」
「その話した時のショウちゃんの顔っ!」
「カズもすっごく見たがって!」
「そうそう!でも、ジュン君だって見たかったんだよ?
あの後、一緒に沼に行ったじゃん。」
「そうだったっけ?」
「そうだよ~。」
虎次郎がたまに片目を開け、うるさそうに顔を背けるのを見ながら、
おいら達は一頻り昔話に花を咲かせた。
帰り際、庭のハーブを少しお土産にして渡すと、マー君がにっこり笑う。
「よかった。元気そうで。」
「なんで?……あ、ショウ君?」
マー君が意味深に笑う。
「おいらが落ち込んでるかもしれないから、話し相手になってあげてって言われた?」
「まぁ、そんな感じ。でも、話した感じだと、落ちてるのはショウちゃんの方だと思うけど。
昔っから、そういうのに一番敏感なの、意外とショウちゃんじゃん。」
うん。そうかも。
転校しちゃう友達とか、卒業式とか、一番目が潤むのはショウ君。
だから、おいらを心配してくれたんだね。
「言う必要はないと思うけど、ちゃんとフォローしてあげて。」
「うん。今日の夕飯はピーマンの肉詰めにしてあげる!」
「くふふ。ショウちゃん、それだけで大喜びだよ。」
「んふふ。」
「でももし……。」
「ん~?」
「もし、それでも寂しそうだったら、風間のところにも可愛い子がいっぱいいるから。」
「うん。ありがと。」
「サトシも……さびしくなったら、ウチの子達も待ってるから!」
「ぅふふ。おいらはいつでも会いたいよ、サトシ君にもショウ君にも!」
「言っとく!連れて来いってうるさそうだけど。」
マー君は笑ってバイバイと手を振った。
マー君がいなくなった玄関で、鍵を締めながら考える。
ショウ君……あんなに可愛がってたもんね。
夜も我慢しちゃうくらい……。
おいらで……慰めてあげられるかな?
「ん、んぁ、あ、あぁんっ……ショ…くっ……。」
「まだだよ……まだ入れてあげない……。」
ショウ君の 舌 がおいらの 耳 たぶを 甘 噛 みする。
唾 液 の音が 鼓 膜 を直に 刺 激 して……ズクッと腹の奥が 疼 く。
ショウ君の指は足の付け根をまさぐって、
もう片手でおいらを抱きしめ、指先が、くすぐったいくらい優しく 胸 の上をなぞる。
「ぁあっ……ダメ、待てない。」
「焦れるサトシが可愛いから……まだまだ……。」
「も、もぅ……待て……ぁあっ!」
ショウ君の指が 胸 を 摘 まんで、キュゥッと腹の奥が縮こまる。
それと同時に体を 捩 って、ショウ君の腕から離れようとするけど、
ショウ君の腕はおいらを逃してはくれない。
「ショ、ショウ君は?ショウ君は入れたくないの?」
おいらが見上げると、困ったように眉をしかめる。
「俺は……まだ大丈夫。ピーマンの肉詰め食ったから。」
肉詰めなんて作らなきゃよかった!
「いじ…わる……。」
「可愛くて、意地悪したくなるんだよ……。」
そんなこと言われても……。
ショウ君の 指 がおいらの後ろを分け入ってくる。
「あぁ……。」
「十分 解 れてるね……。指 じゃ、満足できない?」
指 じゃない。
おいらの欲しいのは……。
指 先 が、おいらのいいとこを強く押す。
「あっぁあっ……。」
仰 け 反 る背中にショウ君のクスクス笑いが伝わってくる。
「もっともっと欲しがって?
もっともっと……俺を求めてよ。」
求めてるよ。
もう十分!
これ以上ないってくらい!
「ずっと俺の手の中で……悶 えて 喘 いで……華を咲かせて……。」
ショウ君……?
やっぱり寂しい……の?
おいらはショウ君の 指 に 擦 りつけるように 腰 を 振 る。
「……サトシ……?」
「おいらはいつだって、悶 えてるよ。
ショウ君が意地悪だから。」
「サト……。」
ショウ君の困った瞳がおいらを見つめる。
大きな綺麗な瞳がユラユラ揺れる。
「……ショウ君の腕の中だけで……。」
「サトシ……。」
「おいらは……どこへも行かないから……。」
言い終わるか終わらないかで、ショウ君の 唇 が降って来る。
激しい 舌 使 いが、またズクッとおいらを 疼 かせる。
舌 先 が 上 顎 をくすぐると、このままイッちゃいそうなほど、腹の奥がキュンとする。
指 が 激しく 攻 めたてる。
舌 が力強くおいらの中に入って来る。
おいらを確かめるように、ショウ君の体がおいらを包む。
大丈夫。
おいらはどこへも行かないよ。
行けって言われても離れられない。
太陽がないと育たない庭の植物のように、
おいらもショウ君がいなかったら、何も育たない。
でも……。
「ぁあ、ショ、お願いっ、入れて……。」
そろそろ本当に限界。
指だけじゃ……。
「仕方ないなぁサトシは。」
ショウ君はそう言って、横向きのまま、おいらの 中 に入って来る。
「ぁあっ、ショウっ。」
おいらの体もショウ君と同じ横向きで、体中余すところなくくっつくと、
圧 迫 感 が増して、蠕 動 (ぜんどう)を繰り返すのがわかる。
「ぁあ、くっ……そんなに……欲しかったの?」
おいらは、うんうんとうなずく。
「そっか、ごめんね……。」
ショウ君の 唇 が、おいらの髪を撫でる。
でも……全然動いてくれないショウ君。
入れたまんまで動く素振りもない。
「ショウ君……?」
ショウ君がニヤッと笑う。
「もう少し……可愛いサトシが見たい。」
え?どういうこと?
「腕の中で、焦れて 身 悶 えるサトシ……最高に可愛い。」
ショウ君!
知らなかった!
ショウ君、寂しくなると意地悪度が増すなんて!
「意地悪っ!」
「ふふふ。ベッドの中でのサトシの口癖だね。」
言わせてるのはショウ君だから!
「俺の口癖は……愛してると可愛い……。」
ショウ君の 唇 が肩口を滑って……。
おいらがビクッとなると、おいらの中のショウ君がさらに 固 くなる。
ああ……。
ショウ君は意地悪だけど……。
でも、それでも……。
最高にいい男!なんだから!
「ずる…い……。」
「あぁ、それもサトシの口癖だね……。」
ショウ君の 唇 が、背中を下り始める。
おいらの中の角度が変わって……。
「ぁあっ。ショ、も、ダメ、お願いっ!」
押し付けられて、ブルッと震える。
おいら……意地悪でずるいショウ君でも……。
ううん、だから!
一生離れられない!
でも……おいらの口癖、たぶん違う……。
意地悪もずるいも言うけど、もっと言う言葉が……。
もっと毎回言う言葉…………。
…………。
明日も……ピーマンの肉詰めにしよう……かな……?