イグルーを作りたいと思った。

雪洞は冬山で何度も掘って泊ったことはあるが、

本格的なイグルーは成功したことがない。

ここには、雪がたっぷりある。

試みない手はない。

 

20代の終わりころアラスカへ行ったとき

イヌイットが住むイグルーの作り方を書いた小冊子を買った。

一度、訳してみて、そのまま何十年もほったらかしだったが、どこかに記憶がある。

ネットで検索してみたら実際に、彼らが作っている映像があった。

あの小冊子と同じやり方だった。

 

まず、支点を決めてそれからロープを伸ばして円を描く。

これで大きさが決まる。

4~5人が座って宴会ができて1、2人なら泊まることもできる大きさにした。

 

    

 

描いた円にブロックを積んでいく。

一段目にテーパーを作っておいて、螺旋状に積み上げていく。

これがミソで雪のブロックの引っ付きがよくなり、安定的に積んでいくことができる。

 

ブロックは同じ大きさで切り出すのがいいが、硬軟あってうまくいかない。

氷のような雪で薄く大きく切り出しているイヌイットとはここが違う。

それと、まつ毛も鼻毛も凍るような北極圏より北海道は暖かく、

ブロックどおしの氷結の堅牢さに欠ける。

と、自分の積み上げの不細工さを自己弁護しておこう。

 

    

 

上に行くにしたがって、ブロックを内側に傾斜させてドームを形成していかないと

「あんた、いつまで煙突作ってるの」という女房の叱声がとんでくる。

内傾してくると雪の氷結力がなければならない。

ブロックとブロックの間にノコかナイフをいれてフラットにし、

しばらく支えていると、ブロックどおしが癒着する。

ここが一番難しいし、忍耐のいるところだった。

 

 

天井の空間が40~50センチくらいまで狭まると、しめたものだ。

最後にてっぺんの空間をふさぐ板をはめ込んで完成、

この最後の板をKing of  boardというらしく、

ちょっと得意になって、ビゼーの王の行進など口ずさみたくなる。

 

後は楽なものだ。

ブロックの間を雪でつめ、凹凸をならし、外から軽い雪をかけて形を整える。

 

室内に雪の腰掛けとテーブルを作り、入口を少し広げる。

   

 

ここで寝起きするなら、入口はさらに低く切り下げ、

冷たい空気を下へ、温かい空気を上に滞留させるようにしなければならないのだが、

風が直接吹き込まないように羨道ならぬ、廊下を作って完成とした。

 

 

ブロックの切り出し、運搬、積み上げと役割分担して3人でかかれば、

1日でできるだろうと思う。

私たちは、女房と2人で日に2~3時間、気ままにやって5日かかった。

で、ここで何をするかって?

蝋燭灯して宴会やりたいな、だれか訪ねて来ないかな。