ハンドメイド作家としてスタートしたばかりの人にとって、『売れるためにどうしたらいいか?』が最大の課題

そして頑張りの甲斐もあって、そのうちサイトのトップページとかにピックアップされたりして、だんだん注文が入るようになるとします。

そうすると、『この調子なら、ハンドメイドを本業にできるかも!』と思えてきて、自信がつきますよね。


でも、本当の課題にぶちあたるのはその後なんです!

これから書くことは、私の経験談なので、誰にでもあてはまるというわけではないかもしれませんが、ぜひご自分に置き換えて、ご参考にして頂けたら幸いです。

 

①第一段階 : 爆売れ期は長く続かない

 


私の場合、各ハンドメイドサイトで頻繁にピックアップされるようになり、そこから爆売れ期が始まりました。

毎日毎日、制作と発送に追われ、お客様の反応も快調。
自分の作っているものに自信も湧いてきました。

ただ、ひとつ大きな問題がありました。
制作時間がかかるわりに販売価格が低かったため、いくら作っても作っても、お金に余裕がないんです。
この価格設定は、大きなミスでした。


大して利益が出ないので、新作づくりやイベント出展で、ほぼ底をつくような状態。
これではハンドメイドを仕事にするなんて、夢のまた夢です。

 

 

②第二段階 : 価格設定を変更

 


このままでは、いくら作ってもハンドメイド作家として自立できないと思い、価格を大幅に見直すことにしました。

どのくらい値上げしたかというと、基本、倍です。
1000円のものが2000円、2000円のものが4000円、という感じ。

あまりうまい値段設定ではないかもしれませんが、実際の制作コストから、倍の値上げは最低限必要と考えたので、思い切って実行しました。


結果、思った通り、注文は激減しました。
それまでの常連さんは、ほぼ全員離れてゆきました。

でも、新規のお客様からのご注文がぽつぽつとあったので、まったく注文がなくなるということはありませんでした。


少しずつ少しずつお客様の数が増えてきて、数カ月くらいかけて値上げ前の売り上げの半分近くまで回復しました。


価格が倍になったので、少ない注文数でもある程度の収入を維持できたことは、とてもありがたいことでした!


そこで、いくつか気付いたことがありました。
 

≪値上げして気付いたこと≫

〇客層が変わる


全体的に、以前よりお客様の年齢層が上がりました。

イベントに出展してみるとわかるのですが、生活に余裕のありそうなマダム層が増えたことは明らかでした。

 

そして、ギフトとしてご購入いただく機会が増えました。

あまり値段の安いものを人にプレゼントするのは気が引ける部分がありますが、値段を上げたことで、ギフトとして選ばれやすくなったようです。

 

〇物の価値は値段で決まる

 

個人的には、物の価値が値段で決まるとはまったく思いません。

ですが、作るものは同じなのに、値段を上げた途端にお客様からの評価や見られ方が変わったのは事実です。



ネットでお買い物をするときってそもそも、画像と説明文とレビューと、値段くらいしか情報がありません。

画像は実物と違うときがありますし、説明文やレビューは文章の中にいろんなニュアンスが含まれるのでまだるっこしいです。

 

でも【値段】だけは簡潔明瞭。

作品の価値を表す一番わかりやすい指標です。

 

千円なら、「この作品は千円に見合った価値がある」ということになりますし、一万円なら、「この作品は一万円に見合った価値がある」ということになります。

 

(まあ、時には値段に見合わないように感じる場合もあるかもしれませんが、それは人それぞれ。見合うと感じた人だけが買っていくことになります。)

 

 

 

〇お客様の満足度が上がる

 

値段の安い時期にご購入いただいたお客様より、値段が上がった時期にご購入いただいたお客様の方が満足度が高いことは、ひしひしと感じていました。

 

まず、丁寧なメッセージやレビューを入れてくださる方が増えました。

こちらが恐縮してしまうような言葉でお客様から褒めて頂くことも多くなりましたが、こんなことは値上げ前にはまったくありませんでした。
 

低価格で販売していた頃は、気軽な気持ちで買ってみる感じの方が多く、作品も雑に扱われてしまうことが多かったです。(お取引後のメッセージで伝わるので、残念に感じていました。)

値上げしてからは、作品をちゃんと丁寧に扱ってくれる方が増え、価値を認めて買っていただくようになったのをすごく感じました。

 

 

 

③第三段階 : 注文数が回復

 

値上げによるお客様離れは、やはり一時的なものでした。
注文数は以前とほぼ変わらない状態に回復しましたが、値上げした分、売り上げは以前の倍になりました。


ホッとしました。

このまま、毎月の売り上げが維持できればハンドメイド作家が本業になるぞ!っと、ヤル気が出てきました。



……ところが、またまた問題が!


月々の注文数に、大きな波があるんです。

これは初期のころからずっと続いていたことです。


少ない月と多い月に2倍近くの差があり、そのパターンもまったく読めませんでした。(私の場合、クリスマス前だから売れるとか、夏だから売れるとか、そういうわかりやすい傾向もありません。)


さらに、ピックアップされたから売れる、というパターンはその頃すでに幻と化していました。

《ピックアップ=売れる》という法則が当てはまるのは、初期だけ。


収入の少ない月が続くと、イベント出展費用をまかなうのもやっと、という状況。。

こんな自転車操業では、ハンドメイド作家として生活していくのはまだまだ厳しいと思いました。

 

 

 

④第四段階 : ネット販売だけでは厳しかった


ネット販売をやっていると、いつも思うことがあります。
『人間て不思議だなぁ。』(本筋からちょっと脱線してるようですが。)


ネット注文が三日、四日も入らない日がある一方で、急に、しかも数時間のうちに大型注文が複数入るとか、そういうことがよくあります。


あと、一年も注文のなかった商品が同じタイミングで複数人から注文がきたりとか。
(お友達同士の注文というわけでもなく、影響力のある方が発信してくれたわけでもないようです。まあ、よくあることなので驚かなくなりましたが。)

どうしてこういうことが起こるのか、理由が見当たらず、いつか経済心理学のスペシャリストに聞いてみたいと思っています……人間の神秘について。(さて、本筋に戻りましょう。)


ネット販売ってこんな感じなので、とにかく読めません。

なので、個人的なネット販売だけに頼るのでは限界があると考え、対策を二つ実行しました。
一つは、買取や委託販売を増やしたことです。


でも、ただ増やすのではダメ。

掛け率は最低でも7割を維持しました。
委託店、買取店とは、納得いくまでしっかり交渉します。



そしてもう一つ。
それは、委託向けの作品のバリエーションを増やしたことです。


委託店、買取店を増やすとなると、販売価格2千円、3千円でもちゃんと収入になる路線(利益率の高い路線)の作品が必要でした。


私の作品はもともと手間を掛けすぎていたので、あまり手を掛けずに完成する作品づくり、に取り組みました。

私の目安は、【手間10分以内で、利益が千円を超えるもの】でした。

 

 

 

⑤第五段階 : 売り上げの波が小さくなる

 


試行錯誤の結果!


手間をあまり掛けなくても売れやすい作品を、買取店、委託店を通して販売するようになると、それほど忙殺されずとも、収入が安定するようなりました。

なぜかというと、ネット販売を自己流でやっている私より、委託店、買取店さんの方がたくさん売ってくれるから。


私は、ものづくりはできても販売の腕はまだまだ。
販売をプロの方にお任せすることで、コンスタントに収入化できるようになったわけです。



ですが、課題は残ります。

 

 

 

売るのが下手ならお店に任せる

 


私の場合、委託や買取のおかげで収入が安定するようになりましたが、ネット販売一本で成功している作家さんはたくさんいらっしゃいます。

なので、販売手数料が3割かかる委託店や買取店に頼らなくても、手数料無料のネット販売でやっていくのが最善なのではないか?

収入も今より上がるんではないか?

とも思うわけです。


でも、ネット販売でやっていくためには、売り上げの波に翻弄されず、自転車操業の覚悟と備えを持っておかねばなりません。

 

頻繁に新作更新したり、画像を新しく撮り直したりと、日々サイトのメンテナンスをするとか、ラッピング資材のレベルアップとか、SNSに力を入れるとか、色々やるべきことはあります。。
 

 

【売るのが下手ならお店に任せるのが良い!】

うまく売れないなぁ…と自覚しているなら、いくら販売手数料が低いとはいえ、ネット販売にこだわる必要はないと思います。
苦手なことを無理して頑張るよりも、その時間を作品づくりに費やした方が合理的。
販売は、はじめから販売専門の方にお任せする道を選ぶのが賢い方法です。
 



最後にひとつ注意。委託店に関しては、スタートしたばかりのお店ではなく、売り上手なベテランのお店を選びましょう。そして買取に関しては、どんなに大口のお取引でも一つに依存せず、複数件のお取引を維持しましょう。リスク分散です!)