―――― もう、何年がかりでしょうか。
自主製作映画『消滅戦街道』がクランクインしてから、ずいぶん経ちました。
ようやく昨年の7月に主要キャストの出演するドラマ部分がオールアップ。
現在、その合間に入り、しかも見せ場のひとつとなる特撮シーンの撮影準備を進めています。
・・・これがブッチャケ、根気勝負です(笑)
俳優陣がことのほか良い演技を披露してくれたので、陳腐な特撮でせっかくの演技を殺すわけにはいきません。
作り物ひとつひとつ、丁寧に作っていく・・・この繰り返しです。
・・・しかし、多くの役者さんたちのスケジュールを気にせず、個人作業に近いかたちで進められるので、これほど気の軽いものはありません。
映画づくりは、時間がかかります。
とくに普段は仕事をしている社会人が、仕事を離れて個人映画を撮ろうとすると、時間とお金の問題が顕著に表面化してきます。
僕の場合は本職もフリーの映像製作・演出関係なので、時間配分とアタマの切り替えが問題になってきます。
そうは言っても、極論を言わせてもらえれば、個人映画の場合「時間をとるか、お金をとるか」の二者択一。
個人作業に時間をかければ費用が安くあがる場合が多いです。
『消滅戦街道』が個人作業で済む段階に入った今、その作業とオーバーラップして、次の作品の準備をしたくなりました。
自分はいったい、何を撮りたいのか・・・熟考した末、サスペンス仕立てのポリスストリーリーに挑戦することにしました。
不思議なことに、これだけ長くこの仕事をしていて、若い頃から自主映画の世界に足を突っ込んでいるというのに、刑事物にはトンと縁がなくて、それなら自分でつくってみよう・・・と思ったわけです。
全体のバランスを考えてストーリーを構築して伏線を張り巡らし、その伏線にちなんだタイトルを付けてみました。
『EMBLEM ~悲しき紋章~』。
どなたが書いたのか、僕の演出を評してWikipediaには「男性的でドキュメントタッチのものが多い」とありますが・・・(笑)
そんな僕には珍しく、主人公は女性・・・女刑事です。
主演は、今までにも映像製作関係で御世話になっている山﨑智美さんにお願いしました。
彼女は、こちらが嬉しくなるほど熱心です。
僕が書いた脚本に細やかな自分なりの書き込みをして、役作りのために様々な質問を投げかけてきてくれます。
こういうのは、嬉しいです。
アイデアが浮かぶ・・・まとめに入る・・・細部をリサーチする・・・脚本執筆はかなり労力を使うものなので、演者さんにサラッと読まれると「あ、軽く流されたな。興味ないな(笑)」と思うし、書かれている一行一行について突っ込んだ部分まで質問を受けると、この方は僕とキチンと向き合おうとしてくれてるなと思い、こちらもモチベーションが上がります。
演出家冥利に尽きます。
先日、「基本的な動きのレクチャー」と打ち合わせを兼ねて、劇中使用する小道具の写真と宣伝用イメージ写真を撮らせていただきました。
他のキャストも『消滅戦街道』から引き続き出演してくださる実力派の方をメインに、個性的な顔ぶれです。
映画はキャスティングに成功すれば、ほぼ七割方は完成している・・・と言う人もいます。
製作中の『消滅戦街道』もそうですが、今回も僕好みの、今までやりたかった「オモチャっぽくない大人のドラマ」が奏でられそうで、今からクランクインが楽しみです。